
このドラマがとりあげるのは、1982年8月に愛媛県松山市内で同僚のホステスを殺害した女が、顔を整形して日本各地を15年にわたり逃亡した末に逮捕された事件(松山ホステス殺人事件)だ。主人公の犯人・福田和子を寺島しのぶが演じる。
今回のドラマは、事件を描く実録パートとあわせて、現代の編集者があらためて事件を取材するフィクションのパートにより構成されているという。後者のパートで新人編集者役を演じる松岡茉優は現在21歳。公式サイトで「福田和子は私が2歳の時に捕まりました」とコメントしているのを読んで驚いた。あの逮捕劇からもう19年が経つのだ。
1997年7月29日、時効までわずか2週間というタイミングでの逮捕、また、その直前にはテレビで、福田和子が逃亡先から愛人にかけた電話の録音(逆探知を恐れての「危ない、危ない」という彼女の発言は印象深い)が繰り返し流されたこともあり、事件は人々に強烈な印象を残した。
97年ということは、神戸で男児が殺された事件で当時14歳の少年が逮捕されたのと同じ年である。もっとも、福田和子が罪を犯したのはさらに15年も前のこと。逮捕されてまもなく彼女は起訴、1999年には松山地方裁判所で無期懲役の判決が下された。このあと控訴、上告がなされたもののいずれも棄却され、無期懲役が確定する。なお福田は服役中の2005年、くも膜下出血により57歳で死去している。