
148話はこんな話
千代(小芝風花)と啓介(工藤阿須加)が結婚式を挙げ、早々におめでたに。嬉しいこと続きのあさ(波瑠)だったが、和歌山から、惣平衛(柄本佑)が倒れたという報が届き・・・。
俗物キャラに書かれる婿養子
結婚式の日、啓介のインテリジェンスを讃える会話がある一方で、千代のどこに惹かれたのかと成澤(瀬戸康史)に問われて「上方言葉」と答えた後の「『堪忍だす』とか『いやや』とか『もう2度とお会いできへんやろと思っていましたさかい』なんて言われたらもう東京育ちのぼくなかそれだけでビリビリと・・・」という啓介の台詞が俗物過ぎて驚いた。
もともと、病院で出会って以降の千代への啓介のアプローチの仕方からして、あんまりスマートでなく、はっきり言ってセンスはない。「べっぴんさんや」と言って「林檎のこと」とかはぐらかす作戦など、明からさまに気を引こうとしていて、がっついてる感じがする。
それに比べて、結婚前のあさに対する新次郎(玉木宏)のアプローチはスマートかつセンスが良かった。そろばんをプレゼントしたり、手紙だけ出してきて少し気をもませたり、三味線という趣味をもっているのも、なんだか粋。
また、五代(ディーン・フジオカ)は、あさへのビジネスへの熱を煽るようなことをいろいろ散らつかせたり、ペンギンの絵を書いてみせたり、個性的なアプローチだった。
あさに対してではないが、目下、体調が心配な惣平衛は、イノシシと戦いながらみかんをもってはつ(宮崎あおい/崎の大は立)の元へと帰ってきたり、新婚の頃の思い出の柄の着物をプレゼントしたりと、素朴な情熱の持ち主。
旧世代の人たちには“実”があったが、新世代及び東京もんは、なんだか物足りないという意味の、啓介描写なのだろうか。少なくとも、啓介には、「粋」はまったく感じられない。
ただ、徹底して好人物として描くより、これくらい清濁合わせもった人物として書いたほうが印象には残る。なにしろ、新次郎、五代、惣兵衛のキャラが強力過ぎるから。
(木俣冬)
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