
149話はこんな話
惣兵衛(柄本佑)が静かに息を引き取った。
どんどん人が亡くなっていく
「ええ人生やった」と聞いて、「ワンピース」のヒルルクとさだまさしの「関白宣言」、どっちを思い出しますか?
いや、そんなこと言ってる場合ではない。はつ(宮崎あおい/崎の大は立)ではないが、こんな時に笑われしまへん。
はつとの最初の出会いから、じつはひとめ惚れだったと、新次郎(玉木宏)にこっそり告白していた惣兵衛。それをあさ(波瑠)が聞き、はつへと伝える。
新次郎がひとりで和歌山に行った理由は、このためだったのか、と脚本上の理由を考えるのは野暮と思いつつ、念のため。それが朝ドラレビュー。
ある時から、はつへの愛情をはっきり見せるようになった惣兵衛だったが、出会いの話は心に秘めたままだったというのが、不器用で愛おしさがいっそう募るけれど、それだけの愛情を知った時、もう夫はこの世にいない時の妻の嬉しさとやりきれなさがないまぜになった感情は、もはや名人芸の域。
はつ、あさと並んで、こんなに小さかったっけ? とはじめて思うほど、ふたりの座高に差がある。それによって、はつが弱っているのがよくわかる。
あさは仕事がノリに乗っている現役なのでなんだか大きく見える。
老いとか弱さとかの演技について考えた時、柄本佑は見た目も声もかなり若々しいままだった。だが、無理して老いたり、弱ったり見せることで嘘になるくらいなら、気持ちだけで勝負しようとしたのか。
(木俣冬)
木俣冬の日刊「あさが来た」レビューまとめ読みはこちらから