Web漫画配信サービスジャンプ+にて、「ファイアパンチ」第8話が配信されている。主人公が死ぬ描写、8話目でやるにはかなり思い切った展開だ。

主人公の死体をどうするの?「ファイアパンチ」8話

やっと復活したアグニだが……


アグニがクビだけになって4話目。ついに身体が生え変わり復活を果たす。脳天に銃を打ち続けられながらも、アグニは口の中に銃弾を溜め込んでいた。ユダが去って見張りが二人になった隙をうかがい、消えない炎を纏った銃弾を兵士に飛ばす。火はすぐに燃え上がり、もう一人の兵士があたふたしている間にアグニの身体は元通り。すぐさまもう一人も消し炭にする。久しぶりにアグニが強い。この圧倒的な強さが見たかった。

そこに現れたのは、妹の仇であるドマ。この復讐物語の最大の標的だ。8年越しの復讐を遂げる為にアグニはドマに飛び掛った。シーンはカメラを回し一人語りをする少女トガタに切り替わる。散々映画好きをアピールした後、燃えているクビだけの男アグニに興味を持ち、映画の題材にしようと立ち上がる。
しかし、すでにアグニは消し炭にされてしまっていた。

重要人物の死で終わる描写は、少年マンガでは次週にひっぱる手法としてありがちだ。だいたい身代わりの術的な何かか幻術的な何かで、何事もなかったかのようにストーリーは進んでいく。今回も消し炭の死体はアグニではなく、他の人間ということなのかもしれない。

問題はこの死体が本当にアグニだった場合だ。主人公が死んだままということはないはず。生き返らせる能力の祝福者でも出てくるのだろうか?

全員怪しい


今からアグニの元にやって来そうな既出のキャラクターはこの三人だ。


アグニと同じ自己再生能力を持つユダ

サンの切断された足の傷口を何らかの能力で塞いだジャック

今話初登場の少女トガタ


それぞれ復活させそうな雰囲気を持っているが、おそらくユダではないだろう。自分の再生以外も出来てしまうと、能力の概念が歪むしあまりにも都合がいい。

そして次のジャック傷口を治すというなんとも生き返らせそうな能力を披露したのが、一週前の第7話。かなり怪しい。しかしこの藤本タツキ先生は、そのまま素直に伏線を回収する人じゃない気がする。これはおそらくミスリードだ。
我々を騙そうとしているだけだ。よってジャックも違う。

では残っている謎の少女トガタなのだろうか?しかし、生命を司る能力を持った人間が、クビだけになっても生きている人間を見たぐらいで、映画の題材にしたいと好奇心をかきたてられるのだろうか?もしそんな力を持っていたとしたら、アグニになんか興味を持たない気がする。

ということで、おそらく今回アグニは死んでいない。身代わりの術の類かなんなのかはわからないが、おそらく絶命は免れているだろう。

この作者なら、ここで切り札を使ってしまう可能性もある……


主要人物が死ぬ描写というのは漫画家にとって大きな賭けだ。生き返らせるとその世界に生き返るという概念が生まれてしまう。死にそうになっても生き返らせれば良いと読者に思われてしまい、究極の緊張感である死が今後使えなくなってしまう。死は少年漫画の切り札だ。出来るだけ使いたくないはず。

どれだけ考察しても予想が当たらないのが「ファイアパンチ」。この結末は一週空いて6月20日に配信予定だ。


(沢野奈津夫)
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