冨樫義博のHUNTER×HUNTER休載が週刊少年ジャンプで発表されてから2週間が経った。今、冨樫は何をしているのだろうか。
多分、リハビリ生活に明け暮れているんだろう。冨樫が復帰するまでの間、『HUNTER×HUNTER』の単行本を一巻ずつ振り返っていくことにする。今日は2巻。

巻頭コメントは「先に行ってて 2分くらいしたら追っかけるから」。どこかの道路で倒れて笑顔をこちらに向ける冨樫の姿が写っている。
第2巻タイトルは『霧の中の攻防』。
冒頭、ヒソカの試験官ごっこにゴン、クラピカ、レオリオが付き合わされていた。霧の中を抜けると2次試験開始。テーマは料理。野生の豚を捕まえてブタの丸焼きを作る、ジャポンの国発祥のスシを作る、谷にダイブしてクモワシのタマゴを取ってくる、という内容だった。
「HUNTER×HUNTER」冨樫が声優を務めた受験番号86番を振り返る
HUNTER×HUNTERの世界に日本という国は存在しない。忍者、寿司、俳句などの文化はジャポン発祥のものとされている。

冨樫の肉声が聴ける1999年版アニメ『HUNTER×HUNTER』


3次試験ではいきなり飛行船から塔の屋上に降ろされる。試験内容は、生きて下まで降りてくること。アモリ三兄弟は言う、側面には窓一つなく、外壁をつたっていくのは自殺行為であると。

「普通の人間ならな」
ある一人の男が、その分析に異を唱えた。受験番号86番である。筋骨隆々なその体、オールバックに無精髭。彼がアウトドア派の人間であることは一目でわかる。
「このくらいのとっかかりがあれば 一流のロッククライマーなら難なくクリアできるぜ」
「ふふん どうやら三次試験の合格第一号はオレ様のようだな」

初期(1999年)アニメでは冨樫義博が86番の声を務めている(第13話「反対×賛成×おとし穴」)。くぐもっていて落ち着いた雰囲気の声。
自信がありつつもどこか屈折している雰囲気を感じさせてくれた。
「もうあんなに降りてる」
32巻で1782mの世界樹を20分程度で登り切ったゴンもビックリするほどの速度で外壁を降りていく。この実力なら岩壁を登るスキルも要求された2次のタマゴ回収試験も難なくクリアしていたはずだ。
そんな86番なのだが、結局、途中で気持ちの悪い人面鳥に襲撃されて死んでしまった。原作と1999年アニメ、2011年アニメとでは最期の描かれ方が微妙に違う。原作ではその場で身を引き裂かれて死んだ。
1999年アニメでは鳥の爪先で腰を掴まれてどこかに連れていかれ、2011年版ではかぶりつかれていた。

先手必勝も時と場合による


86番の敗因は、合格第1号にこだわってしまったこと。
2次試験のタマゴ回収で自信をつけすぎてしまったんだろう。86番の死をもって「外壁をつたうのはムリ」という情報を他の受験生に分からせる結果となってしまった。
1巻でドキドキ2択クイズに失敗した男もそうだ。ゴン、レオリオ、クラピカよりも先に進んで罠をいっぱい仕掛けようとしたのだが、それはできなかった。
彼の失敗があったからこそ、ゴンたちはクイズをパスすることができた。
86番にしてもクイズ失敗男にしても、もう少し踏みとどまって情報収集に努めるべきだったのだ。何事も不用意に1番を目指そうとするのはよくない。
(山川悠)

もっと書きたかった2巻レビューはコチラ。「HUNTER×HUNTER」2巻を振り返る。たぶん、トンパには友達がいない