
喫茶店で、近くに一組の母娘が座っていました。
お母さんが言いました。
「明日、お家にママのお友達が来るからね」
それを聞いた4~5歳くらいの娘さんが言いました。
「その人、顔の大きさどのくらい?」
店内にとどめておくにはもったいない天才的発言。筆者はその会話をSNSに投稿しました。
こうして今の時代、知らないところで自分のとった言動が広まっていくことが日常になっています。
自分の言動も、何か変わったものだったなら、人にツイートされるだろうか?
そう思った筆者は、外で変わった言動をとって、その場に居合わせた人たちにツイートされるか検証してみました。
検証方法は以下のとおりです。
(1)周りに赤の他人がいる状況で、変わった言動をとる(会話相手として友人に協力を依頼)
(2)その後、ツイッターで自分のとった言動を元にツイート検索
(3)電車内や駅のホームなど、場所を変えて何度か試す
検証1:「吹いた」を狙う
実際につぶやかれている会話のツイートを見てみると、「電車の中で(中略)吹いた」という具合に、『吹いた』というつぶやきを多く見かけます。ということで、思わず吹き出すようなことを言ってみました。
・「昨日リップクリームとソックタッチ間違えて、唇くっついちゃったんだ」

これは友達のお父さんの実話です。
言ってみた直後の周りの反応
・隣のサラリーマンがチラ見をしたような…その後スマホを取り出した。
・2人組の女性が無言でいて、ひとりが笑っているように見えたけれど「微笑み」であり、筆者の発言が原因かどうかは不明
・とくに反応なし
その夜、「リップ ソックタッチ」でツイート検索…

結果:ツイートされていなかった
友達のお父さんが安心するか悔しがるか、「リップクリームとソックタッチを間違える」みたいなツイートは、けっこうされていることがわかりました。
・「この前、『ココイチバーニャ』ってお店みつけたの! ココイチ、バーニャカウダ専門店も始めたんだね」
「それ、ローマ字にした"CoCoichibanya(CoCo壱番屋)"じゃない?」
言ってみた直後の周りの反応
・にこやかな顔の人がいると思ったら、その人はずっと同じ顔をしていたから、その人の元の顔だった
・とくに反応なし
「ココイチ バーニャ」でツイート検索…

結果:ツイートされていなかった
ごめんなさい、宣伝でも何でもないのですが、画像に書かれている「武井怜の短歌」って、筆者の短歌用のアカウントです。なんと過去の筆者のつぶやきが、リツイートかなにかしてもらった形で出てきました。
・手の甲に「子牛」
会話ではなく行動でも攻めてみようと思い、手の甲にマジックで「子牛」と書いて、喫茶店で過ごしました。

喫茶店では、たくさんの人の目に触れられるように、商店街に面したカウンター席に座りました。頬杖をついたり、口角についたクッキーをとったり、懸命な「子牛」アピール。
周りの反応
・「子牛」を見たあと、筆者の顔を見ている人もいる気がした
・「子牛」を見て、「ん?」という顔をしている人がいるような気がした
・とくに反応なし

慣れるまでは恥ずかしかったので、成果があるといいです。
「手 子牛」ツイート検索…

結果:ツイートされていなかった
残念です。買い物リストと思われたのかもしれません。
検証2:「おっ」と思わせる
うまいことを言っている会話のツイートを見かけたこともあったので、その方面でもアタックしてみました。
・「バカ」ってカタカナで縦に雑に書くと「心の力」って読めるから、バカなことも心の力になるんだなって思ったの

またツイート検索で出てきたら恥ずかしいので先に言いますと、ある小学生が「バカ」と書き殴った字を見て、「心の力だ」と感動を覚えた、これまた実話です。
言ってみた直後の周りの反応
・スマホをいじっていた人が、この話をしたあとスマホをいじるのをやめていたから、その人は会話の内容のメモをとっていない。つまりツイートは期待できないかも……
・とくに反応なし
「バカ 心 力」ツイート検索…

結果:ツイートされていなかった
あぁ、ないものですねぇ…
・「メール打ってると、『を』とか『に』とか助詞の使い方がわからなくなるから私、そっちの『助詞力』もないなと思って…」

こちらは前述の、「バカが心の力になる」の話のあとに「うまいこと続きでもうひとつあってね」と、セットで言ってみました。
なので周りの反応は「バカが心の力になる」のときと同じです。
「助詞 力」、ツイート検索…

結果:もしかしたらツイートしてもらっているかもしれない!
この「助詞力となwwwwwwwww」というツイート。
投稿されている時間的に、筆者たちの話のことでないとは言い切れません。ただ、このツイートは検証の約3時間後に投稿されたものなのですが、このツイートの唐突な書き方から考えると、筆者たちの話が聞こえた3時間後に投稿したというよりは、そのときリアルタイムで思ったことを投稿したと考える方が自然に感じるツイートではないでしょうか。なので線は薄いですが、もしかしたら、筆者たちのことをツイートしてもらっていたかもしれないです!
検証3:プロに頼んでみた
というわけでこの検証、少しだけ波に乗れてきました。
とはいえ素人であり、ただでさえ笑いのツボが浅い筆者がいいと思ったものは、「ツイートしたくなるレベル」が低いのかもしれません(実話の人たち、ごめんなさい)。
そこで、笑いのプロであるお笑い芸人さんに考えてもらったネタならば、ツイートしてもらえる確率もあがり、もしかしたら多くのリツイートまでしてもらえるのではと思い、お笑い芸人の友達に、ツイートしてもらえそうな会話を考えてもらいました。
「ねえ、ドラえもんの道具で何が欲しい?」
「タケコプター」
「え?それだったらどこでもドアの方が良くない?」
「断然タケコプター」
「なんで?」
「うちの部屋、モノトーンで統一してるからピンクのドアとか無理」

言ってみた直後の周りの反応
・若い人が留守電を聞き始めた
・スマホをいじっていた人がいじるのをやめた気がする
・とくに反応なし(ずっとスマホをいじっていた)
とくに反応なく、ずっとスマホをいじっている人が一番ツイートしていそうな気がします。
「モノトーン どこでもドア」で検索…

結果:ツイートされていなかった(『モノクロ どこでもドア』でもみつからなかった)
筆者の演技力がプロのネタに追いつかず、つぶやかれていませんでした…
というわけで、外で変な言動をとって、人にツイートされるか検証してみたところ、「ツイートしてもらえていたかもしれない」くらいの結果となりました。
協力してくれた友達と、図らずも協力してくださった、周りにいた皆さまに感謝です。
平気で笑える世の中に

外で笑える場面に居合わせても、一人で笑うのは恥ずかしくてなかなかできませんよね。本にある「(笑ってしまうので)電車で読んではいけません」というコピーに心から共感します。笑いをこらえるのって辛いです。咳払いしてうつむいて…。だから外でおもしろいことに出会ったら、失礼なこと以外なら思わず笑ってしまっても恥ずかしくない世の中にして、それまで知らなかった人とも笑いで友達になれたら素敵です。
(武井怜)