脚本:西田征史 演出:岡田健

イラスト/小西りえこ
昭和25年(1950年)。
キッチン森田屋がオープン。常子(高畑充希)はそのカウンターで新聞を読んで社会情勢をチェックしている。雑誌の部数も伸びていた。
なんだか穏やかなはじまり。
そして交際をはじめた水田(伊藤淳史)と鞠子(相楽樹)の仲も順調で、お互いいい影響を与え合っていた。
いつでも道の真ん中で向き合って語り合うふたり。
美子(杉咲花)は水田に姉との結婚をせかそうとする。常子はたしなめるが、花山(唐沢寿明)がストレートに「結婚はまだか」と口を出す。すぐさま乗っかる美子。常子も乗っからざるを得ない。
迷う水田。美子にせかされしぶしぶ「大丈夫じゃないか」と励ます花山。
こうして作戦成功。水田はさっそく今晩プロポーズすると奮起する。
またしても道の真ん中で立ち止まり向い合い語り合う水田と鞠子。
道の真ん中でプロポーズって・・・と思うが、セットの事情でやむを得まい。不器用な水田らしいとも言えなくもないし。
ところが、なんかまたしても「考えさせてください」と保留にする鞠子。
小橋家では巻き寿司作って待っていたのに肩すかし。
鞠子はなんで保留にしたのか?
それはお話を引っ張るため! でも予告で結婚式やっていたので心配なし! 安心して19週へ!
108回に出て来た映画のお話
水田と鞠子が楽しそうに語り合っていた映画について紹介してみます。
赤い靴を流行らせた映画は、1950年(昭和25年)に日本で公開されたイギリス映画「赤い靴」。アンデルセンの童話を下敷きに、バレエに人生を左右される踊り子の悲劇が描かれます。
小津安二郎(深川出身の映画監督)の姉妹ものは、同じく50年公開の「宗方姉妹」。田中絹代が演じる姉は、失業中のダメ夫を支えるためにバーで働く尽くし型。
余談ですが、この作品の次の作品「麦秋」は妙齢にもかかわらず「(嫁に)いけないんじゃない いかないの」と言うような、この時代珍しい独身のヒロイン(原節子)の物語なのです。
このタイミングで小津映画を出してきたのは、常子の今後(モチーフになっている実在人物は一生独身だったのでおそらく彼女も一生独身)の暗示なのでしょうか。「麦秋」のヒロインは最終的には結婚するのだけれど常子はどうなる?
(木俣冬)