■VAMPS/【VAMPS LIVE 2016】ライブレポート
2016.09.16(FRI)at ZEPP TOKYO
(※画像10点)
「この貴重な瞬間をかみしめて!」
VAMPS恒例の籠城型ライヴハウスツアー【VAMPS LIVE 2016】ファイナル前夜の9月16日(金)、ZEPP TOKYO公演に足を運んだ。各40分間のサポートアクトを務めたのは海外ゲストの2組で、18時30分にまずはアメリカのメタル・バンドIN THIS MOMENTが登場。
転換を経て、VAMPSのアクトが幕開けたのは20時17分。マンハッタンのビル群風の映像が投射されるステージにメンバーが登場、頭部をすっぽりとフードで覆ったHYDEが手を挙げながらセンターにたどり着く。1曲目の「LIPS」から軽やかな身のこなしを見せ、全く力みのない余裕ある歌声を響かせた。「DEVIL SIDE」のサビでフードを脱いで、あらわになった黒い艶やかなストレートヘアを揺らしながら、随所を観客に歌わせ、熱の交換を図る。終盤ではK.A.Zもセンターに歩み出て、観客の注目を引き付けた。続けて「REDRUM」をテンポよく畳み掛けると、赤い炎があちこちで噴出、勢いよく滑り出したこのアクトを一層熱く後押しする。HYDEはキレの良い動きでリズムに合わせてジャンプを繰り返し、最後、パンチをくらわすようなアクションで拳を振り下ろすのを合図に音とライトが消え、赤い炎の残像がまぶたに浮かんだ。
アッパーに始まりへビーに、ディープに、緊迫感を高めながら展開していたステージは、「SECRET IN MY HEART」で風向きを一変。ニューウェーブ感の漂うギターアルペジオを印象付けながら、疾走感のあるメロウな歌を響かせた。サビのHYDEの歌の表現が豊かで、しゃがみ込んだ姿勢で腕を動かしながら、目に見えない何かの存在を感じ、歌い表しているかのようだった。ラストは、背を向けて右腕を伸ばし、ひざまづいた末につんのめるように倒れ込むまで熱唱。自らの身体を歌にささげるような、迫真の歌唱だった。暗転の後、ピアノの調べが短調から長調に切り替わり、「VAMPIRE’S LOVE」のイントロへとならだかに移行。パープルのライトに照らされたHYDEが、一輪の赤いバラを手にスタンドマイクの前にたたずみ、情感を込めて丁寧な歌を紡いでいく。
「楽しんでる?」と観客に語り掛けたHYDEは、「あ~」とうめきながらパーカーを両手で広げ、IN THIS MOMENTのマリアのものまねにトライ。「風が出て来るのがちょっと遅い(笑)」と笑わせた。2階席を見やり、APOCALYPTICAのメンバーを発見すると「パーヴォいた! 毎回ちゃんと見てくれるんだよね、いい人!」と感謝を述べる。ツアー後に氣志團万博やアコースティック・ライヴを控えていることに触れ、「ライヴ中は全力。『HYDE、セーブしてるな』と思われるのが一番イヤやから。BLOODSUCKERSも全部出さないと、悔いが残るよ?」とあおった後、「RISE OR DIE」(新曲「INSIDE OF ME」のカップリングで、ドイツのインダストリアルメタルバンドRammsteinメンバーとの共作)を披露した。重いリフと硬質なロック・ボーカルが新鮮に響く楽曲だ。客席に随所マイクを向けて歌わせ一体感を高めた後は、K.A.Zが前方へ歩み出て「AHEAD」のスリリングなリフを刻み始める。
ここまでも既に濃密なステージを展開していたのだが、さらなる見せ場が訪れる。「SIN IN JUSTICE」のイントロをリフレインしながら、HYDEは「もっともっともっと! 大きい声出して! そんなんじゃヤツらは来ないぞ!」とAPOCALYPTICAのメンバーを呼び込んだのだ。ドラマティックな展開と哀愁を帯びた旋律が美しいこの曲。強じんなドラミングと迫力のトリプル・チェロとの相乗効果で、HYDEの歌声はエモーショナルな表現にますます磨きを掛けていく。K.A.ZもAPOCALYPTICAのメンバーと向かい合って最後のアンサンブルをともに紡いでいく。最後、音が止まった瞬間は鳥肌が立ち、会場は大きな拍手に包まれた。「皆の声が大きいから彼らに届いたようだね。もっと声聞かせてくれよ。
メンバーが再登場すると、HYDEは拡声器を手にサイレンをうならせ、新曲「INSIDE OF ME」を披露。この曲では、勢いよく迷いなく声を真っすぐ放るような、歯切れ良い歌い方をしてみせた。「皆、楽しんでる? 長くなっちゃってるけど、終電大丈夫?」とファンを気遣いながら、「ツアーも残すところ1本になっちゃって……。ま、曲つくってるからね」と、今後の展開を匂わせつつ、「K.A.Zくんが頑張ってます。いっぱい曲あるもんね? なかった(笑)?」とK.A.Zをイジる形でMC。
HYDEの留まることを知らない歌の進化に圧倒され、APOCALYPTICAとの共演場面を含む“聴かせる”シークエンスを織り込んだセットリストにうならされた、濃密なステージ。北米ツアーが発表されたのはこの数日後だったが、今振り返れば、戦うための地固めを丹念にしていたような、深い集中を感じられるライヴだった。
(取材・文/大前多恵)
≪セットリスト≫
1. LIPS
2. DEVIL SIDE
3. REDRUM
4. EVIL
5. VAMPIRE DEPRESSION
6. DOLLY
7. SECRET IN MY HEART
8. VAMPIRE'S LOVE
9. GHOST
10. RISE OF DIE feat. Richard Z. Kruspe of Emigrate / Rammstein
11. AHEAD
12. COUNTDOWN
13. SIN IN JUSTICE
14. BLOODSUCKERS
15. MIDNIGHT CELEBRATION
16. INSIDE OF MEfeat. Chris Motionless of Motionless In White
17. TIME GOES BY
18. LOVE ADDICT
19. SEX BLOOD ROCK N’ ROLL
≪ライヴ情報≫
【HALLOWEEN PARTY 2016】
2016年10月22日(土)・23日(日)
神戸ワールド記念ホール
2016年10月28日(金)・29日(土)・30日(日)
幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール
【VAMPS North American Tour 2016】
With Special guest Citizen Zero
11/6(Sun) San Francisco, CA / Social Hall SF
11/7(Mon) Los Angeles, CA / El Rey Theater
11/10(Thu) Mexico City, Mexico / Teatro Metropolitan
11/13(Sun) New York, NY / Irving Plaza
11/14(Mon) Toronto, ON / Lee's Palace
11/15(Tue) Chicago, IL / Bottom Lounge
≪リリース情報≫
New Single
『INSIDE OF ME feat. Chris Motionless of Motionless In White』
2016.08.31リリース
UICV-5052 / ¥1,080(税込)
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