
給食とは、誰にも等しく訪れる試練ではないだろうか?
私が通っていた小学校は、当時で全校生徒が1000人という大阪でもマンモス校に入る部類でした。そんな数多くの子どもたちに安心安全で一定品質の食事を届ける給食、そこに個人の好き嫌いが介在する余地は一切ありません。
ベタかもしれませんが、私はグリーンピースが嫌いでした。それはもう大嫌いでした。
外面はコロコロと可愛げすらあるクセに、ギュッと潰すとプチッとペースト状の中身がはじけて鼻腔まで突き抜ける青臭さ。
カレーライス、多くの子どもがそうであるように私も大好きだったのですが、あいにくその中にはそんな可愛い「宿敵」が潜んでいました。「いただきます」は作戦開始の合図!第1フェイズはスプーンでヤツの探索、一粒一粒すくっては皿の端に寄せてもういないだろう…と確信を持てたら、第2フェイズで一気に牛乳で流し込む!これにて駆逐完了。
と思いきや完食直前にひょっこり飛びだし、飲み干した牛乳と交互に見たのち、苦渋を舐めることもありました(ふたつの意味で)。
と、前置きが長くなりましたが、そんなトラウマ給食エピソードを集めてみましたよ!
出るわ出るわ苦々しい思い出、嫌いなものがない子どもなんて、子どもじゃない!?
お楽しみください~!
誰でも嫌いな具材が必ずひとつは入っている「プリプリ中華炒め」

『月に1,2回あったプリプリ中華炒めが大嫌いでした。人参、茄子、インゲン、しいたけ、誰でも一人は嫌いな食材のオンパレードで、唯一救いとして鶏肉が入っているくらい。切られたサイズはどれも大きめで、絡められたオイスターソースが素材の味が引き立てる、つまりまずさもグッと引き立てられていました。みんなそれぞれ、自分の嫌いなものとそうでないものをトレードしていました。』
プリプリ中華炒め!名前だけ聞くととてもおいしそうに感じますが、誰でも嫌いなものが入っているとは極悪ですね。
そんな中で取引が行われているという状況もまたおもしろい、「全部貰い受けるから次のプリンくれよな」とかありそう。
ちなみに、「プリプリ」はうずら卵だけだそうです。
良い香りの昆布だし…だけど、とにかく味がしない「茶飯」

『おかずがおでんのときに必ず付いていました。昆布だしで炊いたご飯で、香りはとても良いのですが、味がせずただただまずかったです。給食調理員のリーダーが代わって機会は少なくなったけど、同時に好物の揚げパンが出る回数も減ったので、心境は複雑でした。』
大阪出身の私は「茶飯」というものを初めて聞きましたが、調べてみるとおもに北関東で出されるものなんですね(情報を寄せてくれた方は千葉出身)。良い香りがするけど味がしないものがまずい理屈は分かる気がする。私の母校では、給食調理員のリーダーが代わった・代わってないという話が生徒の耳にまで届くことはなかったので、そこもちょっと地域差を感じる。政争みたいだ。
あえて苦くした?「フーチバージューシー」
『沖縄県内で、慰霊の日の6月23日の前後に出ていた給食です。簡単に言えば具材の入った水気が少なめのおかゆで、苦いよもぎが入っていました。戦時に食べられていたもので、忘れないようにという意味があったそうですが、毎年この日が来るたびに憂鬱でしたね。』
地域性が出てますね!現地で、フーチバーはよもぎの意味で、ジューシーは味のついたご飯。
熱を通したバナナが地獄…「バナナチェー」

こちらはベトナム人の友人から聞いた話。チェーとは、ベトナム式ぜんざいと呼ばれ、現地でよく食べられる甘味です。
『幼稚園の頃に出てくるバナナチェーが嫌いでした。熱を通したバナナが全般的にダメで、甘ったるい匂いを嗅ぐだけでも吐き気を感じる。でもその幼稚園は食べ切らないと家に帰れない方針だったので、吐き気を我慢しながら食べたことを覚えています。トラウマ。』
チェーは、ベトナムのガイドブックを開くと必ず載っている伝統的な甘味。現地では昔から食べられているのですが、苦手な人もいるにはいるのか…。でも、熱したバナナは少しシンナーっぽいクセのある匂いがするので、気持ちは少し分かります。
問題は芯か?芯じゃないか?「八宝菜」
『うずらの卵がとにかく嫌いだったので。嫌いな人も多い白菜がたくさん入っていたけど、(住んでいた地域の)山形か学校のローカルルールだったのか、「芯の部分は残してもOK」という暗黙の了解がありました。なので、クラスメイト同士で「●●くん、芯残してる~!」「これは芯じゃないよ!」という論争がたびたび起こっていました。
芯か芯じゃないか論争、おもしろいですね~。そもそもどうして芯は残していいのか、そうなった経緯が気になります。一回ぶっとい芯を食べて歯を折った生徒がいたとか?もしくは単に、「調理が面倒だから」ということに対する免罪符かもしれない。
横文字とは名ばかりのキュウリの酢漬け…「ピクルス」
『ミートスパゲッティに必ず付け合わせとして出てきましたが、名ばかりのただのキュウリの酢漬け。毎回、何よりも真っ先に牛乳で流し込んで対処していました。』
物は言いよう!という言葉が実に相応しい事例です。
そもそもミートスパゲッティにピクルスって付いてんだっけ?という疑問も。
給食って、栄養バランスを図るためにたまに無理くりな付け合せがありますよね。私の場合、カレーには必ず小さなイワシとアーモンドの小袋が付いており、それをなぜかスプーンの裏で粉状になるまですり潰してからふりかけて食べるという習慣がありましたが、今になって考えるとそんな組み合わせは給食以外で見たことないなと疑問に思う次第です。
べっちゃべちゃの「茄子の天ぷら」
『茄子の天ぷら。冷めた上に油でべっちゃべちゃで、いまだに茄子が食べられないほど嫌いになりました。』
べちゃべちゃの時点で天ぷらの価値なんて地の底ですからね!
茄子に罪はありません、焼き茄子食べましょうよ、焼き茄子を。
メインを台無しにする添え物「ボイルキャベツ」
『茹でられてくたくたになった食感と業務用ドレッシングの変な酸味が嫌だった。千切りキャベツの代わりに揚げ物などに添えてあったので、その水気が衣に染みてメインも台無しに。ちょうどO-157が話題になった頃だったので、衛生上の理由があったのだと思う。
メインを引き立てるどころか台無しにしてますね!
最近では食中毒対策のために給食が冷たい地域もあるという話も聞きましたが、もはや時代を恨むしかない…。
虫カゴを思い出す味…「ベーコンとキャベツと油揚げの煮物」
『名前は覚えていませんが、ベーコンとキャベツと油揚げが入った煮物がトラウマです。ベチャベチャなキャベツもさることながら、何より匂いがアゲハ蝶の幼虫がいた虫カゴと同じで(餌の腐ったキャベツだと思う)、泣く泣く鼻をつまみながら食べていました…。』
すでに虫カゴの匂いとして認識しているものが、食べ物から発せられることはつらい…!
クラスで飼っていたとしたら、もはや学級全体のトラウマになっているのでは。
匂いが教室に充満!「納豆」

『毎回給食で納豆が出たときには死にそうになってました。元々嫌いな上に、教室は臭くなるし…。
それと、グリーンピースとホッキカレーのホッキはとにかく不人気でしたね。残す人が多かったと思います。』
私は大阪出身の割に、両親が他県出身だからか納豆は大好きなのですが、匂いとしていつまでも留まられるとつらいかも。
満腹になって落ち着いて授業再開!というときに、留まられてもって感じですよね。
そして、こちらの方は北海道出身なのですが、ホッキというチョイスに地域性を感じます。
上澄みの油が厚すぎる!「モロヘイヤスープ」
『モロヘイヤスープが辛くて苦手でした。上から、油→モロヘイヤのみじん切り→春雨スープと層が出来ており、飲み始めはほぼ油を飲んでいる感覚。具材のせいか、腹に溜まるというか胃がパンパンになって、その日の昼休みはずっと苦しくて動けないくらいだった。』
表現が生々しい…厚すぎる油の上澄み、そもそもモロヘイヤまでたどり着くまでが試練ですね。
というか、それって混ぜるもんじゃないの!?
アレルギーだっつってんだろ!「牛乳」

『牛乳が、単にアレルギーで飲めなかった。だけど「好き嫌いはよくない」と言って無理やり牛乳を渡してきたクラスメイトに三角テトラパックの牛乳を投げつけたら、ホームルームで取り上げられる事件になった。』
アレルギーはともかくとして、投げつけた感情そのものはもっともだと思います。
半分に切られたカッピカピの!「みかん」
『保育園の給食の「半分に切られたみかん」が嫌いでした。切り口が乾きかけで口当たりが悪く飲み込めないのに、園の方針でお残し厳禁、全部食べるまで一人教室の隅で放置。みんなにチラチラ眺められながら、お迎えの時間まで涙目だった嫌な思い出です。』
みかんなの?と思ったら、切り口がカッピカピですか…それはつらい。なんであんなに固くなるんでしょうね。
そして保育園で一切のお残し厳禁とはまた珍しい、スパルタや。
子どもが給食を嫌いになる理由は、意外にもっともなのかもしれない。
いかがでしたでしょうか!
調べる前は単に子どもならではの好き嫌いが原因だと思っていましたが、単に冷めている、食中毒の対策、教育の一環、などなど、どれもこれも相応に嫌いになるべくしてなっているものが多いという印象でした。調理法が少し変わっていれば、もしかすると嫌いな食べ物なんてほとんど生まれないのかも?とはいえ、大量につくる必要のある給食で、それは難しいものなのかもしれません…。
(ネルソン水嶋)