脚本:渡辺千穂 演出:安達もじり

117話はこんな話
キアリスの入社試験の面接に、健太郎(古川雄輝)とさくら(井頭愛海)が参加していて、すみれ(芳根京子)たちは驚く。血縁者を入れることをすみれたちはよしと思えなかった。
さくらが中西を懐柔
面接会場に健太郎とさくらが表れ、びっくりする、すみれたち。
116話を見て、嘘の履歴書を送って、まんまとそれが選ばれちゃったのかと思ったら、117話でさくらたちが人事部長の中西(森優作)に頼んで、書類選考が済んだなかにふたりの履歴書を混ぜてもらっていたからくりがわかった。
116話のレビューで、なぜ中西が人事部長設定なのか疑問を呈したが、その設定も117話で生きていた。さくらに頼まれて、ついやってしまいそうなキャラである。これが武ちゃん(中島広稀)だと丸め込めるか半々だ。
とにもかくにも「そんなこと・・・」(すみれ)って感じである。フィクションならではの展開だろう。
といっても、履歴書を紛れ込ませるということは、かつてあるオーディションであった。藤原竜也が舞台『身毒丸』の主役オーディションを受けたとき、蜷川幸雄に会う前の段階で落とされてしまった。ところが、藤原に期待して応募チラシを手渡したスタッフが諦めきれず、選ばれた人たちの書類にこっそり忍ばせておいた。それによって蜷川の目にとまった彼はオーディションに合格、デビュー海外公演も大成功、蜷川幸雄の秘蔵っ子として活躍を続け、実力をつけて、いまに至っているというのは語り草になっている。
でもまあそれとこれとは違う。
さくらってやっぱりへんな子。
健太郎(面接での受け答えや英語の発音など優秀な人物を古川雄輝がみごとに演じている)をすでに尻に敷いている感じもして、やばい。
巻き髪は、顔の小さと相まってとても素敵なんだが。
そもそも家族経営なんだから、子供を入れたくないっていうのはへんな感じである。
でもドラマを盛り上げるために仕方ない。経営者の子供達が入ってくると知った社員たちが、「親の七光り」とざわつきはじめる。
ガチャリ すみれ「なにを言うてるのよ」
社員「どうしよ!」 (怯)
ちょっとここ面白かった。
今日の武ちゃん
京都大学の「理屈ぽい」土田(中山義紘/「ごちそうさん」のふ久の夫・諸岡役)の履歴書がちゃんと書いてあることがSNSで盛り上がっていた(つくる人も観る人も、皆さん、ほんとうに細かい)。武ちゃんが「不採用にするには惜しい気が」と言うのは、その熱い文面に感じ入ったのか。それとも、ドライに「不採用」と言った明美に反対意見を言わせることで、もう明美から卒業したっていう意味だろうか。
今日の、紀夫くん
終わり近くの14分頃、坂東家と野上家で祝の会をやっているとき、紀夫くんが、一度、彼から向かって左の皿を右にもってくる。
描写を積み重ねて確かなキャラを作り上げると、単なる制作上のミスかもしれないことすら、良いふうに捉えることができる。
(木俣冬)