
北海道の先住民族である「アイヌ」。独特の文化を築いていたという、このアイヌの方たちが食べてきたという民族料理があります。
その「アイヌ料理」を「都内で唯一」食べられるというお店があるのです。なんでも、ジビエ(フランス語で天然の野生鳥獣の食肉のことを言う)であるエゾシカ料理も食べられるとか! 「アイヌ料理」とはどんなものか、今回はレポートいたします。
新大久保に佇む「ハルコロ」

本州で唯一アイヌ料理を出すというお店は新大久保駅近くにあります。名前は「ハルコロ」。お店の名前は、アイヌ語で「食べ物・持つ」という意味があるとか。

店構えが小さく奥の方にあるので、思わず通り過ぎちゃいます…。ランチも営業をしていますが、この日はアイヌ料理を思う存分楽しむために、17時からの夜の営業にお邪魔することに。

開店ぴったりに行ったので、私たちが一番乗りでしたが、、この日はすでに予約が入っておりほぼ満席。なかなか人気店のようです。
なぜ新大久保にお店を出したのかを店主の方に聞いてみると、「この辺りはいろんな国の方が住んでいるから」とのことでした。確かに新大久保のあたりは多国籍の町といった感じで、いろんな国の方が住んでいます。
さて、早速メニューをチェックして、アイヌ料理を注文します。

メニューの裏にはアイヌ料理でよく使われている食材の説明などあります。

豊富なメニューの中から、「アイヌ料理」と書かれた料理を注文。他にキトピロ(行者ニンニク)と、エゾシカ料理ももちろん注文です。



ドリンクメニューも豊富です。北海道名物もちゃんとありますよ。

筆者はハスカップティーを注文。飲みって感じではないですが、甘酸っぱい味が口の中に広がり、ほっこりします。

初めてのアイヌ料理に舌鼓!
しばらくすると、早速料理が運ばれてきました!
まずは、ラタケシプ(かぼちゃのまぜ煮)と、チポロイモ(イクラ・じゃがいも)です。どちらも素材をゆでて潰して素材と混ぜたもののよう。

ラタケシプ(かぼちゃのまぜ煮)は、かぼちゃの甘さの中にスパイシーな風味が。ぷちっとした食感があるのですが、このスパイスがわからない。ほっこりしたかぼちゃが美味しいメニューです。

チポロイモ(イクラ・じゃがいも)は、名前の通り、じゃがいもを潰したものに、イクラを混ぜ込んであります。

木のスプーンが可愛いのも注目。手作り感があります。

次は北海道ではよく食べられるサーモンルイべ。生の鮭を凍らせてから切ったお刺身です。北国ならではの料理。

薄切りにされたルイべを一緒に出てきた昆布醤油につけて食べると、鮭が甘くてとろけます。

昆布醤油は、もちろん「北海道産昆布使用」です。

オハクは、塩味のさっぱりしたスープ。

大根や玉ねぎ、にんじん、じゃがいもといったグザイがたっぷり入っています。

昆布出汁で優しい味なので、ほっとした気持ちになります。

一見練り物のように見えるこの3種が、イモシトセット。

練り物のように見えますが、少しもちもちしていて、イモ餅みたいな食感です。味付けはシンプルに塩だけ。これが素材の味を引き出してて美味しいんです。
ホクホクと食べているところで、肉料理の登場です。
まずは、キトピロ(行者ニンニク)の肉巻き。

北海道ではよく食べられている行者ニンニクは、独特な甘みと香りがあります。これが肉料理に合う!

こちらも塩コショウのみの味付けであっさり。でも、行者ニンニクの甘さを引き出しててくれて、箸がどんどん進んじゃいます。
そして、鹿肉、エゾシカの登場です!

注文をしたのはエゾシカの炙り山わさび。炙ったエゾシカ肉に山わさびが添えられています。

山わさびがたっぷりのっかっていますが、そのままいただきます。
そして、エゾシカは臭みもあまりなく、何よりもさっぱり! 脂身もないので、食べやすい。あっさりした味付けもぴったりでした。
シンプルな味が素材を引き立てるアイヌ料理
いろいろと食べましたが、どの料理もとにかく味付けがシンプル! だからこそ、それぞれの素材の美味しさを引き出していた気がしました。
なぜ、アイヌ料理のお店を出すことにしたのか聞いたところ、店主の奥様が北海道の方だからとのこと。以前は奥様のお母さまが中野でアイヌ料理店をやっていたそうです。また、奥様はアイヌの民族舞踏を踊られる方で、店内には民族衣装を着た奥様の写真も貼ってありました。
「ハルコロ」は小さなお店ですが、常連客も多いようでひっきりなしにお客さんが訪れます。来店する日が決まっているなら、お店に予約をした方が良いかもしれません。店主が作ってくれるアイヌ料理はどれも美味しいので、新大久保にお越しの際はぜひ立ち寄ってみてくださいね。
(西門香央里)
ハルコロ
東京都新宿区百人町1丁目10−1
03-3368-4677