閣下 だから(作中の)「impossible is nothing」っていうフレーズも実はアリの言葉なの。
ちゃんと読んだことなんてないよ
───そうなんですね。閣下は本来、引用の引き出しがたくさんありますよね。文学でも「サロメ」を曲にしたり。
閣下 「サロメ」の曲。(笑) マニアックだね。
───「サロメ」なんて僕読んだことないですよ。
閣下 吾輩だってちゃんと読んだことなんてないよ。
───えっ! だって「サロメは還って殺意をしるし」って、それらしく歌ってるじゃないですか?

BMGビクター
(注・「サロメは還って殺意をしるし」は聖飢魔IIの大教典『メフィストフェレスの肖像』に収録。魔暦前3年に発布)
閣下 それらしく歌ってるね(笑)、あらすじくらいしか知らないよ。騙されてる。
───あるいは坪内逍遥の長唄を洋楽のスタンダードナンバーに乗せて歌った曲とか、なんで戯曲が出てくんのかなっていう。でもその教養も、単に得意なジャンルを引いてくるばかりじゃなくて、自由ですよ。直前に誰かから教わったアリの事でもいいし、(ちゃんとは読んでいない)サロメでもいい…
閣下 サロメでもいい。(笑)
(注・坪内逍遥の明治時代の戯曲「新曲浦島」の詞を5th DIMENSIONの1968年のヒット曲にあてはめた不思議な曲「AQUARIUS~帰虚~」は前述のアルバム「好色萬声男」収録)
───「Post-Truth」も好きな曲です。これは素直に作ったのとは別の、従来の閣下の複雑な面白さが出てますね。曲調はいかにも青空的なさわやかさで、歌詞も青空を取り上げているのに、青空を否定するような不思議な曲です。