匿名で記事を投稿できるウェブサービス「はてな匿名ダイアリー」に、「自分で考えろは新人に使ってはいけないと思う」というタイトルの記事が投稿された。投稿者はこの根拠を説明し、SNSなどネット上では賛否の声が飛び交っている。


新人に「自分で考えろ」がダメな理由


「常々思っているのだが、新人に仕事を教えるときに、自分で考えさせると伸びないと思う」と投稿者は綴り、「すぐに答えや手順を教えてやった方が良い」と自論を展開。

なぜ「自分で考えろ」が悪いのかというと、一般的に新人は単純作業をするケースが多く、もともとそこに考える余地がないから。考えさせても無駄に時間を使うだけでしかも間違っていたりするから、だとか。

しかし世の中には「自分で考えろ」と言ってしまう人が多いと嘆き、これをすると「むしろ仕事に対して恐怖感を覚え、萎縮してしまい、緊張感から物覚えが悪くなったり、怒られる恐怖から聞くべきことを聞くこともできず、結果さらにミスってしまうという悪循環に陥りやすい。結果として成長を鈍化させているという残念なパターンが大半だ」と指摘。

中には「自分で考えろ」で成功しているケースもあるが、それは指導方法が良かったのではなくもともと新人が優秀なだけで、教育が効果を上げているのではないと推測している。

「一通りの作業は考えなくてもこなせるぐらいの知識をつけてやれば、人間なんて自然に色々考えるようになるもんだ」と、投稿者は文章を締めた。

これには賛成の意見が続出し、「これはまさにその通りだと思う。自分で考えられる段階にたどりつくまではかなり時間がかかるのに、タイミングの早すぎる人が多い」「自分で考えろは、教える人が逃げてる場合もあると思う」「『自分の頭で考えて私と同じ考えになるべきだ』と言っているアホな上司も多いよね」「将棋のルールを知らない人に対して考えて打てと言うようなものだもんな」といった声が上がった。

しかし否定的な意見もあり、「こうしてルーチンワークしかできない2年目が量産されていく」「半分は同意だが、大学を出た20代の人間が全くの白紙で一から十まで教わるという前提が当然とは思わない」「それなりの野心を持った新人はそれで腐る場合もある」といった声も。

新入社員の多くも「優しく丁寧に教えてほしい」と回答


では実際新入社員はどのような教育を求めているのだろうか。三菱UFJリサーチ&コンサルティングは、新入社員1,327名を対象とした「2017年度(平成29年度)新入社員意識調査アンケート」を実施し、それをまとめたものを公式サイトで公開している。

これによると、新入社員の描く理想の上司像の1位は25.1%の支持を集めて「寛容型」。
そして指導のされ方について、「緊張感をもって厳しく指導してほしい」と答えたのが27.4%だったのに対し、「やさしくていねいに教えてほしい」と答えたのが72.6%もいた。

また、会社に望むことについて「自分の能力の発揮・向上ができる」という項目が年々減少傾向にあることも判明。そして「社会人として自分に自信があるもの・欠けているもの」という問いには、ワースト3が「創造力」「積極性」「社交性」となっていた。こういった結果から見ると、投稿者の意見はおおむね新入社員の意見を代弁していると言えるかもしれない。
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