
「我慢できず」「間に合わなかった」「ガスと同時に…」など、経験のある人も少なくない「便のちょいもれ」。大人にもなって…とショックと焦燥の中、ニオイで周囲に気づかれないかと対処法に困るものである。
この便のちょいもれについて、ユニ・チャームが2017年2月に20~79歳の男女に対して行ったアンケート調査によると、シニアに多いと思いきや、20代~30代にも他年代と同じくらいの割合で「経験あり」が存在していた。また、男性のほうが女性よりもやや多い結果になっていた。
そこでユニ・チャーム株式会社 マーケティング本部 ヘルスケア担当の西浦辰徳さんに、なぜ男性に多く、若年層にも便のちょいもれが起こるのかを聞いてみた。
便のちょいもれはなぜ男性のほうがやや多い?
ユニ・チャームは、軽い便もれを対処する専用パッド「ライフリー さわやか 軽い便モレパッド」の発売に先立ち、軽い便もれや下着への便付着を「ちょいもれ便」と定義して2月にアンケート調査を行った。データによれば、この「ちょいもれ便」を直近6か月間に経験した人は全体の19.6%に上った。成人の5人に1人は経験者となる。
また、男女別では男性22.7%、女性16.5%と男性が6.2ポイント多い結果となった。

男性のほうがやや多いのにはどんな理由があるのだろうか。ユニ・チャームの西浦さんはこう説明する。
「女性にも当てはまりますが、男性の場合は、痔の手術に伴う肛門括約筋(*1)の機能低下や、アルコール飲酒による下痢、仕事上のストレスによる過敏性腸症候群(*2)などでお悩みになる方が比較的多く、人数の多さにつながっていると思われます」
*1:肛門を広げたり縮めたりする筋肉
*2:主にストレスが原因で、下痢や便秘を慢性的に繰り返す疾患
なぜ20~30代でもちょいもれする?
この調査結果で目を引いたのが、年代別のデータだ。20~30代が21.3%と、他年代とあまり変わらない結果になっていた。肛門がゆるみやすいのはシニアというイメージがあるが、なぜ20~30代でも同頻度で起こるのか。

「軽い便もれは、出産やストレス・緊張、排便を促す薬の服用、肥満などが原因となることも多いため、若年層でも経験することがあります」
ユニ・チャームの資料によれば、便のちょいもれは、医学的にみると次の3つのパターンがあるという。
「漏出性便失禁」
内肛門括約筋(*3)が緩いため、本人がコントロールできず知らないうちにもれてしまう。
主に神経や脊髄の損傷、脳疾患などが原因。
「切迫性便失禁」
外肛門括約筋(*4)が緩いため、我慢できずにもれてしまう。
主に骨盤底筋のぜい弱化や過敏性腸症候群などが原因。
「腹圧性便失禁」
重い物を持ったときや咳・くしゃみをした時に便がもれてしまう。
*3:肛門にごく近い直腸の部分にある、腸のまわりを取り巻くような方向に走る括約筋。
*4:肛門を取り巻くように走り、肛門を閉じる働きがある肛門括約筋のうち、肛門の出口近くにある。
便もれを防ぐ日頃の予防策
これまで便のちょいもれ経験があった人もそうでない人も、予防策があればぜひ知っておきたいものである。そこでユニ・チャーム西浦さんにちょいモレを防ぐための日頃の対策を教えてもらった。
「一例ではありますが、食べ過ぎ・飲みすぎをしないよう自制することが基本的な予防策です。また、お腹が緩くなるような食べ物、例えば牛乳やアイスクリーム、消化に悪い食べ物やアルコールの摂りすぎに注意することも重要です。
また、骨盤底筋体操によって、肛門括約筋の機能を高めることも有効です。
その他、日常において、できるだけストレスがたまらないよう適度な運動や気分転換、十分な睡眠、休養をとるなどの心がけもいいかと思われます」
骨盤底筋体操は、ユニ・チャームによる医師監修動画のページが参考になる。
(石原亜香利)
取材協力
ユニ・チャーム