緑茶モヒートの開発にこめた伊藤園の挑戦 「若者のお茶離れ」に一石

伊藤園は茶系飲料ブランド「TEAs' TEA NEW AUTEHNTIC」の新製品「グリーンティーモヒート」を発表した。モヒートにも使われるミントジュレップを緑茶に加え、スッキリした甘さと茶の苦み・渋みを楽しめるという飲料だ。

グリーンティーモヒートは同社主催の、お茶を通じて地域課題を解決するアイデア創出イベント「茶ッカソン」の取り組み内容にインスピレーションを受けて開発された。同商品が生まれた経緯を、同社デジタルコミュニケーション室室長で、当時、開発を担当した小笠原嘉紀さんと、茶ッカソン実行委員会委員長・角野賢一さんに話を聞いた。

夜の渋谷を楽しむ若年層に飲んでもらえる緑茶飲料


緑茶モヒートの開発にこめた伊藤園の挑戦 「若者のお茶離れ」に一石

開発のきっかけとなったのは2017年1月の「茶ッカソン in SHIBUYA」。インバウンド向け渋谷マップの作成をテーマに参加者がアイデアを競い合い、「渋谷の新たな観光資源=オール(オールナイトで朝まで遊ぶこと)」をコンセプトにした観光マップを提案したチームが優勝した。

このアイデアを元にして、伊藤園と渋谷区観光協会、國學院大學の産官学連携でクラブやバーなど夜の文化を紹介する「SHIBUYA NIGHT MAP」を制作することに。さらに「夜の渋谷を安心安全に楽しむ」という部分から着想を得た伊藤園は、若年層にも飲んでもらえる緑茶飲料の開発に取り掛かった。

地域課題を解決するためのイベントを主催してきた同社だが、社会課題に沿った商品を作ったことは今までなかったという。
「だからこそ我々も(飲料メーカーとして)手伝ってみたいという気持ちがありました」(小笠原さん)

しかし、近年は「若者のお茶離れ」が叫ばれ、緑茶の購買層は圧倒的に40~60代が多い。原因のひとつと考えられるのが、緑茶の特徴である苦みや渋みだ。苦み・渋みが比較的強い同社商品の「お~いお茶 濃い茶」は40~50代男性を中心に飲まれており、若い人ほどスッキリした味を好む傾向にあるという。

緑茶の苦みや渋みをポジティブに活かすにはどうしたら良いか。小笠原さんが導き出した答えは、同じく苦みがありながらも若者に受け入れられているモヒートだった。
緑茶モヒートの開発にこめた伊藤園の挑戦 「若者のお茶離れ」に一石
伊藤園デジタルコミュニケーション室室長で、当時、「TEAs' TEA
グリーンティーモヒート」の開発を担当した小笠原嘉紀さん



何百回も試作を繰り返して完成した“伊藤園の挑戦”


同商品は、モヒートを意識して青っぽい香りがより残る茶葉を選定している。緑茶は、同じ茶葉を使っていても、蒸し時間の長さや火入れ(加熱)具合によって、味と香りが大きく変わってくる。小笠原さんは、「火入れをやり過ぎて茶葉の新鮮な香りが飛んでしまわないよう加減に気をつけた」と話す。また、緑茶の味が出過ぎると口内が収れん作用を起こしてえぐ味を感じてしまうため、ミントジュレップとのバランスも極力注意。何百回も試作を繰り返して完成したそうだ。
緑茶モヒートの開発にこめた伊藤園の挑戦 「若者のお茶離れ」に一石
茶ッカソン実行委員会委員長の角野賢一さん


国内において、甘くした緑茶は一般的ではない。加糖された緑茶が一般的な北米での営業にも携わってきた角野さんは「大事なのはしっかりとお茶の味を残しながら甘みがあること。そうしないとジュースと一緒になってしまう。そこにはやはりお茶の会社としてのこだわりをもってやってきました。『グリーンティーモヒート』は私達にとってもチャレンジです」と意気込みを語った。

6月23日には、東京・渋谷駅前の青ガエル観光案内所で「SHIBUYA NIGHT MAP」とともに無料配布。外国人観光客や大学生は、製品が緑茶のモヒートとわかると興味深げに受け取っていた。
TEAs' TEA NEW AUTEHNTIC グリーンティーモヒート」は、7月3日に全国で発売される。
緑茶モヒートの開発にこめた伊藤園の挑戦 「若者のお茶離れ」に一石
渋谷スクランブル交差点前の屋外ビジョンで放映されたCM


伊藤園