6月19日に行われたサッカーワールドカップ2018ロシア大会の日本VSコロンビア戦で、日本代表はFIFAランキング45位差で圧倒的不利とされていた下馬評をひっくり返し、歴史的な勝利を収めました。
ところが、毎度のことですが、渋谷や大阪ミナミ等の繁華街では、勝利に酔う人々が路上に溢れて返って、大きな混乱が生じていたようです。
せっかくの勝利に水を差すような迷惑行為ですから、警察は「DJポリス」のように迎合ばかりしているのではなく、もっと厳格に対処してほしいところです。
渋谷は「痴漢はんぱない」無法地帯へ
さらに、その混乱に紛れて、痴漢行為を繰り返す人が続出したようです。Twitterでは女性と思われるアカウントから、「スクランブル交差点付近やばすぎて痴漢はんぱない。おっぱい触られるわ 腕捕まれるわ サポーター全否定するわけじゃないけど 本当クズしかいない」「おっぱいとおしり触られてブラのホックはずされそうになりました…」等のつぶやきが多数あがっています。
実際、当時の状況を撮影した写真の中には、手の動きが明らかに不自然で、どう見ても痴漢をしているようにしか思えないものもあがっていました。また、「渋谷行って痴漢しまくってくる」「痴漢し放題やん 行けばよかったわ」等の、加害者や加害者予備軍の投稿もいくつもあがっていました。
犯人が特定されにくいような混乱に乗じて犯罪に走るあまりに狡猾な行為です。確かに警察は交通整理で忙しいかもしれないですが、目の前で大量の犯罪が起こっているのに一切検挙できておらず、無法地帯と化しているのは、治安を担う職務を全うできていません。ビデオカメラ等で証拠もたくさんあるはずですから、徹底的に痴漢行為に及んだ人を洗い出し、一斉検挙するべきでしょう。
集団痴漢は「性的フーリガン」と呼ぶに相応しい
そして、足の重い警察を動かすためにも、まずは社会全体が痴漢は重大な犯罪だという認識を改めて持たないといけません。
サッカーの試合会場の内外で暴力行為を行う暴徒は「フーリガン」と呼ばれ、かつてイギリス等を中心に大きな社会問題となりました。重大な犯罪として問題になり、警察が取り締まりを強化した甲斐もあって、現在では目立たなくなりましたが、今回発生した日本の痴漢暴徒も、ある意味「フーリガン」だと思うのです。
言わずもがな、痴漢は暴力行為です。
それを集団で行うのはただの暴徒ですから、「性的フーリガン」と呼ぶほうがふさわしいでしょう。「街を破壊するようなフーリガンは海外の話」と他人事のように捉えている人も多いと思いますが、「被害者の心を破壊する性的フーリガンは日本の話」です。
ワールドカップは予選があと2試合残っていますが、もしまた日本代表が勝てば、同じようなことが起こる可能性は高いと思われます。会場のゴミ拾いをする日本人観客が世界から評価されるのを誇らしく報じるのも良いですが、それに酔いしれる暇があるなら、まず足元の犯罪を無くして行くことが先でしょう。良いところばかり見て、臭い物に蓋をするのは、単なるご都合主義に過ぎません。
とりわけ、テレビ等のメディアはこの問題をしっかり報じることで、実際にお祭り騒ぎをしている人々の間にも、「この空間は痴漢が発生しやすい」と意識付けて欲しいと思います。そうすれば、現状よりかは多少なりとも監視の目も期待できるのではないかと思うのです。
セカンドレイプ防止法でメディアに注意喚起させよ
一方で、このようなニュースが上がる度に必ずと言って良いほど、「痴漢が嫌なら行かなければ良いじゃないか」「そんなところに行くお前が悪い」というセカンドレイプが噴出します。露出度の高い服装をする人の多いハロウィーンの際にも度々痴漢が出没し、合わせてセカンドレイパーがネットに大量に発生するわけですが、やはり今回もネットニュースが出てから、このような言動の投稿がTwitterを中心に散見されました。
もうその主張の欠陥についてわざわざ指摘するのは馬鹿馬鹿しいので割愛しますが、その「嫌なら〇〇すれば良いだけ」という無敵の理論を全てに適用するなら法律は要りません。
これらの「行き過ぎた自己責任論」は、自分が強い立場にいると思い込んでいるからこそ言えるエゴイズム発言なのですが、自分が被害者の立場や弱者の立場になれば自分が苦しむことになるということが全く想像できないのでしょう。物事をシステム的に考えられない人は昔からいたのかもしれないですが、それがインターネットの登場によってアジテーターからエンパワーされて、イナゴのようにネット上を飛び回っているのだと思います。
でもこのような言説を放置すれば、社会への悪影響は必至です。言論そのものへの規制は踏み込み過ぎだとは思いますが、再三提案しているように、メディアがこのような痴漢等の性暴力を報じる際には必ず「セカンドレイプは絶対にやめなさい!」と合わせて報じるが必要不可欠だと思うのです。それを義務付ける規制は今すぐに導入するべきだと思います。
(勝部元気)