“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロ・佐藤優が、その経験をもとに、読者の悩みに答える! 今回は高市政権誕生と自民党圧勝によって、私たちの生活は本当によくなるのかという疑問について。佐藤優が丁寧に答える。
高市電撃解散→自民圧勝で生活は豊かになる?
★相談者★奈良出身(ペンネーム)会社員 38歳 男性佐藤さんが、今回の衆院選をどのように見ているのか知りたくなって相談を送らせてもらいました。解散のタイミングや立憲民主党と公明党が合わさって誕生した中道改革連合のこと、高市さんの人気が異常に高いことについて佐藤さんのご意見を聞きたいです。
今の高市さんの人気は奈良出身の私から見ても過剰な気がしています。なんのための選挙かもよくわかりませんでした。奈良でも自民党と維新の候補者が対決している選挙区がありました。府知事と市長も選択しなくてはならない大阪市民の友人はあきれていました。新年早々始まった選挙で、私たちの生活はよくなりますか?
佐藤優の回答
2月8日の衆議院議員選挙では、自民党が1955年に同党を結成して以来、最大の316議席を獲得しました。しかし、これで自民党の力が盤石になったと見るのは早計と思います。この点に関しては、山口二郎法政大学教授の以下の分析が優れています。〈自民党には、冷戦時代の反共主義という大枠の中で、右派ナショナリストと穏健リベラリストが同居してきた。1990年代初めの冷戦崩壊の直後の時代には、そのような自民党の存在意義がなくなったという認識が党の内外に広がり、政党再編が模索された。しかし、権力の保持と行使、選挙での生き残りの2つの課題に関して、自民党は一日の長を持っており、その後の30年を生き延びた。
しかし、高市政権が従来主張してきた右派のアジェンダを追求し、民主主義の土台を揺るがすならば、自民党内の穏健リベラリストはもはや自民党に留まるべきではない。
(中略)衆参の選挙は、日本の政治が多党化に向かっていることを示したと言われる。しかし、政治理念や政策の基軸に関しては、「穏健な自由民主主義+責任ある財政運営」と、「ナショナリズム+国債発行による歳出拡大」という二つのベクトルが浮かび上がっているということもできる。その構図の中では、自民党の穏健保守、立憲民主党、公明党による穏健派連合の可能性は高まっている。〉(『現代ファシズム論』226~229頁)
高市政権の経済政策はネオリベラリズム(新自由主義)的です。対して中道改革連合は、金融偏重を是正し、生産を重視した国民経済を形成しようとします。中小企業を重視したボトムアップ、労働組合の利害関心を政策に反映させようとします。さらに自助努力ではなく、すべての国民が必要な教育や医療などサービスを無償で受けられるベーシックサービスの導入が必要と考えます。
★今週の教訓……資産があれば豊かに。なければ生活苦になる
―[佐藤優のインテリジェンス人生相談]―
【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数
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