
8月11日~13日の3日間、東京ビッグサイトにて行われた「コミックマーケット92」に出展したバーチャルアイドル事務所「岩本町芸能社」が、ネットで「お粗末すぎ」と話題になっている。出展内容の告知をまったくしなかったことが原因でプロジェクトがご破算となったためだ。
事前告知なしのプロジェクトで高過ぎる目標設定
岩本町芸能社は会期中、VR技術を使って同事務所所属のバーチャルアイドル「鈴木あんず」「白藤環」と会話ができるブースを出展していた。他社のVRアイドルと違い、リアルタイムで会話を楽しむことができる点が新しい試みだという。
同事務所では、2人を正式にデビューさせる条件として、「コミケ開催中の3日間で公式Twitterのフォロワー数を1万人以上にする」ことを掲げたプロジェクトを展開していた。
しかし、出展ブース名は「プロジェクト名未定」で、公式サイトにはコンテンツの内容はおろか、クリエイターや役者などのクレジットも公開されておらず、コミケの出展情報と「アイドルになりたいと思った。」というキャッチコピーが入ったイラスト1枚が掲載されているだけ。一体何の出展なのか事前に知ることが困難なため、ほぼ知名度ゼロのプロジェクトとしては高過ぎる目標設定だった。
ブースでのVRアイドルとのリアルタイム会話も、1日50人に満たない人数しか体験できず、1日目の終了時点で公式Twitterのフォロワー数は100人程度。2日目終了時点でも250人程度と目標には到底及ばない数字に。
ついに公式Twitterがマネージャーと口論
すると2日目の夜、同事務所の公式Twitter担当者がマネージャーに向けて「明日でコミケ終わっちゃうけど。ちょっと説明してほしい」「1万人行かないと困る。すごく困る」などとツイートし、Twitter上で口論を始めてしまった(現在、該当ツイートは削除されている)。
担当者は、昨夏も3日間で53万人の来場者数を記録したコミケの動員力と、Twitterの拡散力に期待していたようだが、マネージャーは見込まれる来場者数を資料に添付して、目標達成が難しいことをあらかじめ説明していたようだ。
3日目になっても担当者の個人的なつぶやきは止まらず「動悸がする。救心飲む」「数か月前、1万って言った自分を呪う」といった嘆きが増えていく。
動悸がする。救心飲む。
— 岩本町芸能社withあんたま(あんずと環 (@rbc_geino) 2017年8月12日
数ヶ月前、1万って言った自分を呪う。
— 岩本町芸能社withあんたま(あんずと環 (@rbc_geino) 2017年8月13日
閉会時間が迫ると、ついには「夢のなのかもしれない」と現実逃避をする始末。
最終的に、目標の1万人には遠く届かない400人程度でコミケの閉会を迎えた。
コミケ終了後、担当者はプロジェクトの失敗を謝罪。また、「コミケが終わったにも関わらず応援のコメントをくださる方、フォローしてくださる方がどんどん増えていてとても驚いています。皆様のご期待に添えるよう、なんとかもう一度チャンスをもらうために交渉を続けています。」と前向きなコメントを残した。
これに対し、「正直1万フォロワーは達成する気のない目標だったとしか思えないけど、それにしても宣伝がお粗末すぎた」「そらポシャるとしか言いようがない」という辛辣なコメントが見受けられた。
また、同じくコミケに出展していた叶姉妹が、事前の準備や購入者の整理などを完璧に行い絶賛されたのを受けて「叶姉妹の爪の垢を煎じて飲ませたい…」とつぶやく人もいた。
コミケ会期中はまったくフォロワーを集めれなかった同事務所だが、事の顛末をまとめたブログなどがネットで拡散され、8月15日20時現在では3000人のフォロワーを集めている。
実際にブースを訪れた人からは「話ができるのは面白い」「握手会気分になれて良い」と絶賛する声が相次いでおり、今後の動向に注目が集まっているようだ。