おおおーーーーい!! ハイローの映画の新しいやつがやってるぞ! 今すぐ映画館行け! 行ってください!!
「HiGH&LOW THE MOVIE 2」を今すぐ見ろ、絶対にだ。新キャラどっさり見せ場てんこ盛り

新キャラ、アクション、共にマシマシ!


ハイローこと『HiGH&LOW』シリーズはEXILEや三代目J Soul Brothersなど多数のアーティストを擁するプロダクション「LDH」が展開するプロジェクト。映画のほかドラマシリーズやライブ、コミック、テーマパークなど異常に幅広い方法でゴージャスかつ破天荒なエンターテイメントを見せてくれている。LDH系のファンだけではなく多方面のオタクを引きずり込む、まるで沼地に住む妖怪のようなプロジェクトである。


本作『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY(以下EOS)』は、その劇場映画版第三弾。3本目なのにナンバリングが「2」なのは、前作『RED RAIN』が番外編的な内容だったため。気になってるけど、シリーズものの途中からいきなり見ても大丈夫なの……?という人もいるかもしれないが、EOS冒頭で流れる『これまでのHiGH&LOW』みたいな映像が異常によくできてるし、見ているうちに大体どういうノリの話かわかってくるから安心して見に行って大丈夫である。

ストーリーは『RED RAIN』の後からスタート。『THE MOVIE』で描かれたコンテナ街の戦いに危機感を覚えた山王連合会のコブラはSWORD各勢力のリーダーを呼び寄せ、協定を結ぶことで地区全体で自衛しようとする。しかし「女たちを守る」ことを至上命題とするスカウトチーム「ホワイトラスカルズ」のリーダーROCKYら各リーダーの反発にあい、交渉は決裂。

ROCKYが協定を蹴ったのには、対抗する悪のスカウトチーム「ダウト」のリーダー、蘭丸が出所してきたという理由があった。確実に抗争が控えている今、それがほかのチームに飛び火することを恐れたのである。出所した蘭丸は案の定ホワイトラスカルズの縄張りを襲撃し、SWORDの切り崩しをはかる。さらに刑務所内の"王者"ジェシーやフォーらプリズンギャングを呼び寄せ、その戦力でSWORD全体を支配下に置こうとする。

一方、SWORD地区のカジノ計画をめぐるヤクザ組織九龍グループと政治家の癒着の証拠を収めたUSBメモリを託された琥珀と九十九は、その内容を公表する準備を進めていた。これを妨害するため、九龍グループは襲撃チームと最強の刺客"源治"を送り込む。
5つのチームを巻き込んだダウトとの抗争、そしてUSBメモリをめぐる戦いはどうなってしまうのか。そして九龍グループはどう出るのか。

前作までに比べ新規キャラクターが大幅に増えたEOS。特に最強のプリズンギャング、ジェシーを演じるNAOTOの身体能力は圧倒的である。「投げられた瞬間に高速で逆立ちのようなバンプを取り、さらに逆立ちしたまま腕だけでぐるりと回転してから飛び上がって着地する」というような異次元の動きは目を疑う。なんせ三代目J Soul Brothersのメンバーなのでもともと動ける人ではあるのだが、小柄ながらバキバキに筋肉質でバネが強いというところをこれでもかと見せてくれる。眼福。

このジェシーと一応主人公格のコブラがタイマンを張るクライマックスは手から汗がダクダク出る緊張感。アクション映画的に見栄えがする立ち技だけではなく、互いに投げては組み付き、転がっては寝技の応酬になるというプロセスをきっちり描いている。地味な寝技をカメラワークと役者の動きで「この人たち全力で戦ってます!」という演出に組み込む手管には唸った。そして全盛期の猪木のような挑発をカマすコブラに被さる挿入歌『Do Or Die』……かっこよすぎて死ぬ……。

強烈な新キャラといえば同じく三代目J Soul Brothersの小林直己が演じる九龍グループの刺客"源治"もすごい。
小林直己という人はガタイが大きい上に幕末の侍みたいな風貌(関係ないがハイローには顔が幕末っぽい人がたくさん出ていると思う)なのだけど、この人が終始無言な上に異常に頑丈なヤクザを演じている。どのくらい頑丈かというと5階くらいの高さがある立体駐車場から放り投げても全然平気なくらいで、そんなのが日本刀を振り回して走る車から車に飛び移り、ひたすら無言で襲撃してくるのである。完全にターミネーターだ。前作のラスボスだった琥珀さん(異常に打たれ強い)と九十九さん(異常に打たれ強い)と雨宮兄弟(死ぬほど強い)が、もしもターミネーターと戦ったらどうなるのか……その実験結果がEOSでもあるのだ。

コブラちゃん、いいの? ホントにそれで……


九龍グループとカジノ計画による再開発をめぐり、主人公格のチームだった山王連合会の分裂が描かれるのもEOSの見どころのひとつ。実家が下町の銭湯であり、再開発のおかげで家業を続けられる見込みがあったテッツ、そして彼から相談を受けるダンらと、あくまで再開発も含め九龍グループ壊滅を目指す創立メンバーのコブラ、ヤマト、ノボルらの意識のズレは、これまでの彼らを見てきた目には痛々しい。

ほかのチームのピンチはケンカで助けようとするのに地元の仲間の実家のピンチは「おれを信じろ」としかいえないコブラ。そしてそんなコブラに対し「ついて行けない」と反発するダン。これまでギャグ要員だったダンが率先して反旗をひるがえす展開は本当につらい。山王連合会はあくまで「街を出た初期メンバーであるノボルが戻ってこられる場所」として機能していたため、ノボルが戻ってきた今逆説的に目的を見失っている。そんな厳しさを感じさせる展開が、EOSには待ち受けている。

ハイローランドで上映されていた特別映像では楽しくじゃれ合っていたダン、テッツ、チハルが離反するというギャップに案外筆者は打ちのめされた。
そして主要メンバーを欠いた状態で後戻りのできない「大人の喧嘩」に乗り出してしまうコブラ。お前! いいのかそれで!

というわけで、EOSはけっこうなクリフハンガーだ。11月には続編『FINAL MISSION』が公開されるが、ここで重要なのがさすがに11月までの短期間にはEOSのソフトは発売されないであろうという点だ。つまり上映は終わっちゃったけど『FINAL MISSION』を観る前に円盤で予習、という行動が取れないのである。物語が一応の決着を見せるだろう11月に間に合うためには、今劇場でEOSを見ておくしかない! バスに乗り遅れるな!!
(しげる)
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