メガネ、
メガネ!
そんな、どこもかしこもメガネだらけだったのは、10月11日~13日に東京ビッグサイトで行われた「国際メガネ展」(IOFT2017)。3日間で、世界21カ国・370社から74,000点の製品が集まったメガネ業界最大のビッグイベントだ。
折り畳めるメガネ
そんな中で今回はちょっと変わったメガネを紹介していこう。まずは1929年創業、90年の歴史がある大阪の老舗メガネメーカー「カンダオプティカル」。
ここが展示していたのは、ケータイと見まがうような薄型で手の平サイズのケース。実はこの中にメガネが入っているのだという
前面のふたを開けると
中にはなんとメガネが。フタを開けるまでおさえられていた耳をかけるツルの部分が飛び上がり、普通の大きさに。さらに伸縮自在の両端のフレームを横に引っ張って、いつものようにかけられるのだ。
この商品は「スリムフォールド」というもの。超薄型ケースにワンタッチで収納できる、“折り畳み式”携帯用メガネフレームなのだとか。30年以上のロングセラーだという。
竹のメガネ!?
この「カンダオプティカル」は創業以来、オシャレで先進的な、またチャレンジングなメガネを一貫して作り続けてきた。
例えば、こちら。
手前のメガネは、「竹」をフレームにしたメガネ。竹をあぶり、焼き目をあえて付けている。
奥にあるのは、視力矯正のためのピンホールメガネの一種だという。
ただよく見かける、昆虫の複眼のように小さな穴がいくつも開いているタイプではなく、笑福亭鶴瓶さんの細目のように、ほそい切り込みが入っているだけ。これでどのくらいの効果が見込めるのだろうか試してみたい。
これら竹メガネもピンホールメガネも、このメーカーから60年代から70年代の前半まで実際に売られていたものだという。
ビートルズオフィシャルサングラス!?
さらに同じブースで、ビートルズオフィシャルモデルという気になるサングラスを発見。
(C)2015 Apple Corps Ltd. A Beatles TM product
60年代、世界に向けてさまざまなサングラスを発売していたカンダオプティカル。とりわけ、細長い長方形のタイプ、いわゆる「カニ目」のサングラスは海外のミュージシャンの間で爆発的な人気を誇っていたという。その後サングラスは長らく作られていなかったのだが、あの四角いサングラスが欲しいと切望する人は根強くいたという。
かねてから先進のデザインで時代に風を吹かせてきたカンダオプティカルとしては、60年代の自由で熱いミュージックシーンで特に光り輝き、今もなおその時代の象徴である「ビートルズ」の名を冠したモデルとしてこれを復刻することで、当時の空気感を味わってほしいと考えた。そこで、2015年、ビートルズの諸権利を管理する「英国アップル・コア社」の許諾を得て作ったのだという。
(C)2015 Apple Corps Ltd. A Beatles TM product
3,000万円のメガネ
さてこちらは東京・台東区にある「株式会社ハンド」のブース。ここは金やダイヤ、べっ甲を材料に作る「宝飾めがね」の卸売メーカー。
このメガネの値段はなんと・・・
さんぜんにひゃくよんじゅうまんえん!
フレームにびっしりと使われているダイヤモンドは、ベルギー王室御用達の最高級ダイヤ。
またその先端に付いている「ピンクダイヤ」は大変希少で1個につき1,000万円以上するという。
さらにこの会社ではフレームにそれぞれ名前をつけており、これは「クイーン」。世界に類を見ない最高級のメガネフレームであることから「女王」の名を冠したという。
そんな宝石そのものの値段だけではなく、宝石をフレームに留めたり、メガネの土台を作ったりと、各パーツをそれぞれの職人(6人)が担当するため、さらにお金がかかる。完成するまでに費やされる期間はなんと1年4か月。1つの工程が終わったら別の職人の工房に持っていって作ってもらうため、それだけ時間がかかるという。
こちらは213万円のメガネ「銀河」
こちらは235万円のメガネ「サルビア」
ほか、一番安いメガネでも40万円で、それ以下のものはなかった。2006年からそんな宝飾メガネを作り続けている「株式会社ハンド」代表の沢谷宏裕(さわや・こうゆう)さんは自分たちを「世界で唯一のメガネメーカー」と謳ったうえで、これだけの高額なメガネを作り続ける理由を、「日本の高い技術を知らしめたいから」と語った。「『我が国にはこれだけの物が作れる職人がいるんだ』ということを知ってほしいんです」。もちろん採算は度外視だが、大手有名デパートでも意外とこうした高値のメガネは売れるという。
値段が高いとえてして「贅沢」とか「成金」という印象があるが、それは実は“さもしい”考えなのかもしれない。
今やドライブスルーで買えるメガネ店、安さを売りにしたチェーン店もあるが、服など身に着けるものにお金をかけるようにメガネも良いものを選びたくなる、そんな展示会であった。