
仮想通貨「Bitcoin」(以下、ビットコイン)は次世代の決済手段として世界の一部で利用が始まりましたが、取引所であるマウントゴックスの破綻ニュースで世間一般の注目を集めたため、デメリットが強調されがちでした。それでも投資のひとつとしても人気が高まり続け、最近ではバブルといわれるほど取引が活発になり、価格が急激に上がってきています。
結局のところビットコインとは何なのか? 今回はそもそもの仕組みや買い方、メリットとデメリットについて解説します。
そもそもビットコインとは?
ビットコインとは、2008年にSatoshi Nakamotoという人物の名前で発表された論文をもとに、世界中の人々によって作られた通貨です。
2017年12月1日時点でユーザー数は約2000万人、時価総額は約1700億ドル(110円換算で約18.7兆円)となっています。(Bitcoinブロックエクスプローラより)
ビットコインはFinTech(ファイナンシャルテクノロジー)領域の一分野で、ブロックチェーンという仕組みでできている「仮想通貨」の一つです。日本円やドルのように、紙やコインなどの現物は存在しないバーチャルな通貨です。円やドルにおける中央銀行のような発行主体もありません。現在、ビットコイン以外にもイーサリアムやリップルなど「仮想通貨」と呼ばれる通貨は何百種類もあります。発行されているだけで、ほぼ扱われていないものもたくさんありますし、詐欺のようなものまであるのでよく見極めましょう。
ビットコインは、メインサーバーで中央集権的に運用されているものではありません。
詳細は割愛しますが、P2P(Peer to Peer)という通信方式で、ネットワークに参加している複数のサーバーで「全く同じブロックチェーンを分散して」運用しています。
これにより、全く同じデータが複数のコンピューターに保管されているためどこか一つのコンピューターで障害が起こったとしても、全体に影響がないこと、不正や改ざんができないという信頼性が担保されているのです。
なぜ、値上がりしているのかというと、「金」と似ている性質があるためだと言われています。
発行の上限が2100万BTC(ビットコインの単位)とプログラムで決まっていて2140年ごろには上限に達します。
金も、地球で採掘できる総量が有限ですので、どちらも稀少性が高いという点がまず一つ。
また、データなので劣化しないこと、そしてブロックチェーンの技術を使っているため偽造ができない(信用が高い)というのが大きな理由です。
どうしたら入手できるの?
「ビットコインが欲しい!」と思ってきましたか? 手に入れるためには次の3つの方法があります。
1.買う
ビットコインは、インターネット上にある専用の「取引所」で口座開設(ここではやり方は割愛します)をすれば簡単に取引を開始することができます。
そこに1BTC=○○万というレートが表示されていて、今いくらで取引されているのかを知ることができます。最近では1BTC=100万円以上と、かなり価格高騰していますが、仮想通貨の取引所では一般的に0.001BTCから買うことができ、少額からでも始められます。
買ったコインは、もちろん売却もできます。
2.マイニングする
また、「マイニング」と言って、ビットコインを採掘する方法もあります。
ビットコインは上限を迎えるまで発行され続けるのですが、現在は10分に1度のタイミングで新しい数式が出てきます。その度、世界中の人が一斉にそれを解読しようと、ものすごいコンピューターを駆使するのですが、1番最初に解読できた人は報酬として12.5BTC(2017年12月1日時点)が得られるという仕組みです。
1BTCが100万だとすると、1250万円の報酬です。これは大きいですね! ただし、これにはものすごく複雑な計算処理を行えるコンピューターが必要ですので、なかなか個人でできるものではありません……。
3.もらう
ビットコインを持っている誰かからもらうという方法です。
QRコードも発行できますので、もう少し価格が安定するようになれば、さまざまな決済で活用される機会が増えそうですね。
ビットコインのメリット・デメリット
・メリットその1:一瞬で、少ないコストで世界中に送金することが可能
スマダン読者の方に、頻繁に海外送金をする方は多くないかもしれませんが、日本から海外へお金を送る場合、送金時・受取時の手数料や為替手数料等で結構な額になります。また、日数もかかります。一方、ビットコインの送金手数料は、金額によりますが一回あたり10円ほどと格段に安いうえに即日送金が可能です。
・メリットその2:新しい投資対象の1つとしての位置付け
ビットコインは投資ではなく投機(=ギャンブル)に近いものだと位置付けられるため、現時点で投資というのは苦しい所があるのですが、あえて書かせていただきます。
投資をするときには分散投資が大事ですよ!と、いろいろなマネーの教科書にも書いてありますが、円・ドルだけでなく、仮想通貨も一定割合ポートフォリオに入れておくという考え方もできます。
これまでは、株と債券をそれぞれ円とドルで……という4資産分散が推奨されていることが多かったのですが、債券の金利が低下しているので、その部分に他のアセットを組み込んでいくことも面白いと思います。
また、短期で考えた場合は安い時に買って、高くなったら売却し、売却益を狙うということも考えられます。
・デメリットその1:価格変動が大きい
現在は価格変動が大きく安定していません。1週間で10万円以上の値動きがあるなど、投機的な側面が強いことがあげられます。特に短期間では思った以上に元本が目減りする可能性もありますので注意が必要です。
また、取引量の増加による決済の遅延など技術的な解決するためハードフォーク(分裂)により新しい仮想通貨が誕生することもあり、取引に大きな影響を与えています。
・デメリットその2:実店舗で使える店がまだまだ少ない
ビットコイン決裁に対応している店舗は増えつつありますが、まだまだ少ないのが現状です。全国に店を構えるような企業では、ビックカメラやメガネスーパーなどが対応済み。LCCのピーチ・アビエーションも2017年中の導入を発表しています。
仮想通貨で得た利益に税金はかかる?
仮想通貨に課せられる税金については国税庁のサイトに見解が掲載されました。それによると、ビットコインを売却・使用することで生じた利益は原則として「雑所得」に区分され、所得税の課税対象となります。そのため、会社の給与のほかに仮想通貨の取引以外も含めて年間20万円超の利益を得た人などは確定申告が必要です。株式や投資信託で得た利益の場合は申告分離課税で一律20%が課税されますが、雑所得の場合は累進課税が適用となります。他の所得と合算して、最高で45%の税率が適用となります。詳しくは国税庁が公開している資料をご確認ください(クリックするとPDFのダウンロードが始まります)。
ちなみに消費税については非課税となっています。
確定申告をせずに後で無申告などが発覚すると、追徴課税や延滞税が必要になりますので注意しましょう。
今後はどうなる?
まだまだ値動きの幅が大きく安定しないビットコイン。投機的な要素もあるのですが、この後2020年のオリンピックも控え、ビットコイン決済ができる企業・サービスは相当増えると言われていますので、制度も整い利便性は向上していくでしょう。
今回はかなりザックリとお伝えさせていただきましたが、興味が湧いた方はまずは数万円程度からビットコインを保有してみてはいかがでしょうか。
(水野綾香)