Amazonプライム・ビデオ『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』。優勝賞金1000万円を賭けて、10人の芸人が密室でお互いを笑わせ合うサバイバルだ。昨年11月に配信されたシーズン1以降、出演者やルールを変えながら続編が作られてきた。そしてこの冬、地獄の釜が再び開く。新シーズン「4」の開幕である。

これまでのおさらい
『ドキュメンタル』の勝利条件は「とにかく相手を笑わせたら勝ち」ではあるが、競技として成立させるためにはルールを作る必要がある。シリーズを重ねるごとにそのルールも練られてきた。ここで一度おさらいをしてみようと思う。
全体を通して変わっていないルールは「参加費用は100万円」「制限時間は6時間」「小道具持ち込み可」「部屋にあるものは何を使ってもいい」「笑った場合 イエローorオレンジorレッドカード」「レッドカードで退場」「勝者には賞金1000万円」である。シーズン2から松本人志が自腹で100万円をプラスし「賞金1100万円」になった(参加費が100万円なので、差し引き1000万円のプラス)
2016年11月に配信されたシーズン1では、斎藤司(トレンディエンジェル)や久保田和靖(とろサーモン)といったM-1王者を始め、くっきー(野性爆弾)やジミー大西などの強力なボケ、宮川大輔、藤本敏史(FUJIWARA)といったツッコミまで顔を揃えた。ツッコミでも活躍できるのが『ドキュメンタル』の面白いところ。ふわっとしたボケをシャープにツッコめば、ツッコミにも勝機がある。

日村勇紀(バナナマン)、児嶋一哉(アンジャッシュ)、小峠英二(バイきんぐ)と、よしもと勢以外からも続々と参加者が集まったシーズン2(2017年4月配信)。大島美幸(森三中)も初の女性参加者となり、他の参加者が「大島さん」と呼ぶと、勘違いしたアンジャッシュ児島が「児島だよ!」と返事をしてしまう事故も生まれた。
シーズン2では「笑わせた側に1ポイント」が入るポイント制度が追加された。これにより、「笑わない」というディフェンスのスキルと、「笑わせる」というオフェンスのスキル双方が評価されるようになる。
シーズン3(2017年8月配信)には、ケンドーコバヤシ、秋山竜次(ロバート)、春日俊彰(オードリー)、山本圭壱(極楽とんぼ)と重量級の芸人たちを、後藤輝基(フットボールアワー)がさばいていく。後藤が持ち込んだ「おもしろ消しゴム」が、思いもよらない場所から出てきたりした。
シーズン3で追加されたのは、松本人志自身も「発明」と賞賛する「ゾンビルール」。敗者たちがゾンビとなり、残った参加者たちを笑わせに蘇ってくるのだ。ゾンビが生存者を一掃すれば「ノーゲーム」となり、参加費100万円が払い戻される。ゾンビは笑ってもいいし、チームプレイも可能。まさに「死闘」の展開が次々と生まれた。
シーズン4:初めてコンビで参戦!
今回配信が始まったシーズン4では、追加されたルールはほとんど無い。「部屋の中から電話で出前を取れるようになった」くらいである。それだけルールが成熟したということだろう。参加者は以下の10人だ。
宮迫博之(雨上がり決死隊)、藤本敏史(FUJIWARA)、飯尾和樹(ずん)、くっきー(野性爆弾)、井戸田潤(スピードワゴン)、黒沢かずこ(森三中)、西澤裕介(ダイアン)、ノブ(千鳥)、大悟(千鳥)、クロちゃん(安田大サーカス)
第1話では、『ドキュメンタル』の招待状を受け取った参加者たちが、1人また1人と部屋に入ってくる。招待状を受け取ったことは誰にも言わず、相方にも内緒。というわけなので、ノブが待つ部屋に大悟が入ってきた時は……。
ノブ「うそー!なんでおるん!?」
大悟「あかんわノブおる!ノブおったらあかんわ!」

コンビ揃っての参戦はドキュメンタル始まって以来のこと。新たな試みに松本人志は「千鳥って面白いもんで、どっちも向いてるんですよね。この番組に」と大きな期待を寄せ、ノブは「コンビ組んで何かやってもありですか?」とルールを確認する。
しかし千鳥の弱点は「二人ともゲラ(笑いやすい)」なこと。漫才の最中ですらお互いに笑い合ってしまう千鳥。相方を自滅に追い込むことだってありうる。だからこそ大悟の第一声が「ノブおったらあかんわ!」だったのだ。果たしてコンビで6時間を耐えきれるか?
クロちゃんが台風の目に
もう1人注目するならクロちゃんだろう。自分発信で人を爆笑させるタイプではないのだが、とにかくいじられやすいのだ。藤本も「反射的に言うてまうもん」といじり倒し、他の参加者に「やめてくれ」と止められるほど。クロちゃん自身はそのままでも、周囲は魂を注いでしまう危険がある。
さらに『水曜日のダウンタウン』の影響か、クロちゃんは困っている顔のイメージが強い。笑っている姿が想像できないのだ。笑わせて、笑わない。実は最強の挑戦者かのかもしれない。

でもツッコミがいなくなったらクロちゃんに勝機は無いのでは? とも思うだろう。『ドキュメンタル』には「面白くないのに笑ってしまう」という不思議な磁場があることを忘れてはいけない。シーズン1では、ソファに座っていただけのハチミツ二郎が突然噴き出したり、とろサーモン久保田の「面白くないPPAP」にくっきーが爆笑したりした。
松本「それを見て我々(芸人)がまた笑ってしまい、それを見て視聴者が笑っている。客観、客観、客観っていうね。全然面白くないから笑ってしまうってことが、未だに全然あるなぁ」(『Documentary of Documental』より)
テレビのルールは通用しない
全員が出そろい、いよいよ始まる6時間のカウントダウン。全員が部屋の中をウロウロ歩き回り、煙草を吸い、ペットボトルの水を飲みつつ様子を見る。剣を手に間合いを計る武士のようだ。
ここで藤本が「飯尾さん、オープニングギャグお願いしますよ」と飯尾に仕掛ける。全員に見てもらおうと立ち位置を決めるも、トイレから帰ってきた宮迫が「アレ流さんでいいの?」と割り込み、ギャグのタイミングは有耶無耶に。テレビバラエティで見慣れた「フリオチ」のチームプレイは、ここでは通用しないのだ。

参加者紹介やルール説明がメインだった第1話に続き、第2話はいよいよ本格的なバトルが始まる。クロちゃんをいじりつづける藤本、きゅうりを漬けてきた黒沢、ハンバーグ師匠の衣装に着替える井戸田、恒例の心霊写真を取り出すくっきー。開始1時間を待たずに飛び交うイエローカード……。
開始前。メンバーを見渡した松本人志は「今回は6時間もたないかもしれない」と言った。その言葉が本当になるのか。しっかり見届けたい。
『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』
※Amazonプライム・ビデオとは
プライム・ビデオは大ヒット映画をはじめ、国内外のドラマ、話題のバラエティー番組やライブ映像などが、プライム会員なら追加料金なしで見放題。話題の松本人志による「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」、「戦闘車」や「バチェラー・ジャパン」といったプライム・ビデオだけのオリジナル番組も豊富に取り揃えている。
(井上マサキ)
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