
いいアイテムだなあと思うのですが……わがままを言うとあと3日早くならなかったかなー!
宝島社のバッグってA4サイズが入るものが多いので、コミケでの重宝っぷりが半端じゃない。しかもこれ厚みもあるので、旅行に持っていきやすい。
でもコミケが29日からなんだもん、ギリギリ間に合ってないよー。次のイベント用に買おう。
さて11話はチビ太による復讐回。
このアニメで「キレたら一番やばい」のはチビ太だ。
彼は強くはないけど、「絶対負けない」根性と石頭の持ち主なので、悪い方に作用すると手に負えない。
じわじわ逃げ道が無くなっていく感覚など、チビ太だとわかっているのになかなか怖い演出なのはGOOD。『悪魔の手毬唄』で『八つ墓村』でしたね。
赤塚版・88年版・おそ松さん版のチビ太
チビ太は最初のコミックスから、88年アニメ版も含め認知度の高いキャラだ。
おでんといえば日本人の半分はチビ太を思い出すのでは。
サークルKサンクスでは「チビ太のおでん」が1993年から2014年まで常設販売され、2016年に復活しているほど。
ハゲ頭に一本の毛、頬の三本線、おでん、と見た目的にキャッチーな要素の多い彼。
『おそ松くん』では、時々イヤミと悪事を働くこともあるけれど、人情に厚く優しい少年として描かれている。
なお口癖の「てやんでぇバーローちくしょー」は、88年アニメ版の声優田中真弓のアドリブ。
原作のチビ太主人公回では「チビ太の金庫破り」が有名。
金庫破りの名人として逮捕されていたチビ太が、改心して真面目に働きはじめ、もうしないと誓う。
ところが誤って金庫に入ってしまったおそ松とチョロ松に気づき、チビ太は金庫を開けて助けてしまう。
チビ太は警察の前に自ら逮捕されにいくも、イヤミ刑事は素知らぬふりで彼を見逃す……。
オー・ヘンリー『よみがえった改心』を題材にした作品で、ラストシーンでピッキングツールを捨て、ハタ坊と旅立つシーンはぐっとくる。
原作、88年アニメ版、『おそ松さん』一期15話、全てに出て来る「チビ太の花のいのち」。
助けてあげた花の精の、恩返し物語。同時に、愛した彼女の命が失われてしまう、儚い話だ。
チビ太が何に対しても情をかける人間であり、同時に様々な喪失を抱えながら生きていることを際立たせたエピソードだ。
設定の曖昧なチビ太
ところで、原作で花の精が出て来る回では、チビ太の家は土管だった。
幼少期の彼は、食べるものも住むところも無い浮浪児として度々描かれている。
『おそ松さん』一期でも話題になっていたが、頬の三本線は顔を洗えず汚いまま固まった鼻水、というのが由来らしい。
ところが原作では、しっかりした両親に育てられたやんちゃ坊主、という描写もある。
父親もしっかり登場している。
年齢もいい加減で、六つ子の上だったり下だったりする。
このガバガバな設定が、作品にとってプラスになっている。
六つ子やイヤミやデカパンのような濃いキャラを描く際、語り部的立ち位置のキャラとして、チビ太は使い勝手が良い。物語にあわせて置き換えやすいキャラなのだ。
『おそ松さん』は一応は「その後」の物語なので、どう設定を置くか相当迷っただろう。
イヤミと組んで無茶をやらかすことも何度かあるが、毎日おでん屋台のために働く勤勉な青年としての存在感が今の軸だろう。
彼のハイブリッドおでん屋台は、働かないキャラだらけのこの作品における、勤労の象徴だ。
クレジットカード使えるほどだし、トト子やにゃーも飲みに来ている。
でもそこまで儲かるわけでもなく、日中は色んな仕事を掛け持ちして働いている。
過去に浮浪児だったのかボンボンだったのかは一切語られない。語る必要がない。
描かれているのは、一人暮らしで夢に向かって精進する、幸せな男の姿だ。
だからこそ、今回の十四松の「幼馴染だよ」発言は、引っかかってしまう。
彼が苦労してきた間、六つ子は自堕落に何もしていないのが、比較で浮かび上がってしまう。
赤塚不二夫にとってのチビ太
赤塚不二夫は、子供時代に近所に住んでおり、一緒に火事を見に行った年下の少年をモデルに、チビ太を描いていた。
赤塚が何をやっても少年はめげなかったため、一目置いていたようだ。
チビ太のモデルも登場 「赤塚の育った町」が思い出冊子(朝日新聞)
『おそ松くん』で六つ子はいつもいじめてくる天敵。
しかしチビ太はいじめられっ子ではない。何をされようとも負けない根性の持ち主だった。
六つ子は『おそ松さん』でもいまだに、チビ太を馬鹿にしている。
ツケを踏み倒し続けても何一つ悪いと思っていないあたり、ガキ大将感覚が抜けていない。
チビ太「幼馴染だから知ってるよな? おいらの執念深さ! そして打たれ強さ」「やられたら絶対にやりかえす美学をよ!」
11話のチビ太はかなり狂気的に描かれているが、これも子供時代のケンカの延長なんだろう。
しばらくしたらまた、六つ子を見守る側に戻るだろう。チビ太は大人だから。
この作品の中では常識人度はベスト3に入るような人物。もっと幸せになってほしい。花の精と幸せに暮らしてほしかった。
でも全員ハッピーエンドがやってこないから、『おそ松さん』は後を引く。
(たまごまご)