郊外療養に補助金支給 社員の働き方と健康を改革するひまわり生命
左から上田寛之氏と竹森由加里氏

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命(以下、ひまわり生命)は、社員の働き方改革に加えて、社員の健康維持、増進が不可欠であるとの観点から「健康経営」を目指している。今回、同社の竹森由加里 人財開発部人事グループ副長に、働き方改革および健康経営の施策を、上田寛之 営業企画部統括推進グループ課長代理には、健康増進に向けたウォーキングなどを実施する「クアオルトプログラム」を実際に体験した話をうかがった。


特別連続休暇の取得率はほぼ100%


――ひまわり生命は生命保険企業から、「健康応援企業」への変革を目指すとしています。この背景から教えてください。


「健康応援企業」への変革
竹森 由加里(以下、竹森)
これまでの生命保険会社の役割は、お客様の万一の時のために、保険金をお支払いすることでした。これから高齢化社会に突入するなかで、元気で長く生きられる方を応援する観点から、お客様が健康になることを応援する「健康応援企業」への変革を目指しています。
そこで、弊社では、働き方については、「時間」から「質と工夫」へとベースを変えており、社員一人ひとりの柔軟な働き方やワークライフバランスを促進するため、さまざまな施策を展開し、生産性向上を図っています。
健康応援企業へ変革するためには、社員とその家族の健康維持・増進が不可欠であるため、健康経営にも取り組んでいます。



――働き方改革について、具体的などんな施策を実施していますか?


プレミアムフライデーズなどの働き方改革
竹森
たとえば、「プレミアムフライデーズ」の導入があります。
社員は自身や業務の都合に合わせ、月に1度、交代で金曜日に15 時退社とする制度です。通常、「プレミアムフライデー」は月末の金曜日ですが、弊社は月末にこだわらず、柔軟性を持たせています。テレワークでは、全社員が17年度中に一度は体験し、働き方の質を高めていきます。

昨年度から本格スタートした「連続した休暇取得」は、(1)特別連続休暇(5日)(2)第二特別連続休暇(5日)(3)指定休暇(4日)を必須取得の休暇としています。また、年末年始やGWなどに有給をつけて長期休暇をとることを推奨しています。なお、取得率に関しては、昨年度は(1)99.2%(2)90.3% (3)99.5%に至り、100%にかなり近づいています。


また、シフト勤務も実施しており、「アーリーワーク」、「レイトワーク」も認めています。仕事の状況で働く時間も柔軟に変えていくことも大切です。
仕事と介護、育児との両立を支援する環境を整え、介護、育児を理由とした離職を防ぐことを目的として週4勤務制度も導入しています。
育児・介護などの時間制約のある社員もいきいきと働き、活躍できる環境を整えるため、2020年度末までに「残業ゼロ」の会社を目指しています。2017年度は「19時以降在社社員ゼロ」に取り組んでいるところです。ちなみに、弊社の勤務時間帯は9時~17時です。




――これらの施策を着実に実施することはハードルが高そうに見えますが、休暇の取得率も着実に上がっており、働く環境も良好であると認識できました。では、「健康経営」の施策はいかがですか?


「健康経営」の施策
竹森
2016年2月から全社員3,200人に対してウェアラブルデバイスを配布しています。社員の健康推進とムードアップ策のため、年に数回キャンペーンを開催しています。
現在は「部署対抗戦・ひまわりオリンピック」を開催し、各部トーナメント方式で歩数と参加率を競い合っています。実は歩数対決をやるとかなり盛り上がるんです! 各社員が対抗意識を持って歩こうと努力するようになりますね。



――昨年8月からは、全社の終日禁煙化を実施していますね。



終日禁煙化
竹森
はい、全国131カ所の営業拠点を含む、全社の占有スペースを終日禁煙にしました。医療機関に通院し、禁煙治療を行った社員を対象に、健康保険組合から補助金を支給しています。


クアオルトを全社員に推進 体験した社員には補助金


――そして「クアオルト」の取組みですが、こちらについては。


全社員にウォーキング体験などを推進
竹森
クアオルトとは、ドイツ語で健康保養地・療養地という意味です。日本型クアオルトは自治体が主体となり、自然環境を活用した質の高い滞在型の健康保養地を目指しています。現在、自然環境を活用した健康増進に向けたウォーキングの実施や、地場産食材を使った栄養バランスに優れた地料理の提供、温泉施設との連携などがプログラム化されており、地域住民や来訪者の健康支援に取り組んでいます。

全社員がクアオルトで、ウォーキングなどのプログラムを体験することを推進し、体験した社員には補助金を支給しています。
そしてもう一つ、特定保健指導対象者を健保等と連携し、糖尿病を中心とした重症化予防をサポートします。2017年度は山形県上山市にて一部社員を対象に「宿泊型新特定保健指導」を実施しています。



――クアオルト実施の経緯は。


クアオルト実施の経緯
竹森
弊社が健康応援企業を目指すなかで、ブランドの確立やコミュニケーション活性化の観点からもクアオルトを活用し、全社員が1泊2日のクアオルトプログラム体験をすることになりました。現在、山形県・上山市と協定を結んでおりますが、機会があればほかの自治体とも連携することを考えています。

実は、クアオルトはハードな山登りではなく、心拍数を上げずにゆっくり歩きます。身体に負荷をかけず、無理せず歩くことが大事です。そのため、急斜面ではない地域で行います。



――上田さんはクアオルトプログラムをすでに体験されていますね。


クアオルトを体験した上田寛之氏
上田寛之(以下、上田)
はい、私は新潟県妙高市で体験しました。体験者は私が所属する営業企画部統括推進グループ約20名が参加しました。女性社員の参加率も高く、社員のお子さんが3名も参加していて、非常に和気あいあいの雰囲気でした。
休みの日に、みんなで集まってウォーキングする機会はそうそうないので、本当にいいプログラムだったと思います。



――どのくらい歩きましたか?


歩いた時間は往復で2時間弱程度
上田
往復で1時間半から2時間弱で、コースは長く感じませんでした。朝のウォーキング開始は7時か8時です。滝を見たり、山道を登り、全員で写真撮影をしました。


――実際にリフレッシュにもなりましたか?


クアオルトはいいリフレッシュに
上田
普段山や川を見る機会もないので新鮮でした。いいリフレッシュになります。社員同士のコミュニケーションが強まったことも実感できました。
私は昨年4月に本社に転勤してきまして、クアオルトに参加したことで、周囲の社員と話す機会も増えました。



――社員のお子さんとも遊んだとか。


社員の子供とも遊んだ
上田
手をつないだり、一緒に走り回りました。日常使わない筋肉も使いました。(笑)


――会社の文化によっても異なりますが、クアオルトは他社でも導入した方が良いと思いますか?


クアオルトは他社でも導入した方が良いか
上田
そうですね。気分をリフレッシュすることは大切ですし、社員同士の交流という観点からも、ぜひおすすめです。


――今後の「働き方改革」「健康経営」のあり方としては


今後の働き方改革、健康経営のあり方
竹森
当社のダイバーシティは持てる力・能力をフルに発揮することだと考えています。そのために「働き方改革」を推進し、「健康経営」に取り組んでいきます。その結果、社員自身が健康でいきいきと働ける会社になり、お客様の健康を応援する「健康応援企業」へ変わっていくと思います。


――ありがとうございました。
(長井雄一朗)