復活する企業内「部活」や「サークル」 福利厚生の最新トレンドを調査
(写真はイメージ)

福利厚生が充実している企業には興味が惹かれるものだ。この売り手市場・人手不足においては特に企業にとってアピールポイントになる。


最近ではどんな福利厚生がトレンドなのだろうか。福利厚生には、法定福利と法定外福利があり、企業が個性を発揮するにはこの法定外福利にどんなものを用意するかがポイントになってくる。

そこで法定外福利の中でも、トレンドの傾向やユニークな福利厚生を、福利厚生代行サービスのベネフィット・ワンの担当者に聞いた。

福利厚生のトレンド


法定外福利厚生の定番といえば、住宅、医療、育児・介護・保険などのライフサポート、慶弔、文化・スポーツ・レクリエーションなどがある。これらの法定外福利厚生において近年どんな傾向があるのだろうか。ベネフィット・ワンの福利厚生管理士・佐々木駿氏は次のように話す。

「一般企業には、保養所や社宅などの『箱』を所有するのではなく、外部のアウトソーシングサービスを活用する流れがあります。例えば、保養所の所有ではなく福利厚生サービスを利用したり、社員食堂を作るのではなくコンビニでも使える食事券などを配布したりするなどです。また、福利厚生を強化して、採用力の向上を狙う動きが強くあります」

福利厚生管理士が注目する企業のユニークな福利厚生3選


復活する企業内「部活」や「サークル」 福利厚生の最新トレンドを調査
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こうした採用力強化などを目的に、各企業はユニークな福利厚生を打ち出してきている。そのような中でも佐々木氏が注目している企業のユニークな福利厚生を3つ挙げてもらった。

●「ルーラ制度」/クルーズ株式会社
「勤続丸7年を迎えた社員に5日間の休暇と15万円の旅行代金をプレゼントするものです。ルーラという名称は、ゲーム『ドラゴンクエスト』に登場する移動用呪文から取られています。制度内容はメジャーですが、その制度の名づけにゲーム開発会社ならではの発想の面白さを感じます。アイデア次第で普遍的な制度もユニークな制度に変えることができることを示していると思います。
また、社員の方が愛着を持てる点でも注目しました」

●「出産お祝い金制度」/株式会社バンダイ
「出産祝い金もよくある制度ですが、バンダイでは第一子・第二子でそれぞれ20万円、そして三子から200万円支給という手厚さが独特です。少子化対策への本気度が分かります。女性にとっても働きやすい職場といえるでしょう」

●「子連れ出勤制度」/株式会社クレイジー
「よくある社内託児所とは異なり、オフィススペースに子連れ出勤でき、ベビーシッターに見てもらえる制度です。待機児童問題への対策だけでなく、社内コミュニケーションも促されている点に注目しました」

こんな変わった福利厚生も


ところで、ベネフィット・ワンは、オリジナルでさまざまな福利厚生を用意して、企業に提供している。株主優待券や各種セミナー・イベント、企業対抗野球戦など興味が惹かれるものが多い。中でもこんな面白い福利厚生がある。

ライフイベントに合わせてお祝いをプレゼント
誕生日、プロポーズ、婚約、結婚、新婚旅行、おめでた、出産、小学校入学…とあらゆるライフイベントのたびにプレゼントがもらえる制度。「淡水パールネックレス」、オンラインショップのクーポン、図書カードNEXTなどちょっとした品でありながら役立つものが設定されている。

「ある程度の規模になると、慶弔関係の福利厚生は会社で用意されますが、零細~中小企業においてはなかなか手が回らないことも多いです。このプレゼントの福利厚生は現金支給ではないものの、その代替を目指しており、もらったらうれしい、と思えるものが受け取れます」

ワイン飲み比べ・ゲーム大会・農業体験など
復活する企業内「部活」や「サークル」 福利厚生の最新トレンドを調査
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ベネフィット・ステーションが提供する各種イベントや部活、農業体験などの他企業の社員とのコミュニケーションが取れる福利厚生もある。

「会社においての『部活』『サークル』はコミュニケーション促進として非常に効果があります。最近、三越伊勢丹さんが運動会を復活させていました。
今後、東京オリンピックに向けて各企業このようなスポーツ関連の施策を増やしてくることが予測されますが、特に中小企業だと社内で趣味の合う友達がなかなかいなかったりします。そこでベネフィット・ステーションが間を取り持ち『部活』などを企画しています」


取材協力
株式会社ベネフィット・ワン
佐々木駿さん
福利厚生管理士。福利厚生のアウトソーシングを中心に事業を展開する株式会社ベネフィット・ワンにて法人営業に従事した後、企業と従業員の幸せな関係を気づくメディア「BOWGL(ボーグル)」を立ち上げた。

(石原亜香利)
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