
働き方改革の一環として、注目を浴びる「副業」。これを機に新たに副業を始めてみたいと考える人も多いのではないだろうか。
そこで、実際に副業の体験レビューを行いたいと思う。今回挑戦するのは在宅ワークでも簡単にできるライティングの仕事。大手クラウドソーシングサイトである「ランサーズ」を利用して、業務に取り掛かるまでの過程や実際にギャラが確定されるところまでを調べてみた。
ちなみに筆者はweb媒体のニュースサイトの編集・ライター経験を3年もつ。現在もIT企業のニュースサイトで編集やライティングを行っている。ライティングのクオリティはまだまだだが、基本的にネットニュースを書くことは好き。
ランサーズとは?

ランサーズとは、日本最大級のクラウドソーシングサービスで、企業サイトはホームページ制作、アプリ開発、ロゴなどのデザイン、ライティングなどのあらゆる仕事を発注でき、ユーザーは企業からの依頼を請け負うマッチングサイトだ。
1記事あたり1,000円もらえたら"かなりいい案件"
さっそく会員登録を行う。メールアドレスやパスワードの登録から自己紹介文を入力していく。自己紹介文は500字前後での作成が勧められており、サイトページの下部に記載例が載っていたのでそれを真似して記入していった。会員登録に要した時間は10分ほど。

登録後、とりあえずサイト内で仕事を探してみた。
・金融系ネタ(主にビットコイン)、長期案件は単価高い
・そのほかの記事は1記事あたり300円~800円
専門性が高く、かつ金融系のネタは単価が高い傾向にあった。そのほかの記事は平均300円前後。これが最低でも1,000文字スタートの案件なので、1文字あたり大体0.3円となる。安い。
そのなかでも割とコスパの良さそうな案件をみつけ、依頼メールを送ってみたが返信が来ないので、依頼メールが来た企業に乗ってみた。その中から割と単価が高そう、かつ書きやすそうな企業を選んでメッセージを返信。その後の担当者との連絡は基本的に指定のチャットツールを使用した。
すると、「テストライティングのため、さっそく3記事ほど執筆してほしい。ルールが把握できているようであれば本番用のテーマを依頼するが、ルールが把握できてない場合残留有り」と連絡がきた。ほかの案件でもテストライティングほぼ必須で、本番同様の作業を行って確認、公開をする流れだった。なお、テストライティングでギャラが発生しないところはザラにあるが、今回の案件はテストライティングの記事も実際に公開されるためギャラが発生するという。
こういったライターの選定は、DeNAのキュレーションサイト「MERY」の著作権問題があってから厳しくなったのではないだろうか。
コスパが悪いと感じた理由 「執筆条件が多い」「記事作成から入稿まで行う」
今回取り組む作業は、記事執筆に加えて、CMS(※)への登録も含まれていた。コラムの原稿執筆に加えて、CMS上で見出しやインスタグラム画像やYouTube動画などの埋め込み機能を活用し、記事を作成していく。記事の書き方やCMSの使い方・入稿のやり方はすべてマニュアル化されているので、その説明書を読んでいけば対応できる感じだ。

りゃまお
(※)CMSとは、簡単にいうと、Web初心者でもホームページを簡単に作成できるシステムのことだよ。
今回選んだお題は、ヘアスタイルに関連するコラム。普段からヘアカタログ誌を見る機会が多く、そこそこの知識があり、いろんなヘアスタイルに挑戦したこともあるため、経験も少しあるこのテーマを選んだ。
最低文字数が少ないもので3,300字、多いもので7,000字以上だったため「3,300文字」のなかからヘアスタイルを含む美容関連のテーマを3つ選んだ。WEBコラムは平均的にみても文字数が1,000文字前後の記事が多いため、この最低文字数はかなり多い方だと思う。加えて3記事も作成するわけだから、最低でも9,000文字を書くことになる。なお、お題の選び方は、テーマが書かれている一覧データから好きなテーマが選べる仕組みだった。
この時点で自分の書けそうなテーマを選んだのだが、ここでネックとなったのは文字数に加えてSEO対策(※)などを考慮した執筆条件が多いことだった。

りゃまお
(※)SEO対策とは、検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)の略で、記事をより多くの人に見てもらうためにGoogleの検索結果の順位を上の方にくるように記事を作ることだよ。
今回指定された条件は以下のようなものが挙げられる。
・大見出しを一記事につき10個以上付けること
・画像と動画を合わせて20個以上埋め込むこと
・記事文字数が3,300字以上であること
・見出し中に指定のキーワード(8個)を8個以上入れること
・本文中に指定のキーワード(10個)を10個以上入れること
サイトや記事の検索順位を上げるためにSEO対策の記事も書く機会もあるが、ここまで縛りの多い記事は初めてだった。そのため通常の記事執筆よりかなり時間がかかった。結局1記事あたり(原稿+CMS作成)で4~5時間かかり、3記事で約15時間近くかかった。副業としてはかなりハードなのではないだろうか。
手取り額は一体いくらに……?
今回の記事は1本700円なので、3記事で2,100円という結果になった。ちなみにここの企業は「5,000円未満の支払いには対応していない」ため、5,000円分の業務をこなさないとお金が手元に来ない。そのため、今回の分はまだ振り込みされていない状態となっている。
この1記事あたりの金額はライティングの数をこなしていけば、最高で1,000円までランクアップするらしい。ただ、1記事単価を1,000円にするには月200本の記事を制作しなければならないため、かなりハードルが高く感じる。
今回、ランサーズで副業してみて思ったのは、ライター経験のある人が副業でよりコストパフォーマンスを求めるのであれば、専門性の高いサイトや自分の得意分野に特化した媒体のライターになった方が効率が良い。各媒体の専属ライターは1記事あたり最低でもコラム執筆だけで3,000~5,000円のギャラが発生するからだ。
ライターでない人の場合だと、普段からブログを書く習慣がある人や、まとめサイトでの執筆経験に慣れている人なら実践できなくもない仕事だと思う。ただし、まったくライティング経験がなく、SNSを普段から更新しない人は向いていないだろう。