チャン・グンソク、デビュー25周年「もっともっと走れます、ついて来てください!」/レポート

■チャン・グンソク/【JANG KEUN SUK THE CRISHOW IV -Voyage-】ライブレポート
2018.02.09(FRI) at 東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ
(※画像8点)

チャン・グンソクが継続的に開催しているコンサート・ブランド“THE CRISHOW”の第4弾、『JANG KEUN SUK THE CRISHOW IV-Voyage-』。昨年10月に横浜から全国ツアーがスタートし、追加アリーナ公演として大阪・東京公演を実施。
レポートするのは東京・武蔵野の森3DAYSの初日、2月9日(金)の模様である。
 
気球が浮遊する壮大なプロローグ映像に続き、スクリーン浮かび上がったのは“喜”の文字。セットリストは昨年リリースされた4thアルバム『Voyage』収録曲を中心に、「人生という旅行(Voyage)で人間だったら絶対に感じられる喜怒哀楽」(グンソク)に紐づけて選曲・構成する、というツアーコンセプトが早速示された形だ。

1曲目は明るい生命力に溢れた「Darling Darling」。幕が振り下ろされると、ひまわりなど鮮やかな色の花が咲き誇る青空のイラストレーションをバックに、グリーンのシャツに革のパンツ姿でグンソクが階段を降りて来る。軽妙な生バンド演奏に乗せ体でリズムを取りながら、自らトランペットを吹くようなジェスチャーも盛り込みつつ、甘い歌声を聴かせた。
チャン・グンソク、デビュー25周年「もっともっと走れます、ついて来てください!」/レポート

続く「Endless Summer」も軽やかに歌い終えると、「久しぶりだ~! ここどこなの? 東京でしょ? みんな元気だった? 僕のことどれくらい待っていたの?」とファンの“ウナギ”たちに語り掛けると、「For you~僕が頑張れる理由~」のイントロに乗せて、まずはコール&レスポンス。自ら大きく右手をワイプさせて盛り上げると、艶っぽい中低音を響かせながらシャウトも盛り込み、表情豊かに歌唱。座り込んで膝をつく、そんなアクション一つにも黄色い歓声が湧き起こる。左右の巨大LEDに映し出されたグンソクの額には、早くも汗が浮かんでいた。

流ちょうで語彙豊かな日本語のMCでは、初めてこの会場で公演する「緊張感もある」と明かしながら、「ウナギたちと一緒ならどこでも行ける」「全国を廻って全国のウナギから応援してもらって、自信満々!」とファンへの感謝と信頼感を示した。

背後三面のLEDを貫いて広大な花畑が映し出される中、アコースティックギターのオーガニックな音色に乗せて「ひだまり」を優しく歌い届け、アウトロの最中、手を振って一旦ステージから姿を消したグンソク。
ほどなくして始まったのは、“怒”のシークエンス。月蝕のイメージ映像、蠢く無数の赤いライトの中、歪んだギターアルペジオが鳴り響き、やがてヘヴィーなバンド・アンサンブルへ。
チャン・グンソク、デビュー25周年「もっともっと走れます、ついて来てください!」/レポート

エナメル・ジャンパーに衣装替えしたグンソクが再登場、スモークが漂い不穏な空気が立ち上る中、記念すべき日本デビュー曲「Let me cry」を妖しくパフォーマンスする。歌い始めは原曲が分からないほど大胆にアレンジを変えていて、より大人っぽく重厚な表現を見せつけた。ドラマ劇中歌「お願い、My Bus!」も同様に、ロック色を前面に押し出して、叩きつけるような激しく強い感情を表現した。
チャン・グンソク、デビュー25周年「もっともっと走れます、ついて来てください!」/レポート

「今回のライブが終わったら、韓国に戻って次の日から新しいドラマの撮影が始まります」(グンソク)と相変わらず多忙なスケジュールをこなす彼は、本公演2日前に共演者との台本読み合わせが始まったそうで、先輩俳優たちと夜遅くお酒を飲み交わしたため「二日酔いでヤバかった(笑)」とのこと。来日した際のいでたちは、そんな状態を隠すための工夫がされていたという。気取りのない青年らしいエピソードには笑いが起きたが、平昌冬季オリンピック・パラリンピックの広報大使として聖火リレーランナーを務め、「こんなにファンが多い聖火リレーは初めて見ました」と江原道知事に言わしめたエピソードには拍手が。

2018年は「いい始まり」と振り返ると、「今年1年も充分に自信があるので、ぜひ応援してください! 最近の気分は“祭り”だね」と語り、「Beautiful change」では「ジャンプしよう!」と煽って勢いよくパフォーマンス。「渇いたKiss」は激しくも朗らかでポップに、右へ左へとステージを動き回り、自信に溢れた表情を見せていた。

スクリーンに満天の星空が映し出され、やがて銀河へと移り替わると、“哀”のコーナーへ。「会いたくて」がピアノ独奏で始まり、バンド全体の音が加わった後、シャツ姿のグンソクが登場。
まるで星空の中に浮かんでいるような幻想的な情景が美しく、R&B調のミディアムバラードを深みのあるよく響く歌声で届けた。
チャン・グンソク、デビュー25周年「もっともっと走れます、ついて来てください!」/レポート

続く「卒業旅行」ではステージ左上方に設置されたベッドのセットに腰掛け、落ち着いたムードの中、ルームランプに照らされながらしっとりと歌唱。繊細なファルセットから想いが溢れ出るようで、思わず聴き入ってしまう。窓の外に広がる星空にオレンジ色のライトが映え、曲が描くセンチメンタルな心象風景を表わしているように思えた。

「君ならどんなふうに」ではステージ右下方のバス停のセットに移動して腰掛け、美しいメロディーをロマンティックに歌い上げる。歌詞と連動して背後に虹が浮かび上がったり、流れ星が出現したりする仕掛けも。恋の悔恨を歌うやるせないフレーズで見せた表情がとりわけ素晴らしく、俳優としての表現力が垣間見える瞬間でもあった。

折り返し地点を迎え、開演からずっと立ったまま観ているファンを気遣い、「ごめんね、という気持ちがある。一回座って!」と声を掛けるグンソク。そういったファンの応援に「すごく大きなエネルギーをもらっています」と述べ、「誰かを好きになることは恥ずかしいことじゃない」「誰かが僕のことを好きになって、待ってくれている、という純粋な気持ちを思ったら、僕も失敗しないように(と、ライブに力が入る)」と真摯な想いを語った。

ライブでの表現は「CDと完全に違う音楽をつくらなきゃと思います」と考えているそうで、それを実現するバンドメンバー、コンサートスタッフにも「ありがとう!」と感謝を伝え、観客に拍手を求めた。巨大なLEDスクリーンがステージ左右に設置されており、表情を鮮明に確認することができたのだが、これは年末にグンソク自ら舞台監督に連絡して実現したのだそう。
「アリーナでは遠いところまで直接行けないので……」と、後方座席のファンを思っての発案だったことを明かした。
チャン・グンソク、デビュー25周年「もっともっと走れます、ついて来てください!」/レポート

興味深かったのは、独自のダイエット論で笑わせた後に語った「12時を過ぎてもキラキラしてる東京タワーは俺と似ている」というトーク。キラキラと輝くスターだから、という意味だと早合点したファンから起きた笑いを「シリアスな話だから(笑)!」と制すると、「東京タワーはいろんな意味ですごく高いし大きいし、東京の顔。“寂しくないかな?”と思った。隣に何もないよ?」とグンソク。「チャン・グンソクは寂しくないのかな? それは僕だけじゃなく芸能人の運命、責任感」と続ける。華々しい活動の影にある孤独と重責を想い切なくなったのだが、彼はそこに留まらず更に考えを進め、「人間だったらみんな同じ。“自分はすごく寂しい”“鬱な一日じゃないのかな?”と思う時、見えないかもしれないけど、家族がいたり友だちがいたり、ファンがいたりする。チャン・グンソクもウナギのファンだから、希望のある一日をつくりましょう!」とのメッセージを届けたかったのだという。言葉を丁寧に選びながら語った思いの丈は、続く「Parade」のパフォーマンスで具現化され、その真っ直ぐながひしひしと伝わってきた。

「みんな、一緒に頑張りましょう!」とのエールで締め括ると「Tomorrow」へと繋げ、ファンと美しいハーモニーを奏でて大合唱。この曲間、スクリーンに出た「GO!」を合図に観客が「WE ARE WITH YOU」と書かれたフラッグを一斉にはためかせる、というサプライズ企画も行われた。
歌い終えたグンソクは、「みんな何持ってる!?」と目を凝らし、「ああ、デビュー25周年の!」と気付くと笑顔を見せた。「日本でのデビューもほとんど10年、韓国では子役でデビューして25周年になりました。僕はすごく幸せな人だと思います」と語り出し、「この仕事は“今の僕”が完成ではないんだけど、もっともっと走れます、ついて来てください!」と決意表明。「25年前の昔のチャン・グンソクを探しながら、この曲を歌います」との言葉から、「In my dream」へ。花火のような、噴き出すインクのような、あるいは眼を閉じて瞼に浮かぶ残像のようなカラフルな色彩がスクリーンに映し出される中、丁寧に一言一言歌詞を紡いでいった。
チャン・グンソク、デビュー25周年「もっともっと走れます、ついて来てください!」/レポート

ファンを包み込む温かさが伝わって来るような「抱きしめたい」を届けると、本編ラストは「僕が一番好きな曲」(「Turn off」)、「みんなが一緒に歌わなきゃな曲」(「Don’t be afraid」)を披露。「Turn off」では歌声だけでなく眼差しでも多くを物語り、「Don’t be afraid」ではコール&レスポンスを重ねながら会場と一体化。ラストは色とりどりのテープが噴出し、華やかなムードの中終幕。「ありがとう、ウナギ最高!」と挨拶し、グンソクはステージを去った。

アンコール1曲目は「Voyage」。ヨット型のトロッコに乗り込みグレーのセーラーシャツに着替えたグンソクがアリーナを巡り、大移動。ステージから遠い座席、3階席以上の高い座席のファンにも近接感が味わえる演出で、歓喜の声が湧き起こった。
ステージへ到着すると、「ありがとう、みんな! まだ行ける? ジャンプ、ジャンプ!」(グンソク)と呼び掛け、小気味よいノリの「ボクノネガイゴト」で自らもジャンプを繰り返す。

最後は「Nature Boy」でダンサブルに盛り上げ、「“もう一回”はない!」と宣言した通り、歌い終えて一旦去ろうとしたのだが、湧き起こる「もう一回!」コールと手拍子に応えて再びステージに。「楽しい“旅行”でした。これからも僕らのVoyageは一緒に歩いていくことだと思うし、僕の願いごとは、みんながウナギになったことを後悔しないように、裏切りをせず、皆さんからの気持ち、義理を守ることだと思います」と語った。
チャン・グンソク、デビュー25周年「もっともっと走れます、ついて来てください!」/レポート

「どこまでが裏切りか分からないですよ? いきなりドラマが終わってニュースで『チャン・グンソク、結婚』って。……それは裏切り(笑)?」とジョークを盛り込み、笑いと若干のざわつきを巻き起こしつつ、「愛、何よりも義理だと思う。そういう義理を守っていきたい」と真剣な表情を見せた。最後は「Indian Summer」を放ち、生き生きと体を動かして、時にはセクシーに、自由で開放的なパフォーマンスで会場を沸き立たせた。

以前にもまして歌の表現力は深まり、より自然体なパフォーマンスとテンションが心地よかった東京初日。ファンとのやり取りも阿吽の呼吸が出来上がっていて、揺るぎない関係であることが伺えた。MCでも明かしていた通り、日本での公演を終えた後は韓国で俳優としての撮影が控えている。いくつもの顔を持ち、互いに影響を与え合いながら表現の幅を広げ、まだ見ぬ世界へと“旅”を続けていくのだろう。

(取材・文/大前多恵)

≪セットリスト≫
1. Darling Darling
2. Endless Summer
3. For you ~僕が頑張れる理由~
4. ひだまり
5. Let me cry
6. お願い、My Bus!
7. Beautiful change
8. 渇いたKiss
9. 会いたくて
10. 卒業旅行
11. 君ならどんなふうに
12. Parade
13. Tomorrow
14. In my dream
15. 抱きしめたい
16. Turn Off
17. Don't be afraid
<ENCORE>
18. Voyage
19. ボクノネガイゴト
20. Nature Boy
21. Indian Summer

≪番組情報≫
TBSチャンネル1(CS放送)「最新ドラマ・音楽・映画」
『チャン・グンソクライブ THE CRISHOW IV-Voyage- 全曲ノーカット版(仮)』
放送日時:4月1日(日)午後9:30~深夜0:00
※2018年1月18日(木)に大阪城ホールで行われた大阪ファイナル公演の模様をテレビ初独占放送
http://www.tbs.co.jp/tbs-ch/oshirase/2018_0209_1200.html

≪リリース情報≫
Live DVD
『JANG KEUN SUK THE CRISHOW IV -Voyage-」
2018.06.27リリース
¥15,980(税込)
※28ページフォトブック&オリジナル特典(未定)
[収録内容]
DISC1:11/8 大阪フェスティバルホール公演
DISC2:2/11 武蔵野の森総合スポーツプラザメインアリーナ公演
DISC3:ホール公演 メイキング&ダイジェスト
DISC4:アリーナ公演 メイキング&ダイジェスト
※KOARI(http://www.koari.net/)にてオンライン先行受付中

≪イベント情報≫
【2018年平昌冬季オリンピック・パラリンピック広報大使、江原道広報大使就任記念 
3月のX'mas Festival with JANG KEUN SUK チャン・グンソクと共に過ごす「平昌冬季パラリンピック」観覧ツアー】
日程:2018年3月9日(金)~11日(日)
※2泊3日間
ツアー企画・実施:株式会社フラウ・インターナショナル(観光庁長官登録旅行業第1970号)
ツアー販売:株式会社エフ・トラベル
http://www.jang-keunsuk.jp/2018_pyeongchang/

チャン・グンソク オフィシャルサイト
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