初期の格闘ゲームブームを支えていた作品のひとつが、SNKの『餓狼伝説』シリーズだ。このほかにもさまざまなタイトルで人気キャラを輩出していた格闘ゲームの雄・SNKだが、1994年に自社のキャラクターを3対3のチームバトルで対戦する形式の格闘ゲームを発表する。
当時の格ゲー界に新風を巻き起こした名シリーズ
1994年にリリースされたシリーズ第1作『THE KING OF FIGHTERS '94』は、オリジナルキャラも追加に加えてSNKの人気キャラが初めて一堂に会した。システム面で特徴的だったのが、3対3というチーム戦の採用。1対1の対戦が普通だった格ゲー界に新風を巻き起こした。
かくいう筆者も、KOFの人気だけを聞いてよく知らないままにゲームセンターに行き、キャラ選択画面で戸惑ったのを今でも覚えている。
しかし、この3対3でのチーム対戦は、慣れるととても面白かった。対戦相手に合わせてキャラクターを交代させることもできるなど、一種の駆け引きも楽しめた。さらに、本来なら別のゲームのキャラ同士を1つのチームに入れることもでき、他のゲームでは見られないような組み合わせというものも作ることができた。これは、KOFならではの楽しみだ。
また、KOFには当時社会現象にもなったアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』からインスパイアされたようなキャラ、表現も見られた。このほかにも対戦中の背景等、随所にネタを仕込むなど、知っている人なら格ゲーを楽しむ以外の楽しみ方もできたのではないだろうか。
ゲームセンターの対戦台に何度かチャレンジはしてみたが、素人に毛が生えたような腕前では、とても敵わない強者が多かったように思う。
そうやって練習したのは、KOFにはストーリーがありシリーズを通してプレイすることで少しずつ進んでいくからだ。操作が難しいと感じても、ストーリーが気になるので頑張って練習し、進めていこうというモチベーションにつながっていた。
制作会社が経営破綻したことも
2002年までは毎年新作がリリースされたKOFだが、格ゲーブーム自体は2000年になる前に収束してしまっている。これは、先に始めたプレイヤーの技量が上がりすぎて、新規に参入するプレイヤーがとても太刀打ちできずにすぐ辞めてしまったことが原因としてあげられる。
他にも、システムや操作が複雑化したこともあげられる。これは、当時さまざまな格ゲーをプレイしていて筆者も感じたことがある。特に、コマンドを連続入力してコンボをつなげていく格ゲーが増えてくると、初心者にとっては厳しい環境になっていったように思う。
人気作であったKOFだが、格ゲー全体の衰退によって徐々にプレイヤー数は減っていった。そのせいか制作会社であったSNKも2001年に経営破綻している。当時、このニュースを聞いてKOFもなくなってしまうのだろうか、と心配したものだ。その後別会社が権利を買い取ったため、続編は出続けている。
スマホアプリになったKOF
そんなKOFの最新作は、2016年にPlayStation 4用ソフトとしてリリースされた『THE KING OF FIGHTERS XIV』である。外伝を除く同シリーズでは初めての3Dとなっており、新たなストーリー展開の第一作目という位置づけである。つまり、今後も新作がリリースされていくはずであり、かつてのファンも再開しやすいタイミングと言えるかもしれない。
家庭用、アーケードでの新作は『THE KING OF FIGHTERS XIV』だが、最近の時代の流れと言うべきか、スマホアプリとしてリリースされている。これ以外の旧作もスマホに移植されている作品がある他、格ゲー以外の新作や有料アプリもリリースされている。
筆者は『THE KING OF FIGHTERS-A 2012』をプレイした。無料版と有料版があり、違いは使用可能なキャラクター数のみ。
スマホで格ゲーをどのようにプレイするのだろうかと思っていたが、ゲーム画面に重なって表示されるボタンやレバーを使って操作するようになっていた。チュートリアルから始め、少し遊んでみたがコントローラーを使わない格ゲーというものに慣れないため、思うようにキャラが動いてくれない。以前のように自由自在にキャラを操作するには、かなりの練習が必要そうであった。
しかし、ネット上の評判を見てみると、スマホアプリでもっとも面白いという評価が見られた。また、スマホで遊べる対戦格ゲーでは最高の作品だという評価もある。
(文月)