SUPER BELL"Z「あ・あ・あ・秋葉原でーす♪」で突如ブレイクしたテクノバンドの現在
画像出典:Amazon.co.jp「MOTOR MAN '18

ここ数年、市川沙椰さん、元SKE48の松井玲奈さん、私立恵比寿中学の廣田あいかさんなど、ファッション感覚で「鉄道好き」を公言する若手女性芸能人が急増中。そういった見目麗しき“鉄子タレント”たちが、この道40年以上の元祖鉄男タレント・タモリさんと『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)の鉄道企画で共演しているのを見ると、時代も変わったなと思わずにはいられません。


そもそも、こうした鉄道趣味の門戸開放は、いつ頃から始まったのでしょうか? 明確には定かではありませんが、1997年に登場したゲーム『電車でGO!』が大きく寄与したのは間違いありません。同作は、アーケードゲームとして旋風を巻き起こすと、プレイステーション版も発売され、こちらも100万本を売り上げる大ヒットを記録。別売りのハンドル型コントローラーが品薄状態になるといった現象も起こりました。


衝撃的だった「あ・あ・あ・秋葉原でーす♪」


この『電車でGO!』ブームから約2年後の1999年12月。突如として音楽チャートをにぎわせたのが、電車の車内アナウンスをラップで歌い上げた車掌DJ曲『MOTER MAN(秋葉原〜南浦和)』です。当時、この曲が『COUNT DOWN TV』(TBS系)で流れてきた時の衝撃は、今でも忘れられません。30位から20位までのウィークランキングにおいて、普通のJ‐POPナンバーが次々と紹介される最中、その流れぶった切るようにして突如として鳴り響く「あ・あ・あ・秋葉原でーす♪」という、テクノサウンドに乗せた車内アナウンス。
凄まじい異物感。しかし、それゆえに一度聴いたら耳から離れない絶大なインパクトがありました。


あの頃、みんな車掌のモノマネをしていた


唄っていたのは、『SUPER BELL"Z』というテクノユニット。この『MOTER MAN』は、彼らのデビューシングルでした。大の鉄道マニアでもあるグループのフロントマン・野月貴弘さんが、何年も前からあたためていたという同曲は、オリコンチャート50位圏外だったところから急上昇。最終的には25万枚を売り上げる大ヒット曲となり、2000年の日本有線放送大賞新人賞も受賞していました。
当時、タレント・素人問わず多くの人が、曲中で披露される野月さんの車掌ボイスを付け焼刃でモノマネしていたものです。
特に『笑っていいとも!』(フジテレビ系)で、タモリさんが「俺でもできる」と言わんばかりに、張り合うようにして何度も声帯模写していたのが印象的でした。


2017年10月にアルバムをリリースするなど、今もバリバリ活動中!


このように、「車内アナウンスをコミカルに楽曲化する」という離れ業かつ力技により、『電車でGO!』とはまた違ったカタチで、アングラだった鉄道趣味をポップカルチャーの土俵に引きずり出した『SUPER BELL"Z』。『MOTER MAN』のブーム以降は、すっかりヒットチャートから姿を消していますが、今も現役で活動しているとのことです。

2006年1月より、野月さん以外のメンバーはフリー体制にして、さまざまなタイプの楽曲製作に勤しんでいるようで、2017年10月には最新アルバム『MOTOR MAN '18』をリリース。収録曲を見てみると、『MOTOR MAN 18キッパー(興津~掛川)』『MOTOR MAN 18キッパー(上野~熱海)』『新幹線体操 ~はやぶさバージョン~』など、相変わらずな鉄道関係楽曲がずらり。約20年…いや、構想段階から数えるとそれよりもはるか前から、電車音楽を追求し続けている、野月さんの「鉄道愛」には脱帽の一言。
その辺のにわか鉄男・鉄子タレントたちなど、足元にも及びません。気になる方はぜひ聴いてみるといいでしょう。
(こじへい)