
キヤノン、どうした。同社が同人活動応援サイト「おうちで作る同人誌」を立ち上げて、インターネットがざわついている。
同人活動歴10年以上のメンバーも
キヤノンさん、社内にオタクがいるでしょう!
「このプロジェクトチームには、同人活動を楽しむ人、同人誌を制作する人が参加していて、メンバーの中には、学生のころから同人活動を10年以上続けている人もいます。評論や漫画、鉄道、ゲーム、イラスト、小説など、さまざまな嗜好を持ったメンバーが互いを尊重しながら企画をしています」
やっぱり! 「おうちで作る同人誌」企画は、実際に同人活動をしているメンバーたちの、「家庭用プリンターでの同人誌作りの楽しさを、もっと知ってもらいたい」という思いから始まったそう。同人誌制作では、印刷所に注文するか、コンビニのコピー機を利用するかの2択が一般的だが、家庭用プリンターでも、用紙や色味を工夫して、こだわりの同人誌を作ることはできるのだ。
そういうコンセプトだからこそ、「おうちで作る同人誌」では、高精細なフルカラー表紙や、雑誌テイストの本、帯付きの小説本、穴あき表紙カバーなど、さまざまなパターンの同人誌の作り方を紹介している。「せっかく同人誌を作るのだから、デザインにもこだわりたい」という気持ちをすくいあげてくれるのは、さすがメンバーに同人作家がいるだけある。あと、「おうちで作る同人誌」サイトで「おうちで作ると嬉しいこと」のひとつとして、「締め切りなんてありません」とアピールしているのも、ほんと、それな。
“あったらいいな”を詰め込んだ値札テンプレート
キヤノンとして、同人活動を応援する企画を明確に打ち出したのは、今回の「おうちで作る同人誌」が初めて。社内に同人誌を知らない人も多くいたため、企画の発足当初は、コンセプトがどれだけ受け入れられるか心配だった。しかし、予想よりも速いスピードで企画は進んでいったそう。担当者は、「メンバー自身が同人作家であることで、実現したいことが具体的だったことも要因のひとつかと思います」と分析している。
「おうちで作る同人誌」には、同人活動をしているメンバーたちの「あったらいいな」が詰まっているそう。そのアイデアがとくに発揮されたのが、お品書きや最後尾札などのテンプレート素材だ。
「どんなテンプレートを作るか検討する打ち合わせでは、メンバーから同人活動の“あるある”やアイデアがあふれ出して、議論が止まりませんでした。そういう意味ではどの印刷素材にも思い入れがあり、なかでも値札テンプレートには、“手軽にカラーバリエーションを変えられる”、“ハサミ・テープ・ノリがなくても作れる”、“底に「完売しました」など書き込んで自由に使える”といった、普段の同人活動の中で『こんな値札があったらいいのにな』と感じるポイントを盛り込みました。プロジェクトには社内のデザイン部門のメンバーもいて、これらのテンプレートはデザインメンバーを中心に『作家さんたちが少しでも使いやすいように』という思いを込めて作りました」
「おうちで作る同人誌」企画は大きな反響を招いており、「じゃあ試しに次の同人誌は家庭用プリンターで作ってみるか」と考えた人もきっといるはず。また、オシャレな同人誌を低コストで作れる方法を知って、初めての同人誌制作に踏み出した人もいるかもしれない。最後に、同人作家たちに何かメッセージはあるだろうか?
「Twitterで多くの反響をいただき、たくさんの温かいメッセージに感激しています。Twitterでいただいたコメントから、『同人活動にこういうのがあったら楽しい、便利』という思いが伝わったとメンバー一同喜んでいます。今後も同人活動が楽しくなるような企画を考え、発信していければと思っていますので、よろしくお願いします」
(原田イチボ@HEW)