店内の騒音レベルで飲食店を検索できる! 米国の口コミアプリ「SoundPrint」

レストランやバーに行って会話を楽しもうとしたにも関わらず、お店がうるさくて話が弾まなかったという経験はないだろうか? または、大事な仕事の関係先や両親をレストランに招待する時に、なるべく静かな店を選びたいと思ったことはないだろうか?

そんな悩みを解決するかもしれないアプリ「SoundPrint(サウンドプリント)」がアメリカで今年4月に誕生した。騒音が指標の「食べログ」的なアプリで、ユーザーがレストランやバーの騒音レベルを調べたり測定、アップロードできる口コミサイトだ。

店内の騒音レベルで飲食店を検索できる! 米国の口コミアプリ「SoundPrint」
SoundPrintホームページからのスクリーンショット


聴力障がいの創設者によるアイデアでアプリが誕生


SoundPrintの創始者のグレゴリー・スコットさんは難聴者だ。彼は騒がしいバーやレストランで仲間の会話を聞くことにいつも苦労していたという。他のお客が出す騒音のせいで友人の声が聞き取れず、でもつい会話が聞こえたふりをして相づちを打ってしまう。そして家に帰っては、「静かなレストラン」を検索するが、実際にお店に行ってみると今度は音楽の音量が大きくて結局会話が聞こえなかったりするという日々を過ごしていた。そんな問題を解決するために、スコットさんが開発したのがSoundPrintという、騒音レベルを測定できるアプリだ。
店内の騒音レベルで飲食店を検索できる! 米国の口コミアプリ「SoundPrint」

ユーザーはスマートフォンから自分がいる場所の騒音を測定し、場所にタグ付けをしてアップロードする。アップロードされたデータは蓄積され、そのお店で測定されたデシベルの平均値が表示される。ユーザーはマップから店名、店舗の形態(レストラン、カフェ、バー等)、騒音レベルなどの条件で検索が可能だ。

本アプリでは、騒音レベルが70デシベル以下のお店が「静かなお店」として定義されている。騒音レベルのみならず口コミも閲覧できる。たとえばマンハッタン地区ミッドタウンにある歴代大統領も訪れた老舗のステーキハウス「キーンズ・ステーキハウス」に寄せられた口コミには「お店は埋まっていたが静かだった!」とある。
店内の騒音レベルで飲食店を検索できる! 米国の口コミアプリ「SoundPrint」
SoundPrintアプリでの検索画面(左)と騒音レベルの詳細(右)


快適な操作性と信頼できるアプリの精度


実際に筆者もニューヨーク市内のレストランでSoundPrintの操作性を確認してみた。昨年支店が六本木にも上陸したニューヨークの有名ステーキ店「ベンジャミン・ステーキハウス・プライム」で検証する。
店内の騒音レベルで飲食店を検索できる! 米国の口コミアプリ「SoundPrint」
ステーキ店「ベンジャミン・ステーキハウス・プライム」(左)と同店の騒音レベル(右)

夕飯時の店内はにぎわっていたが、会話ができないほどの騒音ではない。
計測したところ76デシベル「騒音レベルは中程度。会話には耐えうる騒音レベルであり、耳への害はない」との結果が出た。アプリの操作性も快適で、アップロードも容易。短時間で終わった。これならサクサクと他の動作を阻害せずにデータの取得とアップロードができる。ユーザーの団欒の時間を邪魔することもあまりなさそうだ。


客だけでなくレストラン側にも利点が


ユーザー側にとっては便利な口コミサイトだが、レストランの経営者側は匿名ユーザーからの辛辣なコメントを恐れているケースも多い。しかし、SoundPrintにて評価されているレストランの経営者達からの反応は、おおむね好評だ。
店内の騒音レベルで飲食店を検索できる! 米国の口コミアプリ「SoundPrint」
アプリでの地図上の検索画面は騒音レベルによって色分けされている

再開発の進む、マンハッタン内でもファッショナブルなチェルシー地区にあるイタリアンレストラン「Pepe Giallo」のゼネラルマネジャーのアベル・ラミレスさんはメトロ紙でこう語る。

「このサイトに評価されて初めて自分のレストランの騒音の程度に気づくことができました。自分のレストランが騒々しい側のレストランに位置すると気付いたので、防音の工事を行いました。1日で済むような工事でしたが、その後の防音効果は明らかで、お客さま様のご来店が実際に増えたんです。
たしかに昔は、隣のお客様同士で話すにも騒々しい環境だったなと今になって思います」

創設者のスコットさんは、当初は聴覚に障がいのある人向けのコミュニティとして作ったアプリだったが、一般的な聴覚を持つ人々にもニーズが十分にあると考えていると語る。騒音が苦手な人や、聴覚への依存が大きい視覚障がい者の人にも役立っていることに喜んでおり、今後のさらなる拡大に期待しているとのことだ。
(迷探偵ハナン)
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