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「残業月100時間はザラ」 霞が関「働き方改革」の実態と官僚のホンネ

「残業月100時間はザラ」 霞が関「働き方改革」の実態と官僚のホンネ
画像はイメージ

慶應義塾大学大学院 経営管理研究科の岩本隆特任教授は「霞が関の働き方改革に向けて~ICTを活用した長時間労働是正と生産性向上~」と題したレポートを発表した。過労死ラインは、月80時間と一般的に言われているが、岩本氏が現役およびOB官僚に対して行ったヒアリングやインタビューによると、「月平均の残業時間は130時間~140時間」「100時間はザラ」とある。また、同レポートによると霞が関の行政官庁で働く国家公務員の月平均残業時間は一般就労者の7倍にのぼり、自殺率は約1.5倍、メンタルヘルス病休業者率は約3倍だ。霞が関こそ「働き方改革」の本丸と言える。今回は、岩本氏にインタビューを行った。
「残業月100時間はザラ」 霞が関「働き方改革」の実態と官僚のホンネ
慶應義塾大学大学院 経営管理研究科の岩本隆特任教授


一部の公務員が民間平均の約7倍残業している実態


――まず霞が関の働き方があまりにも酷でしたので驚きました。もう少し楽な面があったのかと思っていましたが。
岩本 統計データを活用して、レポートを執筆しましたので、実態はもっとひどい可能性があります。まず霞が関の残業時間は、2016年においては、人事院調査では月平均残業時間30.5時間、霞が関国家公務員労働組合共闘会議(以下、霞国公)調査では34.1時間となっています。しかし、ヒアリングやインタビューをしてみますと、「月残業時間200時間も希ではあるがあり得ないわけではない」という声もあります。霞が関全員が月平均残業時間は100時間超えではないかもしれませんが、私がインタビューした結果では、月平均残業時間は約100時間とみています。同年の民間平均残業時間が14.6時間ですから、7倍近い残業をしているわけで一部の職員は極めて危険な状態におかれているわけです。
「残業月100時間はザラ」 霞が関「働き方改革」の実態と官僚のホンネ
出典:「霞が関の働き方改革に向けて~ICT を活用した長時間労働是正と生産性向上~」

なお、霞が関の残業要因については、霞国公が実施したアンケートによれば「業務量が多いため」(57.0%)、「国会対応のため」(30.3%)、「人員配置が不適切」(27.1%)、「不合理な仕事の進め方」(18.3%)が上位になっている。
霞が関は仕事が多いと自他ともに認めているところだ。
「私が外資勤務の際、仕事の優先順位を決めて、仕事を捨てることを徹底して指導されていました。そういう意識を持つことは大事です。日系企業も含めて、仕事を捨てる意識が必要だと考えます」(岩本氏、以下同)

これについて、霞が関に取材すると、与党政治家が霞が関官僚を呼ぶ場合、局長レベルが行くケースが多い。政治家はさまざまな思惑で官僚に資料作成を要求し、与党政治家を訪問した局長レベルの官僚が課長や課長補佐級に資料作成を指示することなど、国会対応も含めて霞が関全体に業務量がそもそも多いのが実態とも言える。
「実は残業を申告していない官僚も多く、土日も休みなく働いている官僚もいます」

しかし、すべての霞が関の部門が多忙ではなく、ある省の特定の局の特定の課がピンポイントで政治的圧力にさらされていることもある。そこが問題であると指摘する官僚も多い。
岩本氏も、特定の人が多忙すぎて自殺するケースも民間よりも多いと語る。
人事院によれば、一般職の国家公務員の自殺率(10 万人に対する率)は平成26年度で16.4となっている。これに比べて、民間の一般就労者は11.7だ。

メンタルヘルス病休者率は、国家公務員は1.24、民間の一般就労者は0.4であった。しかし、霞国公によるアンケートによれば、33.9%の職員が心身の不調を有している、薬等を服用している、または通院治療中とされる。さらに、47.1%は「体の具合が悪くて休みたかったが、休めなかったことがある」と回答している。
「一部の官僚がものすごく働いて、メンタル面でも危機的な状況に追い込まれていることについて、国はもっと真剣に考えた方がいいです。実態が統計データに表われていない部分も見受けられます」

そのため、官僚志願者は年々減少している。人事院によると、キャリア官僚として中央省庁で働く国家公務員総合職の採用試験申込者が、2018年度は対前年度比4.8%減の1万9,609人だった。特に技術系官僚志願者の落ち込みが目立ったという。官僚は天下りしないと贅沢はできない。本省課長級で年収1,000万円ほど。それで残業が場合によっては月100時間超えであれば官僚志願者が減少するのは当然のことだろう。
「このままですと、優秀な人材が民間や外資に採られる局面が増えてきます」

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