竹内アンナ 頼もしくも恐ろしい才能を感じるデビュー作『at ONE』/インタビュー前編

竹内アンナ/8月8日にデビューe.p.『at ONE』をリリース


13歳から始めたギターは、もはや心の一部。弾むように、歩くように、笑うように、泣くように……気持ちのままに奏でられていく。
もちろんメロディーと歌詞と声も、そのギターとともに気持ちを紡いでいく。だから、この竹内アンナの歌には奥の深い広がりがあるのだろう。しかも手がける楽曲のスタイルは実にさまざま。フォークロック、ファンク、ジャズ、ブラックミュージックといった音楽がいい具合に消化され、アンナ流の音楽となって歌われている。今年20歳になったばかりの竹内アンナだけれど、おそらく身体に宿る音楽はとてつもなく裾野が広い。そんな頼もしくも恐ろしい才能を感じさせられるメジャー第1作、それが『at ONE』だ。
(取材・文/前原雅子)

今までなんとなくやってきたギターってものが、これじゃ絶対だめだってことに気づいて

──小さい頃から音楽は好きでした?

竹内:好きでした。母親が音楽好きで本当にいろんな年代の曲を聴いていたので、その影響で好き嫌いなくいろんなものを聴いてましたね。特にブラックミュージックの要素が入っているものがすごく好きで。自分は全然踊れないんですけど(笑)、ディスコミュージックとか、踊れる、リズムのいい音楽が好きなんですね。その原点になっているのがアース・ウィンド&ファイアーの「セプテンバー」で、小さい頃からずっと一番好きな曲です。

──ギターを弾き始めたのは何歳のときですか。


竹内:中学1年です。それまで音楽は好きでしたけど、自分がやることは全然考えなかったんです。でもBUMP OF CHICKENを知って自分も音楽をやりたいと思うようになって。ギターを買ってもらって弾き始めました。

──まだ手も小さいし、弾くのは大変だったんじゃないですか。

竹内:大変でした。とりあえず1ヵ月は粘ってみたんですけど、自分一人じゃ無理だと思って習いに行きました。そこから7年、今も同じ先生に通っています。

竹内アンナ 頼もしくも恐ろしい才能を感じるデビュー作『at ONE』/インタビュー前編

──曲を作り始めたのはいつからですか。

竹内:歌詞らしきものは日記代わりみたいな感じで書いていたんですけど、ギターで作曲をするようになったのは中3くらいからです。

──ギターの先生に曲の作り方なども教えてもらって?

竹内:曲の作り方を教えてもらったことはないんです。ただ高校に入ったくらいから、音楽理論は教えてもらうようになりました。
基本的に浮かんだものを感覚で作っていくんですけど、それだと途中で行き詰まっちゃうことがあるので。そういうときに理論を知ってると選択肢が広がるからって。でも実際、「ここのコードいいな」って思ったとき、なんでそのコードを使っているのかがわかるとすごく面白いし。自分でもそういった曲を作ることもできるようになったので、音楽への理解が深まったと思います。

──曲を作るようになった頃から、プロになりたいという気持ちも出てくるようになりましたか。

竹内:曲を作っているといっても、中学のときはまだ趣味の割合のほうが大きかったんですね。だけど中3の冬に初めてライブハウスのステージに立ったとき、プロになりたいと思いました。

──大きな手応えを感じたのでしょうか。

竹内:はい。最初、ギターの先生に「ライブで歌ってみたら」って言われたときは、「そんなそんな、人前に立つなんて。もうちょっとマシになってからやります」って断ったんです。そしたら先生に「じゃあ、いつできるようになるの?」って言われて。


──その切り返し、すごいですね。

竹内:そうなんです。「やってみなきゃわかんないよ」って言われて。それで「そうですよね……。やってみます……」って渋々やったんです、オリジナル曲4曲を。ところがそこで、自分の表現したかったことを歌って誰かに聴いてもらうって、こんなに気持ちのいいことなんだ!って思ったんですね。そのときからプロのシンガーソングライターになりたいって思うようになりました。

竹内アンナ 頼もしくも恐ろしい才能を感じるデビュー作『at ONE』/インタビュー前編

──ということは、それまでは自分で歌うつもりはないけれど、曲を書いていたということですか?

竹内:……そういうことになりますよね。たぶんギタリストになろうと思っていたんでしょうね、自分で歌うつもりは全然なかったので。でも歌は作ってる……。何考えてたんですかね。

──面白いと思ってやってたら、なんか歌ができちゃった。


竹内:そう、できちゃった。だけどすっごい音痴なんで。

──そうは言うものの先生が歌うことを勧めたわけですから、竹内さんが苦手意識があっただけとか。

竹内:いやいやいやいや。中1で校歌を歌ったとき、私1人だけ声が飛び出てたみたいで、みんながこっちを見てきて、あとで「アンナ、すごかったよ」って言われましたから。

──その苦手意識も初めてのライブで吹き飛んだわけですね。

竹内:はい、聴いてもらえてうれしかったし、楽しくて。すごい緊張もしてたので、正直あまり覚えてないんですけど。表現することって楽しいな、また曲を作りたいな、その曲をまた表現したいなって思いました。

──そこからかなり本気に。

竹内:なりました。それで高校1年か2年のときにジョン・メイヤーに出会って。
最初に観たのは、20歳くらいのジョンがタワーレコードでインストアライブをやっている映像だったんですけど、尋常じゃないうまさにビックリしちゃって。めちゃくちゃギターがうまくて声がよくて、しかも顔もいい、こんな全部持ってる人がほんまにいるんやと思って。それまで漠然とシンガーソングライターになりたいと思っていたのが、自分はこういう唯一無二の存在になりたいって、そこではっきりと思うようになりました。

──ギターに対しても考えが変わりました?

竹内:今までなんとなくやってきたギターってものが、これじゃ絶対だめだってことに気づいて。聴いてるだけだったブラックミュージックも実際にちゃんとカバーするようにして。だいぶ弾き方の幅も広がったと思います。

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