初代モンスターが来襲し、2代目モンスターとのバトルするシリーズも、いよいよクライマックスである。
即興のラップバトル番組『フリースタイルダンジョン』5th season Rec 3-8(→公式、→テレビ朝日、→Abema)で毎週火曜日深夜放送。
R-指定が初代モンスターだった2017年4月、フリースタイルダンジョン3rd Season。
呂布カルマがチャレンジャーとして登場し、R-指定と戦った。
その回のエキレビの記事(→神回「フリースタイルダンジョン」呂布カルマ×R-指定、審査員驚愕、会場騒然、壮絶な幕切れ)冒頭を引用しよう。
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Lilyさんは信じられないものを観たという驚愕の顔で髪をかきあげた。
HIDADDYは、スタンディングオベーション。
ERONE、拍手しながら崩れ落ちる。
KEN THE 390、天を仰ぐ。
いとうせいこうは言う。
「史上ちょっとない終わり方!」
詳しい顛末は記事を読んでくれ。
「もう全然いいわ、言うことねぇわ。やっぱコイツ強ぇわ もうダメだ 強い」
呂布カルマは、R-指定の凄さを認めて、バトルの最中に降参してしまうのだ。
煽りVで呂布カルマは語る。
R-指定と戦いたくないから出ないと決めてた。新モンスターになってR-指定がチャレンジャーで来たら最悪だから、「お前絶対来んなよ」「絶対来ません」とつい何ヶ月前に会話してんのに!
「よくそんな嘘つけんなぁ。ちょっと失望してます」
R-指定は前回のバトルを踏まえて、
「あれは呂布さん的には格好いい負け方」だが、そのブランディングを貫く長所こそが「瀬戸際の弱さ」だと分析する。
ROUND1。
呂布カルマ先攻、R-指定後攻でスタート。
呂布カルマは煽りVで語ったことを真正面からぶつけて、
「言葉じゃ軽いヤツのラップじゃ上がらない理由 ここで明らかにする」
で締める。
R-指定は、「俺のマネ どっちでもいいがNo more money」
を噛んでしまうが、すかさず
「もう噛んでも大丈夫だぜ お前ぐらいの相手
だって1回ボコボコにしちゃってるからなぁ」
と前回のことを何度も持ち出す。
3対2で呂布カルマの勝利。
ROUND2。
ビートは、Wu-Tang ClanのC.R.E.A.M.。
後攻のR-指定がド頭から、メンバーの名前を折り込んでの即興をかます。
すごい。
「C.R.E.A.M【楽曲名、Cash Rules Everything Around Me!】の上で教えてやるお前にラップのメソッド【Method Man:メンバー】
メスを入れる
Inspectah Deck【Inspectah Deck:メンバー】じゃないけども
お前を零コンマ【Raekwon:メンバー】何秒でぶち壊してやる
この掛かってるとこ全部わかるか」
さらに、
「さっきから全部 言葉ブーメランになって
服が真っ赤 血だらけになってんじゃん」
と赤い服をディスって仕掛ける。
呂布はこれをスルーするが、R-指定は次のターンで戻して、
「服が真っ赤 タンポン 血に染まってる
オメェにエール エリエール
サイドギャザー ラップやれ 最初から
お前に耳元でウィスパー」
と最後はささやく。
呂布カルマは、最後の最後にパンチラインで刺す。
「お前が生み出したモンスターが俺だ 受け止めろ」
3対2でR-指定の勝利。
審査で「最後、Rくんも生き様を返してた」と言っていたけど、
えええと、最後って生理用品のくだり……どんな生き様!?
ROUND3。
「前回のお前の勝ち方と俺の負け方と話題になったのはどっち」
と呂布カルマ。
「それは生き方の差だろ」
生き様の勝負に持っていって、
「Rockとは名ばかりのクソみてぇなロックフェスでやる音楽ばっかりやってんだもんなお前」
と刺す。
R-指定「本物のラッパーは場所を選ばねぇみたいな事 お前言ってなかったっけ?」
と返して、またもブーメランだと指摘する。
呂布カルマ、こういのはスルーしない。がっちり返す。
「違うねホンモノのラッパー 立つ場所を選ばない そこでラップすればって話だ」
続けて、「あれをHIPHOPだとは認めない」と主張した後に、
「ブーメランは確実にお前の首を切り裂いて
俺の手元に戻ってくる」
と締める。
すべてのフレーズがスムーズに流れ、相手の言葉を最後に完膚なきまでに返して、構築する。
R-指定は、これに食い下がる。
「てかさ聴くけど格好悪いのってあかんかったっけ?
ダサいのってあかんかったっけ?
それ上回るくらい俺 ラップ好っきやねん」
と土台ひっくり返す荒業を「中学12年生」スピリッツでぶん回した。
「大人が上がらんでもかまわん ガキの茶番で俺がNo1」と締める。
3対2で呂布カルマの勝利。
3ROUNDとも、すべて3対2の僅差。
「僅差も僅差 家に帰ってもいっかい考えたら違うかもしれない」と審査員のいとうせいこうが語る。
いやー、ほんとこのジャッジの仕組みは厳しい。
高校生ラップ選手権みたいに、物言いがつけられて、僅差すぎるときはもう1試合するとかできないものか。
凄いバトルの連続であった。(テキスト/米光一成 イラスト/まつもとりえこ)
