連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第21週「生きたい!」第122回 8月21日(火)放送より。 
脚本:北川悦吏子 演出:橋爪國臣 田中健二
「半分、青い。」122話。サトエリ、ピンクのボディコンで再登場
連続テレビ小説 半分、青い。 Part2 (NHKドラマ・ガイド) NHK出版

NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 半分、青い。
Part2


122話はこんな話


鈴愛(永野芽郁)はハンズフリーでココンタをしゃべらせたアイデアを膨らませ、「センキチカフェ」にしゃべる「岐阜犬」を置くことにする。

岐阜犬


岐阜犬は、以前、カンちゃん(山崎莉里那)に鈴愛が描いた絵の犬。
鈴愛は長らく絵を封印していたが、この岐阜犬で復活した。それがさらにセンキチカフェに生かされるのだからアイデアや楽しさが広がっていっていい感じ。しばらく停まっていた鈴愛の創造力がいよいよ動き出したという気がする。最終回まで駆け抜けてほしい。

鈴愛の岐阜犬のアイデアを聞いて、インターネット回線を使うといいと律(佐藤健)ががぜんペラペラとしゃべる。121話で人の愛し方がわからないと解説された律だったが、彼には彼で得意なことがある。
得意なこと自信のあることになると早口、饒舌になる人はけっこういる。

岐阜犬は「ちゅらさん」で人気だったゴーヤーマンのようにキャラクター商品化されNHKで販売されるんだろうか。ゴーヤーマンっていま思うとゆるキャラの走り?

サバの煮付けからのサンバランド


岐阜犬の声を、和子(原田知世)にやってもらおうと思いつく鈴愛。
121話で、キミカ先生(余貴美子)に和子になにかやりがい(生きがい)があるといいと言われて思いついたことだろう。
和子は、心臓の病気で自宅療養中。かなり悪いようだが在宅を希望している。
入院するか在宅かは当人や家族にとって悩ましい。
今日的な問題を感じさせる描写だ。

律は大阪本社から名古屋支店に転勤してまで和子のそばにいるが、眠れなくてキミカに薬をもらうような精神状態。
常に安定して穏やかそうに見えた弥一(谷原章介)も、とうとう耐え難い悲しみを見せる。
それを目撃した律が心配して、宇太郎(滝藤賢一)に相談。
サバの煮付けを作りながら妙案を考える宇太郎。ちょうど、頓挫した岐阜サンバランドの企画会社に勤務していた瞳(佐藤江梨子)が久しぶりに梟町を訪れたことから、ともしびで宴会を催すことにする。
ずっと家にいてなかなか羽目を外すことのない弥一だが、仙吉(中村雅俊)の四十九日やあの瞳さんが来たということでようやく腰をあげる。
弥一に気を使っているように見せずに励まそうとする人たちの優しさ、あたたかさ。

122話では、鈴愛の岐阜犬からリレーのように、みんながさりげなく誰かを助ける力を発揮するように描かれ、人生の希望を感じる回だ。
そこに生きる人々の強固なコミュニティーの良さも感じる一方で、初期の頃、鈴愛が秋風の病気をみんなで治すと民間療法的なものを持ち込んだことがあったように、すべてをコミュニティーのなかで分かち合い解決していく閉鎖性もじんわり薄くドラマから漏れ出てくる。

そして、バブルでボディコンだった女が、歳月を経てシャツにパンツといういかにもファストファッションという落差もなんともシニカルである。

「この人を支えたい 助けたいと思うと、自然と強くなる」


菜生(奈緒)にやり方を教わって岐阜犬の巨大なぬいぐるみを作りはじめる鈴愛。

合間に晴(松雪泰子)とお酒を飲み、晴が「この人を支えたい 助けたいと思うと、自然と強くなる」という深い話をする。
鈴愛は、小さい頃から助けてもらってばかりいた律を支えたいが、家庭もうまくいってほしいと願っている。彼女にとって律は「友達? 親友? なんやろもっと特別や」
「そういうのは人生にはあんまりないことや 大事にしなあかん」と晴。
恋人でもない夫婦でもない男女だけど特別な関係は憧れ。そこへ思わせぶりに律夫婦がうまくいってない話を挟み込み興味を引っ張り続けるところは連ドラのセオリー。大衆心理をよぉーくわかっているなあとつくづく感心する。
(木俣冬)
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