SHE'S 原体験や音楽への憧れといったピュアな気持ちから生まれた曲群/インタビュー後編
Photo by MASANORI FUJIKAWA

――【SHE'S】インタビュー前編より

オーケストラと一緒にライブをするのが夢

――最初と最後のマーチングドラムが印象的で。冒頭と最後にあることで、何度も聞き返したくなるループ感が生まれましたね?

井上:あれって、はじめはイントロだけにマーチングを入れてたんだっけ?

木村:僕が最初に出したアイデアにはどっちも入れてたんですが、途中で「ラストはなくてもいいか」って話になったんです。
でも、最終的には続いていくっていうテーマに合ってるし、アウトロにもあった方がいいねってことになりました。

広瀬:ベースは百田さんの作ってくれたデモがかなり良かったので、それを基本にしつつ。でも、ドラマチックな展開にもしたかったので最後のサビにそういったものが作れたんじゃないかなと思います。この曲もそうですが、ストリングスがしっかり入っていたり、ピアノやギターもみんな近い音域の楽器だったりするので、ベースはそのぶん落ち着かせるというかどっしりとした部分を担いたいんです。でもそれだけじゃなく、プラスしてたまに気が効くプレイも見せていきたい……そういうベーシストでありたいですね。なので、最後のサビは特に注目して聴いてもらえたら嬉しいです。

――ちなみに、ドラマなどで自分の曲を見聞きするって、どんな気持ちですか?

井上:そうですね……。2016年に初めてドラマのテーマソングを書かせていただいた時は、外でちょっと他人行儀な息子を見るような、「あいつ、ちゃんとやっとるな」って感じでしたね(笑)。嬉しいし、立派になった我が子を影で見てニヤニヤする感じです。1stアルバムに収録された「Ghost」が映画の主題歌になったときは、映画と曲の世界観がバシッとリンクしていて、普通に感動しましたね。自分の曲だからとかじゃなく客観的にそう思えた。今回はどんな感じになるんだろうってわくわくしますね。

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――カップリング曲「Come Back」は骨太なバンドサウンドが痛快なナンバーですね。

井上:僕がバンドを始めたきっかけはELLEGARDENなんですが、そのバンドが復活(2018年5月、10年ぶりに活動再開を発表)することになり、「お帰りなさい!」という気持ちを込めて作りました。

服部:ELLEGARDENはみんな聴いてたよね。この曲は骨太なサウンドが似合うと思ったので、普段のSHE'Sのサビではやらないような、ある意味でシンプルすぎるギターアレンジにしました。シンプルでも伝わるロックを全力でやろうと思い、ピッキングだったり音に思いを込めるように力強く弾きました。音作りも普段の延長線上だけど、竜馬に確認しながら丁寧に作っていきました。

木村:パンクなどのガツンとしたサウンドをイメージした楽曲なので、サビでは全開でそうやって叩いているんですが、一方でA、Bメロは差をつけたほうが面白くなるだろうなと。それに、ベースも結構動いているのでそれに合わせるようにドラムも歌うような感覚で叩きました。

――たしかにベースがいい感じに動き回ってますね。

広瀬:サビはシンプルに、特別なことは何もしてないんですが、Aメロは存在感を出せるようにというか、お茶目なベースになってます(笑)。普段はあそこまで動くってあまりないことで、弾いていて楽しいですね。レコーディングでは何度か弾いているうちにちょっとずつニュアンスが変わっていったりしたんですが、いいところに落とし込めたなと思います。


井上:僕もレコーディングでは、自信ありげに歌うのがいいなって思いながら歌いましたね。「The Everglow」のA、Bメロで歌っているウィスパー寄りの歌い方ではなく、オスっぽく。それは意識しましたね。

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――「月は美しく」は優しく歌いかけるなど、シングルの3曲全てで違った歌唱に挑戦していますね。

井上:この曲を書いていた頃にベン・フォールズ(米出身、ピアノと歌をメインにしたロックミュージシャン)にまたハマり直してたんですよ。あの人たちが好んで使っていたようなジャジーなフレーズを遊びで弾いていたら、だんだんと曲になっていって。さらに推し進めていく中で、3拍子で作ってみたらいいんじゃないかな……とか、そんな風に自然発生的に出来ていった曲ですね。

――昨夜は月が綺麗だったので、「ぴったりだな」とうっとりしながら聴いてました。

井上:昨夜は月、綺麗でしたか? ……気づけば、昨日は一歩も外に出てないし、月も見てないですね。

木村:外出しなくても、ベランダから見れるやろ(笑)。

井上:制作モードに入ってたから。家にいるときは基本的に怖いのでカーテンを閉めっきりなんですよ。
(閉めっきりの本当の理由は、My 旬で明らかになります)

――閉めっきりでは、息苦しくなりませんか?

広瀬:俺も閉めてるな。閉めっきりにしすぎて、昼と夜を間違えたことがあります。仕事で昼の11時頃に集合だったんですが、その前の日に夜9時頃に酔っ払って帰ってきてそのまま寝ちゃって。それで、パッと起きたら11時過ぎてて、「やばい、すぐ行かなきゃ」ってダッシュで用意したら、夜の11時だったことが…。

全員:爆笑

――カーテンを開けると「The Everglow」のように美しい星や、「月は美しく」のような綺麗な月も見れるかなと。

井上:今度、やってみます(笑)。今回は、僕の原体験や音楽への憧れといったピュアな気持ちから生まれた曲が集まりました。音楽への思いが強くなってるなって感じますね。
SHE'S 原体験や音楽への憧れといったピュアな気持ちから生まれた曲群/インタビュー後編
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――音楽への熱い気持ちがますます溢れるSHE'S。今後の野望を教えていただけますか?

井上:大きな野望なら、いつかはドームツアーをやりたいですね。あと、デビュー当時から言ってるのがオーケストラと一緒にライブをすること。最近はストリングスと一緒にライブもやってるんですが、今年はそれに加えてホーンとも共演できました。
それがどんどん大きくなっていったらうれしいなと思ってます。

服部:そのためにも僕らの力をもっと上げないといけない。今年、ストリングスとホーンを迎えてライブをした時に、純粋にメンバーが増えることで合わせるのが大変だなって感じたんですよ。ステージ上にいる11人でグルーヴを生み出すことの難しさや醍醐味を実感しました。

木村:オーケストラになったら、大変さはその比じゃなくなるだろうなと。

広瀬:大変な分、音が華やかになるし、その編成では会場がホールだったりするから音の響きもいいんですよ。大勢で合わせられるようになると、それがより心地よかったりしますね。

井上:いつか日本武道館でライブできるなら、2daysやりたいんですよ。1日はバンドメンバーだけでやり、もう1日はオーケストラとライブをやって、全然違うSHE'Sを堪能してもらいたいですね。

――【マイ旬】SHE'S 井上の隣の家から聞こえてくるジェットエンジンほどの爆音の正体は?
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