2018年11月、LINEから「LINE家計簿」がリリースされた。基本的な仕組みは従来の家計簿アプリと大差ないようだが、今あえてリリースするからには、何か独特に仕組みがあるようにも思える。
今回は従来の家計簿アプリとの違いや、どのような機能があるかなどについて見てみたい。
LINE家計簿は他社アプリと比べて使えるのか? 家計再生コンサルタントがチェック


今までの家計簿アプリと比べると?


LINE家計簿には、LINE版とアプリ版の2つが用意されている。LINE版は単純にいつものLINEアプリ内から利用できる。収支の手入力だけの利用であれば、このLINE版だけで十分。収支計算をして、グラフも作ってくれる。

アプリ版になると、多機能だ。従来の家計簿アプリと同様な機能、もしくは少し改良され、使い勝手の良い機能がそろっている。
まず、収支の記録はレシートを撮影して自動入力できるようになる。解析機能も悪くはないようだ。また、他の家計簿アプリのようにアグリケーション(カードや口座のお金の動きを自動的に記録するシステム)が使えるようになるので、自動家計簿化することも可能だ。

ただ、他の家計簿アプリと比較して目新らしい機能は特にない。アグリケーションも、マネーフォワードやマネーツリーなどと比べると連携可能な数がまだまだ少ないし、写真撮影による収支の入力・集計なども、どのアプリでも使える。

画面がシンプルでわかりやすく、LINEのアプリ内で簡易的な機能を使うことができるため、これから家計簿アプリを使い始める人にはピッタリなものになっている。
しかし、今まで家計簿アプリを使ってきた人にとっては、少し物足りなさを感じてしまうかもしれない。
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LINE家計簿はお金使いの把握が苦手な人向き


おもしろいのは、収支から「今月の残りの金額」や「今日使えるお金」などが把握しやすくなっている点だ。「貯金できる金額」も表示される。
家計簿アプリでいつも問題だと感じるのは、自動で記録されるぶん、使った金額などは集計画面で把握できるが、「いつ」「何に」「いくら使ったか」「今の収支状況はどうなのか」を把握せずに終わってしまいがちなこと。つまり、記録されていることで満足してしまうのだ。
収支状況、お金の残り具合が可視化されるのなら、お金の使い方への意識も多少変わってくるだろうから、とても良い機能だと思う。

したがって、LINE家計簿は、家計簿アプリ初心者と支出の把握をアプリに促してほしいと思う人に向いているといえる。

こういった家計の振り返りは、無駄の少ないお金の使い方をするためには必要不可欠なことだ。私も、家計相談の場や貯蓄ができる家計のつくり方を話すうえで、把握と振り返りの大切さをいつも話している。そして、家計簿アプリを運営する会社はどこも、家計状況をいかに振り返り、お金の使い方を把握させて、家計改善へ向けられるかということも考えているので、この点は評価したい。


LINE家計簿は今後にも期待


LINE家計簿はリリースされたばかりで注目されてはいるが、今まで家計簿アプリを使ってきた人が張り切って乗り換えるほどではない。従来のものをある程度使えていたなら、それを継続することでなんら問題ないと思う。

期待したいのは、今まで手書き家計簿や小遣い帳を継続できず、家計簿アプリは難しそうだと躊躇していた人が利用しだすことだ。
多くの人が利用しているLINE付属のサービスとして無料で使え、デザインもシンプルなので第一印象で「難しそう」と感じることは少ない。スタンプをカレンダーに押せるなど、楽しい機能も備えている。

こういうところから、特に、新社会人や学生など、若い世代には受けが良いように思う。

家計管理が大切だという風潮が強くなっている今、家計管理に取り組んでこなかった人たちが、新しいテクノロジーをきっかけに自分のお金の使い方を意識するようになるのは、望ましいことだ。

入力画面に入るときに、いちいちパスコードの入力が必要だとか、すこし面倒な部分もあるが、今後の改良にも期待をし、マネーフォワード、Zaim、マネーツリーといった大手家計簿アプリの仲間入りをしていってほしい。
(横山光昭)
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