大好評のアニメ『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』。
原作者の荒木飛呂彦先生が大好きなイタリアが舞台とあって、その趣味や嗜好が全開になった印象。
登場キャラクターのイケメン度やファッションセンスもシリーズ屈指の高さを誇るのではないか。
今作では、主人公ジョルノ・ジョバァーナよりも仲間たちの方が圧倒的にキャラが立っており、名シーンが多い。
それもそのはず、荒木先生はここまで連載を続けるなかで新しいものに挑戦しなければと思い、「集団劇」に設定したそうで、ジョルノが主人公であることをあまり意識してなかったという。
つまり、主人公はジョルノ個人というよりもチーム全体なのである。
その「主人公チーム」は、あの国民的アイドルグループを意識して生まれたという。そう、今は亡き、あのグループである。



ジョルノたちの「主人公チーム」はSMAPがモチーフだった!?


アニメ化でますます人気に拍車が掛かる、イケメンぞろいの「主人公チーム」の面々だが(初期の気持ち悪いブチャラティはのぞく)、キャラクターのベースとなったのは意外にもSMAPだという。

実際、2007年の『ユリイカ』11月号臨時増刊「総特集☆荒木飛呂彦」で荒木先生は、「(美形ぞろいなのは)SMAPとかジャニーズ系(のアイドルグループ)を意識していたんだと思う」と語っている。
SMAPが一般層にまでブレイクしたのは、96年4月から始まったフジテレビ系『SMAP×SMAP』からだろう。
原作に当たる『ジョジョの奇妙な冒険』の第5部が始まったのは、少年ジャンプ95年52号(12月11日号)から。
そう思うと、荒木先生はかなり目の付け所が早かったようだが……。
ともかく、インタビューの前後の文脈から、「キャラが立っているアイドルグループ」をモチーフにしたことは間違いないようだ。


イタリアが舞台だったことが「ジョジョ」の新たな流れを生んだ!


前述のとおり、作者の荒木先生はイタリアがとにかく大好き。
毎年1回以上のペースで足を運んでおり、とにかくセンスに惹かれるという。


「デザインでいうと、フランスの場合は1+1は2になるって感じだけど、イタリアの場合は1+1は3でもいいだろうって感じなんですよね。ちょっと常識のセンスをズラすんですよ。ここまで行ったけども、もう一回ずらしてるみたいなデザインなんです」(『JOJO A-GO!GO!』「DISC.3 ARAKI HIROHIKO」より) 

そのファッションセンスや独特なアイデアが、作品作りに大きな影響を与えたようで、第5部からは、衣装がよりファッショナブルになり、身体付きはよりスリムに。時代背景や舞台設定に左右されない独自の世界観が確立されていく。

個性的なコスチュームは、露出が拡大した印象だ。
ジョルノはジャケットの胸に大きなハート型(仗助から受け継いだというのがそそる!)のくり抜きがあり、ミスタはぴっちりフィットのセーター(?)がヘソ出しルックだが、これは序の口。

主人公チームの中で、最後にデザインされたというフーゴにいたってはジャケット&パンツがこぶし大の穴だらけで、丸出しの腹部からはネクタイが見えているというアバンギャルドすぎるスタイル。職質必須のファッションである。

キャラクターの女性化というか、中性化が進むのもこの第5部からだろう。
マッチョ系が支配していた初期シリーズがウソのように、キャラクターたちはみな細身のファッションモデル体型が基本。
ブチャラティはおかっぱというかショートボブに髪留め、ナランチャはパレオを腰に巻いているなど、まさに「ちょっと常識のセンスをズラした」形で個性となっている。


SMAPの「ジョジョ第5部」ミュージカルがあったなら……


SMAPメンバーは、かつて『聖闘士星矢』のミュージカルに出演したことがある。

もし、同じジャンプつながりで、ジョジョ第5部連載中にミュージカルで「主人公チーム」を演じていたら……この時点でジョジョ人気は爆発していたッ!……かも知れない!?
作中のような露出過多のコスチューム&中性的な出で立ちのSMAP、見たいような見たくないような……。

ちなみに、森且行のSMAP卒業は96年5月末。
フーゴが主人公チームから離脱するのは、ジャンプ97年44号(10月13日号)の「ボートに乗るのは!?」回になる。
これもSMAPモチーフゆえ……なわけはないが、「この組織なくしてぼくらは生きられないんだ…」と語ったフーゴの気持ちが、後のSMAP解散騒動の際に「残ったメンバー」の心の声な気がしてならないのであった……。
(バーグマン田形)