
予定調和な勧善懲悪でありながら、どんでん返しの連続。巧みな脚本は最終話で一際の冴えを見せる。このドラマで感動を味わうとは夢にも思わなかった。
斑目に亡き息子を見ていた煙鴉
煙鴉(遠藤憲一)の正体は、「虹の見える丘公園」分譲地を購入したある家族の父親・北岡たけし。ここは工場跡地で、分譲前にあった化学工場の残留物質で汚染された土地でもある。そのせいで息子を亡くし、事件の情報を得るために泥棒となったのが彼の本当の姿だ。
20年前、小児がんで他界した当時6歳の息子。斑目勉(中島健人)の現在の年齢は25歳。煙鴉が斑目に亡き息子を見ていたのは明らかである。
この関係性だけで全てが腑に落ちる。13係に盗聴が仕掛けられたと察し、一芝居打って煙鴉をおびき寄せた斑目。「徹底的に泥棒の気持ちになれ」の教えを自分のものとしたからだ。
斑目 ケムさんの言う通り、やる時はやるでしょ、僕ら?
煙鴉 ……(笑)
煙鴉の笑顔。自分の上を行く息子に「成長したな」と噛み締める、そんな顔だ。
逃走する煙鴉。追う斑目。立ち止まる煙鴉。銃を向け合う2人。
「証拠は全て揃った。泥棒の仕事はここまでだ」
刑事に銃を向ける者が吐くような台詞ではない。
「撃て、斑目。それがお前の仕事だろう」
2人に追いついた皇子山隆俊(中村倫也)が、煙鴉に銃を向ける。しかしだ。険しい顔つきながら彼の右手に注目すると、銃のトリガーに指が掛かっていないことがわかる。構えているだけなのだ。皇子山の警告は威嚇を目的にしている。
脚本が書き終わるころにはドラマの中盤ぐらいだろ?視聴者の評価もその辺ぐらいしかわからないし、当然評判が良ければ続編を作ろうと思うだろうけどその評価は後半しだいだろ?そのギャップだろう。