確定申告したほうが得する会社員はこんな人 意外と多い控除の対象

確定申告の時期が近付いてきた。自営業や複数個所からの収入があるという人以外の会社員は、年末調整でほぼ事足りてしまうので、あまり意識していないだろう。


ただ、会社員の中にも、確定申告をしたほうがよい人は何人もいる。今回はどういう人が確定申告をしたほうがいいのか、いくつか紹介しよう。


昨年、住宅を購入した人


年末調整で住宅ローン控除を受けられることは知っているだろうが、購入した初年は、確定申告が必要となる。年末の住宅ローン残高の1%が、最大40万円まで(住宅の条件により50万円まで)戻ってくるのだから、忘れずに申告しよう。もし夫婦がそれぞれにローンを組んでいたら、それぞれが対象となる。


医療費が年間で10万円以上かかった人


病院の窓口で支払った医療費などが、自分だけではなく一緒に住む家族の分も含めて10万円以上かかったら、医療費控除を受けられる。ただし、同じ病院でも美容目的など、けがや疾病の診療・治療以外は対象外となる。他に対象になるものは細かく決められているが、薬代や入院時の食事代、交通費、検査費、介護費の一部などは対象になる。
出産費用も、出産一時金でカバーされる金額で不足する分は対象となる。


特定の市販薬を年間1万2000円以上買った人


ドラッグストアで売っている特定の市販薬の購入代金が1万2000円を超えると、その超えた額が所得控除の対象となる。医療費控除の一種だ。通常の医療費控除との併用はできない。購入価格にして最大10万円利用でき、控除額は最大8万8000円。対象となる薬品は「スイッチOTC医薬品」といい、解熱鎮痛剤とか風邪薬とか、身近でよく使う薬品も多数含まれている。商品陳列棚、レシートなどにマークがついているので、そのレシートの保管が必要となる。



ふるさと納税をして、ワンストップ特例制度の手続きをしなかった人、5自治体以上に寄付した人


そのままにしておくと、ふるさと納税で寄付した金額分の税を安くしてもらえない。自己負担額2000円というこの制度の最大メリットも得られなく、ただ高額な買い物をしただけになってしまう。
確定申告をした場合、住民税が安くなるはずだった金額のうち、
(寄付額―2000円)×所得税率
分の金額が、所得税から戻ってくる。
戻る金額の総額は、ワンストップ特例を利用しても確定申告をしても変わらない。


投資で損をした人


投資をしているからといって、必ずしも確定申告が必要ではないのだが、損失が出た人はするべきだ。利益が出ている口座と損失が出ている口座の1年間の損益通算ができる。その上でもなお損失が残っている場合、確定申告することで損失を翌年以降3年間繰り越すことが可能だ。損失を繰り越せば、翌年以降に利益が発生した時に損益通算することができ、税金を抑えられるため、長期的な投資をしている人は覚えておいてほしい。



副業、投資などの臨時収入が20万円を超える人、給与を2カ所以上からもらっている人


主な給与以外の収入が20万円以内の人は必要ないが、20万円を超えると確定申告が必要だ。そんなに多くないから申告しないという人もいるだろうが、申告していないことが分かった場合、延滞税などが付いた高い税金を請求される。
確定申告をしない人の中には、住民税の増額から副業などがばれることが嫌だという人もいるだろう。そういう場合は、確定申告時に「住民税を特別徴収しない」にチェックしておくといい。
2カ所以上から収入がある人は、場合によっては所得税が還付されるから、ぜひやりたいものだ。


災害など損失が出た人


火災、震災、風水害による損害金額が、住宅または家財の2分の1以上である場合には、確定申告により所得税が軽減または免除される(災害免除法)。年収により1/4軽減~全額免除まで段階があるが、必要な人はぜひ、利用してほしい。

また、所得税の雑損控除では、上記災害のほか、盗難や横領も対象になる。損害のうち保険で補填されない部分から所得の1/10を引いた差分か、災害関連支出の金額 から5万円を引いた金額の、どちらか多いほうが控除される。
ただし、詐欺にあった場合や恐喝で失ったものは、対象にならない。
確定申告したほうが得する会社員はこんな人 意外と多い控除の対象
国税庁のサイトでもスマホでの確定申告について告知している(画像はスクリーンショット)

ざっとこのような条件が挙げられるが、該当する人はぜひ、確定申告をしてほしい。今はスマホでもできる。余分に税を納めることになるのは嫌だが、還付されるものがあるのであれば、ぜひ取り組んでほしい。

(横山光昭)