小夜子「信頼、信用っちゅうもんが大事なんやろ? あんたらまともな人間の世界では。あんた、まともな人間でおりたいならもう手え引いたほうがええよ」


2月26日(火)放送のドラマ『後妻業』(フジテレビ系)第6話。
原作は黒川博行の同名小説だ。

夫の浮気に傷ついた朋美(木村多江)は、探偵の本多(伊原剛志)を頼りホテルで一夜をともにしてしまう。「夕べのことは忘れよう。もう、これっきりにしたほうが良いよね」と話した朋美。しかし、朋美と本多を尾行していた小夜子の息子・博司(葉山奬之)が、ふたりがホテルに出入りする現場を写真におさめていた。

小夜子のターゲットとなっていた笹島(麿赤兒)に、朋美は後妻業のことを伝えた。小夜子は動じず、笹島は自分を信用してくれるはずだと言う。逆に本多や夫との関係を小夜子に問い詰めらてしまった朋美は、「法的手段を考えます」と宣言して小夜子の家をあとにした。

とにかくヤバい浮気夫・司郎


朋美の内縁の夫・司郎(長谷川朝晴)は、部下の絵美里(田中道子)と浮気している。朋美と司郎を含めて4人しかいない建築設計事務所で、そのうち3人が三角関係。残ったもう1人の男の子、辞めたくてたまらんだろうな。

本多とラブホテルに泊まった朋美が翌朝帰宅すると、司郎はどこにいたのかと聞いてくる。

朋美「そっちこそ、彼女を追いかけて行ったんでしょ」
司郎「でも、帰ってきた。
そしたら、君がいなかった」

司郎と絵美里ふたりの前で朋美が浮気を知っていると告げたあと、司郎は逃げるようにその場を立ち去った。そして、朋美ではなく浮気相手の絵美里のケアをしていたのだ。そんなことをしておいて「でも、帰ってきた(ややドヤ顔)」じゃないんだよ。世間には、自分は浮気も外泊もして良いけど、女(パートナー)はダメという思想の人がいるが、司郎もそのタイプなのか。

司郎は、絵美里にはしばらく休むように伝えたという。辞めてもらうか自分が辞めるという選択肢を避ける神経がすごい(GYAO!で配信中のチェインストーリーでは「辞めてもらう」と言っていたが、同時にまた朋美の不在時に絵美里を事務所に入れ、朋美との馴れ初めを嬉しそうに絵美里に話し、さらに絵美里に出張手配をしてもらう底知れない無神経さを発揮)。

自分は絶対辞めないと宣言していた絵美里。朋美が「彼女、納得したの?」と聞くと、「そうしてもらわないと、もっちゃん(朋美)が困るだろ」と司郎。自分では何の責任も負わないで半笑いしている。

朋美の父・耕造(泉谷しげる)を殺した小夜子は、父親から虐待を受けた過去があり、惚れた男に捨てられたり老人たちに一定の同情心を持っていたりと、けっこう情もある。朋美は朋美で、父親に寄り添えなかったことを後悔する面や、自分の主義と感情の違いに戸惑っている様子が描かれている。だから、ふたりが道徳に反する行為をしても多少同情的に見ることもできる。


しかし、司郎の感情や葛藤はほとんど描かれない。ふたりの事務所兼自宅で浮気相手と絡み合い、話し合いはとことん避け、浮気がバレてからも絵美里と一週間もの海外出張に出かける。朋美にそんな酷い仕打ちをする割に、朋美を捨てて絵美里と生きるような決断もしない。無神経に次ぐ無神経に、恐怖すら感じる。

ヤバい女・小夜子と朋美の女の戦い! と盛り上がりたいところに、さらにヤバい浮気夫が現れてしまった。女たちのヤバさに集中できないので、朋美か絵美里かどちらを選ぶにせよ、司郎がしっかりと気持ちを話して退場してほしい。

塩かと思いきや砂糖を撒く小夜子と朋美の仲の行方


柏木「お前らどっちも瞬間湯沸かし器やなあ。もう少し冷静に行動できんのかいな」
小夜子「売られたケンカを返しただけや。あの女の思うツボになってたまるかいな!」

柏木(高橋克典)が「瞬間湯沸かし器」と呆れる小夜子と朋美の口ゲンカ。ワクワクする。

小夜子「あんたみたいな、インテリでなーんもやましいことしてませんって常識ぶってる人間こそ、道徳に反すること平気でするんや。うちのこと悪党や言うけど、あんたは違うん? 内縁の夫がいる身で別の男と関係もつんは、人間として道から外れてるんと違うんか」

小夜子は、本多とラブホテルでの写真を見せて朋美を動揺させる。
朋美は、「脅しにはならないわよ。私、それを夫にばらされても平気だから」と平静を装うが、司郎との不仲やこどもの話を持ち出されて強く言い返せない。さらに小夜子は、司郎ではなく世間に対して写真を公開すると言い出す。

小夜子「信頼、信用っちゅうもんが大事なんやろ? あんたらまともな人間の世界では。あんた、まともな人間でおりたいならもう手え引いたほうがええよ。これ以上、うちのこと嗅ぎまわらんとき!」
朋美「あなたとこれ以上話しても無駄なようね。法的手段を考えます」
小夜子「二度と来んな!」

ブチ切れて帰っていく朋美の背中に、小夜子が塩かと思いきや砂糖をバーン! と浴びせる。キッチンに塩を取りに行くのが煩わしかったんだな。

顔を見るとケンカしてしまうふたり。しかし、朋美が本多とホテルに入ったことを知ったとき小夜子は「けど、あのインテリお嬢さん、なーんか厄介なことになっとるわ」と心配そうにもしていた。

新キャラのイケメンじいさん・舟山(中条きよし)が登場し、小夜子が狙っていた笹島が死んだという一報が入って終わった6話。第7話は、今夜9時から放送予定。

(むらたえりか)
「後妻業」浮気夫の無神経がヤバすぎて木村佳乃&多江のえげつないバトルに集中できない、何とかして6話
イラスト/まつもとりえこ
柏木にもちかけた朋美の真意は?

▼配信サイト
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チェインストーリー(GYAO!)


ドラマ『後妻業』(フジテレビ系)
毎週火曜 よる9時~
出演:木村佳乃、高橋克典、木村多江、葉山奨之、長谷川朝晴、篠田麻里子、平山祐介、田中道子、河本準一、濱田マリ、とよた真帆、泉谷しげる、伊原剛志、ほか
原作:黒川博行『後妻業』(文藝春秋刊)
脚本:関えり香、阿相クミコ
演出:光野道夫(共テレ)、都築淳一(共テレ)、木村弥寿彦(カンテレ)
音楽:眞鍋昭大
主題歌:宮本浩次「冬の花」
企画・プロデュース:栗原美和子
プロデュース:杉浦史明(カンテレ)、萩原 崇(カンテレ)、水野綾子(共テレ)
制作:カンテレ、共テレ
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