脚本:福田 靖
演出:松岡一史
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功、瀬戸康史ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎

連続テレビ小説「まんぷく」オリジナル・サウンドトラック2 バップ
134話のあらすじ
新商品のカップを考えるなか、福子(安藤サクラ)は、丈夫で軽くてコストのかからない発泡スチロールを思いつくが……。
「プロジェクトX」だと
今日の献立を考えながら魚屋さんをのぞいた福子は、発泡スチロールが気になって、源(西村元貴)に電話をします。すでに検討済みの材質ではありましたが、源は改めて視野に入れてみます。
ちょっとしたアイデアのもとは、いつも福子発であるのが「まんぷく」。
コミック版「プロジェクトX 挑戦者たち 82億食の奇跡」を読むと、「ホラ 前に社長が言ってただろう
魚なんかを入れる箱で魚屋でよく見かけるやつ」と一コマで済まされていました。「プロジェクトX」だと映像でも漫画でも、安藤百福の号令のもと、優秀な社員たちが技術と発想を駆使して、新商品を開発する話で、とてもおもしろいです。
「そのときそのときの思いでええんや」
133話で“現実は、ドラマのように、ある瞬間の言動が伏線のようになっていて後々機能してくることなんてなく、その場限りのことが多いですから、そういう意味ではリアリティーがあり過ぎるくらいです。「まんぷく」が大好きな人にはだからこそすんなり見ることができるのでしょう。”と書きましたら、134話で、忠彦さんが「そのときそのときの思いでええんや」と胸張って言っていました。
「まんぷく」を象徴する台詞ですね。
しかし、そのあとが……。
弟子の名木(上川周作)が、体験がないから描けないと悩みを吐露、学生運動にも乗り遅れたし、戦争に行きたかったと言い出して、忠彦が怒り、また泣いて帰ってしまいます。
小説や漫画は物語なので体験(知識)必要になってきますれど。元来、絵は体験がなくても描けるものです。まわりの風景や人を写生するとか、無になっていろんな色を紙に乗せていくだけでもいい。名木さんも昔は絵をただただ楽しんで描いていたけれど、いつの間にか理屈にとらわれて、描けなくなってしまったのでしょう。と、そこまで名木さんのことを掘り下げることでもなく、このエピソードの目的は、この時代の、恵まれた環境に生まれ育ったため、のんびりしてしまった世代を描くこと。
萬平さんは、福子に諭されて、社員たちに噛み砕いて自分の考えを説くようになり、真一さん(大谷亮平)は、連れ子の男の子がおとなしく、女の子が男勝りであることに悩んでいます。
どうしても、萬平、忠彦、真一のパートが重くなります。「べっぴんさん」の男会もおもしろかったし、いっそ男三人主役の朝ドラをつくってもいいんじゃないでしょうかなんてことも思いながら、献立探しで魚屋で発泡スチロールを発見して会社に電話して、あとは喫茶店でおしゃべりという、主人公には思えない機能キャラのような役割をやらされている安藤サクラさんがお気の毒でなりません。ただ、そういう画期的主人公として、朝ドラ史にしっかり記されることでしょう。また、この状況に耐えて、道化キャラに徹して、知名度全国区になったのだから、それもひとつの尊い生き方ではあります。
「大事なことは君が何を書きたいかだ、
何をキャンバスにぶつけたいかだ」
忠彦さんのこの台詞、染みました。
134回は、人気劇伴のひとつ「もてない男のせつなさよ」がかかって楽しかったです。
「やってやるぜ!」「もてない男のせつなさよ」「いざ!発明」この3曲がいいですね。
もちろん劇伴は大事で、こういう場面ではこの劇伴っていうのがあるものですが、ここまで劇伴が「待ってました!」とばかりキャラクターのように場面を支配し、印象に残るのも、なかなか珍しいことのように思います。
(木俣冬)
連続テレビ小説「まんぷく」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~
朝夕、本放送も再放送も オールBK制作朝ドラ
「べっぴんさん」 BS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。
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「あさが来た」 月〜金 総合夕方4時20分〜2話ずつ再放送
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