
5月4日、大阪・オリックス劇場にてFM COCOLOが主催する『佐藤竹善 presents Cross your fingers 21』が開催された。佐藤竹善がオーガナイザーを務め、今年で21回目の開催を迎える本イベント。
トップバッターはイベントのオーガナイザーである佐藤竹善と塩谷哲による“さとう”と“しお”のユニットSALT & SUGAR。「ようこそ、いらっしゃいました」と、1曲目「Pick Up The Pieces」(Average White Band)から観客もクラップで参加し、ご機嫌なスタートを切ると、続いて「Love of My Life」(QUEEN)へ。聴き慣れた名曲たちが耳なじみの良い佐藤の歌声で新たな魅力をまとい、会場を柔らかな雰囲気へと変えていく。佐藤は「実力と個性を兼ね備えたアーティストが登場して、素敵なライブができるはず」と、これから始まるステージへ期待高まる言葉をかける。


続いて登場したのはSinon。低音域もしっかりと、美しく凛とした歌声で「Yesterday Once More」(Carpenters)を歌い上げると、再び佐藤が登場。青森出身、同郷の後輩である彼女の歌声を称賛しつつ、「一年中春のような、ハッピーな人」と紹介。そう、じつは彼女、先ほどまでの歌声からは想像しがたい、愛らしく天真爛漫な声&キャラの持ち主。


半崎美子はそのまま、清塚、大儀見と「サクラ~卒業できなかった君へ~」へ。“グルーヴマスター”と言わしめる大儀見のパーカッション、清塚の美しいピアノの旋律、そして歌声だけに集中した彼女の全身から振り絞られた生命力の満ちた歌声に思わず身震いが。さらに、半崎は弾き語りで「母へ」を披露。彼女が描く詞世界は共感性が高く、じわりと心に染みる優しさを持ち、その歌声はまるで目の前で歌われているようで、深層まで染み込む歌声に観客は心奪われ、思わず涙がこぼれ鼻をすする人も。さらに佐藤、クロマチックハーモニカ奏者の南里沙が加わっての「稲穂」。牧歌的な世界観を持つ楽曲に南のハーモニカが加わり、古典の名曲「Amazing Grace」を組み込んだ楽曲はより大きな感動を生み、観客を圧倒していく。

ステージはそのまま南のソロへ。

「今日のイベントを観に来るっていうから、来るなら歌えよ」と、先輩・佐藤の無茶ぶり(!?)に応える形で、急きょ飛び入りゲストとしてKが登場! 予定外の出演ながら「残像」を丁寧に歌い上げ、観客から大きな歓声を集めた。

ステージは中盤。「古くからの仲間、もう紹介はいらないかな?」と佐藤からの紹介を受け、馬場俊英が登場。「ボーイズ・オン・ザ・ラン」を塩谷、大儀見とともに披露。馬場の穏やかで、それでいて寄り添うような歌声にほっと和らぐオーディエンスたち。塩谷の弾むピアノの音色が楽曲に鮮やかさを、大儀見のパーカッションが軽やかさを与えていく。オリジナルはもちろん、バンドセッションやコラボで聴き慣れたはずの楽曲だが、今回のコラボでもより新鮮さを増し、会場に大きな一体感を生み出していく。そしてアコギ弾き語りで「ロードショーのあのメロディ」に続いて、佐藤とともに「スーパーオーディナリー」を。
そして、佐藤と馬場がステージに立つとなるなると期待するのがこの楽曲! 昨年の馬場のアルバム『ステップ・バイ・ステップ』でSING LIKE TALKINGと馬場がコラボした「さよならシティライツ」では、南もハーモニカで参加。先ほどとはぐっと雰囲気が変わり、大人の色香が漂うなか、ハーモニカの音色が楽曲に確かな風景を描き出していく。


ピアニスト・清塚信也のソロステージでは、春夏秋冬をテーマに「春よ、来い」など、名曲の数々を美しい旋律で奏でていく。短い時間とはいえ、クラシックの名手である彼の独奏を体感できるとはなんと贅沢なことか。続く佐藤との「The Sweetheart Tree」(Henry Mancini)では、穏やかなピアノの音色に乗せ、佐藤は“シュガー”のままに甘く愛おしい歌声を聴かせた。

塩谷、清塚の2人によるピアノ二重奏も注目! リハーサルなしで挑んだという「ダニー・ボーイ」ではジャズの塩谷、クラシックの清塚、それぞれのソロが観られれるだけでなく、連弾やセッションなどレアなコラボに観客は拍手喝采!

ステージ後半、「満を持しての出演。うれしくてしょうがない!」と佐藤からの紹介を受けて藤井フミヤが登場すると、塩谷のピアノとともに「Another Orion」へ。年月を経て、より臨場感と深みを増した歌声が広い会場を包み込んでいく。「令和おめでとうございます。何度歌ったかわからないけど、平成の代表曲を。きっと令和でも歌うんだろうな」と、笑いを誘いつつ、名曲「TRUE LOVE」を送る。


ステージはいよいよラスト、もちろんSALT & SUGARの登場だ。「今日はしっとりと耳なじみの良い曲が多かったけど、マニアックな曲も」と、「Zanzibar」(Billy Joel)を。ジャズを混ぜ込んだサウンドでは塩谷と大儀見のサウンドがよりヒートアップし、屈強なグルーヴを生み出していく。最終曲は多くのアーティストがカバーしてきた名曲「You Raise Me Up」(Secret Garden)。佐藤の歌声はいつも以上に迫力を増し、気高ささえも感じられる。“酔いしれる”とはまさにこのことだろう、会場からはこの日一番の大きな拍手が沸き起こった。



アンコールでは塩谷が作曲した名曲「星の夜」を出演者全員で披露。個性に満ちた6人の歌い手たちによる謳歌、2人のピアノの旋律、ハーモニカの音色にパーカッションの力強さでオーディエンスを圧倒。全23曲、歌声と旋律、そして豊かなグルーヴに魅せられた一夜が幕を閉じた。
なお、この日のライブの模様の一部やFM COCOLOの各番組内で放送予定。
(取材・文/黒田奈保子)
放送予定日
2019年5月8日(水)『PACIFIC OASIS』(11:00-14:00)/DJ カマサミ・コング、小谷真美子
2019年5月9日(木)『HIRO T'S AMUSIC MORNING』(6:00-10:00)/DJ ヒロ寺平
2019年5月10日(金)『PRIME STYLE FRIDAY』(10:00-14:00)/DJ 山添まり
2019年5月11日(土)『SATURDAY MAGNIFICENT CAMP』(14:00-17:00)/DJ 加美幸伸
2019年5月12日(日)『SUPER J-HITS RADIO』(18:00-21:00)/DJ 加藤美樹
佐藤竹善リリース情報
New Single
『Spiral』
2019.05.29リリース
POCE-12112 / ¥1,296(税込)
[収録曲]
1. Spiral
2. Horizon Drive
3. Spiral [Remix 1]
4. Spiral [Remix 2]
SING LIKE TALKINGツアー情報
【Amusement Pocket Tour 2019】
2019年8月17日(土)18日(日)東京・豊洲 PIT
2019年8月24日(土)大阪・オリックス劇場
■SING LIKE TALKING オフィシャルサイト