テレビの世界が大変だ。一連の吉本興業にまつわる騒動で、所属芸人たちが一様に悲痛な顔をしたり、憤慨したりしている。

大物芸人のみならず、吉本興業の株主であるテレビ局や官公庁、政治団体まで絡んでいるデリケートなこの問題。そんな燃え盛る火中の栗を思いっきり素手で掴んで笑いに変える猛者が現れた。

そう、ご存知、ナイツだ。
吉本もジャニーズも弄りまくる「ナイツ」時事ネタ漫才の爽快。忖度も圧力も関係なし「これ闇営業なんです」

ナイツ独演会「ワッショイ」でない事だけは確か」

まずは7月23日、吉本興業の本拠地・大阪の京セラドームで行われた巨人―ヤクルト戦に登場(塙宣之は大の巨人ファン)。試合前のグラウンドにジャイアンツカラーのオレンジのスーツとネクタイで登場して漫才を披露したのだが、これがキレキレであった。

「これ、闇営業なんです」といきなり言い放って土屋伸之にたしなめられる塙。続いて「僕はすごく岡本に注目しているんです」と巨人の若き主砲の名を挙げる。「四番打者ですからね」と土屋が合いの手を打つと、「昨日の会見、グダグダでしたから」と吉本の岡本昭彦社長に被せる塙。これで満員のスタンドが一気に湧いた。鮮やかだし、タブーをぶっ飛ばす爽快感がある。

「坂本選手は近くで見たときに筋肉がすごいなと」
「やっぱりガッチリしてますからね」
「ここらへん(腕)の筋肉がもうカッチカチなんですよ。見ろや、この筋肉カッチカチ!」
「ザブングルだろ! 闇営業謹慎芸人いじってるんじゃないよ」

「丸選手の練習を見たんですけど、肘の使い方がすごかったですね」
「やっぱりね、肘がすごいですね」
「右肘左肘交互に見て」
「全部、闇営業謹慎芸人のネタだろが!」

「でも、大変ですね。岡本が来年から年俸半額ですから」
「それ、社長のほうだよ!」

と2分弱のネタが終了。「言うなって言ったんですけどね」と司会者に言い訳する土屋に対して、「巨人ファンなんで、今日は9対1で勝ってほしいですね。あ、すみません、吉本のギャラの比率でした」と最後までボケる塙。最高か……。

何がすごいって、クローズドな劇場などではなく、軽く3万人以上入っているすさまじくオープンな場でこれをやっているのがすごい。渦中の加藤浩次も翌日の「スッキリ!」で「これは受けるな~」と笑顔をこぼしていた。さすがナイツ。錦織圭が大ファンなだけある。

続いて24日も京セラドームに登場したナイツは、昨日のネタについて「怒られてしまいました」と釈明しつつ、「今日はテープを回してる人はいませんか?」と再び岡本社長のパワハラ発言ネタで笑いをとると、漫才の後は外野席の応援団に「お前と呼ぶのはやめてもらっていいですか?」とお願い。「お前」騒動で炎上した中日もネタにしてみせた。これ、ナゴヤドームでやったら中日球団は怒るだろうなぁ……。

時は前後して23日、ナイツが所属するマセキ芸能社が7月22日に行われた「MGC」ライブでのナイツのネタ動画をYouTubeの公式チャンネルで公開した。ここでは吉本興業と圧力報道があった(そしていつの間にか報じられなくなった)ジャニーズ事務所についてたっぷり8分にわたってネタにしまくっている。



「正直、複雑な思い出はあるんですよ、僕らも」
「そうですね」
「同じ、同業者ですから」
「同業者ですから、そりゃ辛いですよ」
「同じ振り込み詐欺をする同業者……」
「そっちの同業者か」

という冒頭から、闇芸人謹慎芸人ネタを織り交ぜ、(小堺一機宅へ侵入した泥棒ネタを挟んで)いよいよジャニーズ事務所ネタへ。

故・ジャニー喜多川を「JK」と呼び、さまざまなグループや小嶺麗奈をネタにしつつ、話題は衝撃のKAT-TUNネタへ……。ここから先は動画で見てください! 忖度も圧力も浅草には一切関係ないようだ。

いまやほとんどの芸人が手を出さなくなった時事ネタ(コストパフォーマンスが悪いから、という説もある)に果敢に取り組むナイツ。TBSラジオ『土曜ワイドラジオTOKYO ナイツのちゃきちゃき大放送』のオープニングでは毎週、時事ネタの漫才を披露しているので、そちらもチェックだ。
(大山くまお)
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