
7月20日土曜には宮迫博之&田村亮の記者会見、21日日曜には『ワイドナショー』緊急生放送、22日月曜には『スッキリ』、そして吉本興業岡本社長の記者会見。
「生放送」に釘付けになった数日間だった。
しかし騒動のその裏では面白い番組があり、印象に残るシーンが多々ある。今回はそんな番組たちをまとめてご報告したい。『探偵!ナイトスクープ』の「小ネタパラダイス」みたいなものだと思っていただければ幸いです。
『50日間で女性の顔は変わるのか!?』(日本テレビ:7月20日放送)
整形やダイエット無しに、環境を変えることで女性の顔は変わるか?という実験企画。2人の子どもを持つ越谷の主婦は「25ans(ヴァンサンカン)編集部で働く」、実家暮らしのコンビニバイトは「葉山で一人暮らし」、容姿に自信がなく常にマスクをする女子大生は「イタリア人に褒められ続ける」、引きこもりがちのOLは「ダイヤモンドを身につける」を50日間続け、カメラがその様子に密着する。はじめは戸惑う彼女たちだが、環境に慣れるにつれて徐々に気持ちが変わり、それが表情や服装にも現れてくる。
こう書くと、やっぱり「高級ブランド」や「異性」が人を変えるんだな、と思われるかもしれない。でも実際は「同じ環境にいる同性たち」の影響を強く受けるのが興味深かった。編集部員がファッションのアドバイスをくれたり、海で知り合ったキレイなお姉さんがあちこち連れて行ってくれたり、イタリア語教室の同級生がメイクを教えてくれたりする。仲間ができることで自己肯定にもつながるだろうなと思わせてくれる、それぞれの50日間。
司会のマツコ&吉村崇も抜群で、変わってほしくない派のマツコと、番組進行上変わってほしい派の吉村にわかれるも、変わることがいいか悪いか結論を出さないのも好印象。
『池上彰の参院選ライブ』(テレビ東京:7月20日放送)
ここ数年、選挙特番では民放トップを走り続けていたテレ東の”池上無双”。今年はなんだか様子が違った。いや、各候補者と池上さんが中継を結び、丁々発止のやりとりをするのは変わらない。異色だったのは「政治家、この一曲」。候補者たちがカラオケで十八番を歌うミニコーナーが要所要所に挟まれていたのだ。維新・鈴木宗男が松山千春を歌い、中継では池上彰と険悪な雰囲気になった林芳正もオフコースを歌う(カラオケは事前収録)。
候補者も1人の人間であり、その人となりを表現したかったのかもしれない。しかし候補者でもない石破茂だけが2曲(堀内孝雄とキャンディーズ)歌うという謎の展開もあった。今回の池上特番は視聴率的に振るわなかったそうだが、あのカラオケタイムでみんなザッピングしちゃったんじゃないかとにらんでいる。

『ロンドンハーツ』(テレビ朝日:7月23日放送)
宮下草薙の草薙が「今週のアシスタント」としてロンブー淳の隣に。「亮さんってどうしてましたっけ」と戸惑うも、ザキヤマから「それが俺たちも覚えてないんだよ」と告げられる草薙。抽選札を取り出すだけで褒められるし、自分から積極的に企画に絡もうとすると「ボーッと立ってろ!」と怒られるし、「亮さん難しい!」と頭を抱えることに。
「亮ってどうしてたっけ」と記憶を探ることで、亮の不在が浮き彫りになる。
『ツギクル芸人グランプリ2019』(フジテレビ:7月24日放送)
漫才、コント、ピン芸問わず、次世代を担う若手発掘をテーマに開催されたお笑いコンテスト。民放5局のバラエティー制作者が局の垣根を越え、16組の若手芸人を審査する。優勝はザ・マミィ。
賞レースにありがちな緊張感を煽る演出はなく、ネタを終えるごとに審査員が講評することもない。深夜帯かつ収録での放送だったこともあり、比較的和やかなムードだったのが印象的だった。ファーストステージで満票を取りながらも最終決戦で下ネタをぶつけたかが屋に、『M-1グランプリ2009』で「鳥人」を絶賛されながらも最終決戦でチンポジをぶつけた笑い飯を思い出したりした。
『勇者ああああ』(テレビ東京:7月25日放送)
この日の企画は浦安市長(本物)と芸能界の「長」がゲームで対決する「長vs長」。eスポーツイベントのPRで登場した浦安市長。対決相手は安倍総理(ビスケッティ佐竹)、アンゴラ村長(にゃんこスター)、芋洗坂係長、そして山根明ボクシング連盟元会長という異色すぎる「長」たち。
浦安市長はお笑い大好き(推し事務所はASH&D)であり、対決相手のギャグをコピーしたり、山根元会長とカンロ飴を交換したり、ひと組ずつきちんと絡みをこなす様子も見どころだったが、特に印象に残ったのはにゃんこスターの登場シーン。大塚愛「さくらんぼ」が流れ、出演者が「久しぶりにあれ見たいなー」となったところに登場したにゃんこスター。
『先生、、、生きてますか?』(テレビ東京:7月26日放送)
記憶に残る先生の居場所を突き止め、感謝の言葉を告げる番組。他の「あの人はいま」系企画と異なるのは、「生きていたら直接、亡くなっていたら墓前に手を合わせて近況報告」という“生存確認バラエティ”であること。
番組タイトルが「生きてますか?」なので、「会えるか会えないか」ではなく「生きているか亡くなっているか」の2軸で番組を観ることになり、妙な緊張感がある。聞き込みをし、わずかな記憶をたどり、徐々に先生の自宅に近づくにつれ「ひょっとしたらもう……」という影がちらついてしまう。別に消息不明になったわけではなく、こちらが勝手に先生を探しているだけなのに。
番組では貴乃花光司と南キャン山里亮太がそれぞれ先生を捜索。結局2人とも約30年ぶりに恩師に会うことができた。ナレーションのキートン山田が「先生は、生きていた」と言ってコーナーを締める。
取り急ぎご報告したいことは以上です。
(井上マサキ タイトルデザイン/まつもとりえこ)