「動画クリエイターは常識も身につけないと」結婚を経て、今トミックが思うこと

平成で生まれた動画クリエイターという仕事、令和ではどのように活躍していくのか――。エキサイトニュースではこの度、UUUMに所属するクリエーターたちにインタビューを遂行。人気動画クリエイターが誕生した経緯と、「好きなことで、生きていく」を追求する熱い想いに迫る。

今回登場するのは、チャンネル登録者数167万人を誇るトミック。そのキャリアは8年を超え、現在は魚介をさばく動画のほか、インパクトの強い生き物企画の動画、自身の飼い猫の動画、ほかのクリエーターとのコラボ動画など、幅広く手がける。さらに2018年には結婚を発表したことでも話題に。今回は、そんな彼の半生に迫った。

取材・文/ヒガキユウカ(プレスラボ) 撮影/稲澤朝博

編集/日野綾(エキサイトニュース)


好きでやっていたから週4本投稿も「忙しいと思わなかった」


「動画クリエイターは常識も身につけないと」結婚を経て、今トミックが思うこと

「動画クリエイターって必ずしも都会だけの文化ではなくて、地方に住みながら始める人も結構いるんです。人気が出たら上京、という流れは一定数あると思いますね」

トミック自身も、田舎で育ったという。小学生の頃の主な遊び場といえば山。当時から虫や魚と日常的に触れ合っていた。そんな故郷の環境が影響しているのかは定かでないが、彼の動画には度々生き物が登場する。もはや“実験”に近い彼の生き物企画は、ときに反対意見を生みながらも、インパクトと模倣困難性を武器に多くのファンを獲得していった。

とはいっても、彼はこれまでの人生でずっと生き物に触れてきたわけではない。中学、そして高校に上がるにつれ山遊びにも飽き、ゲームにのめり込んでいくという、ごく一般的な学生時代を過ごした。そんな彼が初めてYouTubeに動画を投稿したのは、大学生のときだ。

「昔、海外でビデオブログってあったじゃないですか。日本でもテキストのブログやmixiの日記とかはありましたけど、動画で残せるビデオブログってなんか楽しそうだなと思って。1人でやるのもアレだから、友達を誘ったんですよね。でも結局その友達はバックれて、ずっと僕が1人でやってるんです(笑)」

看護系の大学に通いつつ、日常を動画に残すつもりで始めたYouTube。ここまで多くの人に見てもらえるとは、予想していなかったという。

「確かに今のYouTubeは、もう日本全国の人が視聴する規模になりました。でも当時は、どちらかというとニコニコ動画に近いローカルな雰囲気だったんです。だからまあ、誰に見られてもそんなに支障はないだろう、という感じで、普通に顔も出して始めました」
「動画クリエイターは常識も身につけないと」結婚を経て、今トミックが思うこと

田舎の大学に通い、娯楽も少なく、時間を持て余したごく普通の大学生。変化があったのは、動画投稿を開始して1年ぐらい経った頃だった。

「そのとき、『週1本投稿しよう』と決めたんですよ。というのも当時、YouTubeに動画を投稿する人が増えていくなかで、毎日投稿することが流行っていたんですね。今もその風潮はあると思いますけど。『じゃあ僕は週1本ぐらいやろうかなあ』と思って始めて、それがだんだん週2本、3本と増えていって。そのまま学生をしながら週3〜4本を維持していました」

動画1本を投稿するにも、都度企画と撮影、編集という作業がある。彼の場合は学生生活もあった。“かなり忙しかったですよね?”と聞くと、”今考えたら、そうですよね”という言葉が返ってくる。当時は趣味として楽しんでいたため、忙しいと感じていなかったそうだ。

活動をしてから1年ぐらい経つと、他の投稿者とのつながりも生まれた。後に同じUUUMに所属することになるはじめしゃちょーやもるさんとは、コラボ動画も多数投稿されている。
「動画クリエイターは常識も身につけないと」結婚を経て、今トミックが思うこと

「昔は動画を出してる人の方が珍しくて、もう変人扱いですよね。でも、だからこそ自然と集まってくるんです。そもそも趣味が同じわけですから、『あ、仲間だ』みたいな感覚」

YouTubeに動画を投稿する個人がまだまだ少なかった時代。動画クリエイター黎明期を共に生きた仲間たちとのつながりは、今も続いている。

魚をさばく動画が人気コンテンツに「築地市場がネタの宝庫に見えた」



今、トミックのチャンネルのメインコンテンツとなっているのは魚介をさばく動画だ。しかし彼自身に、調理に関する専門的な知識や経験があったわけではない。まずは始めた理由から聞いてみた。

「始めたのは2015年か2016年ぐらいだったと思います。週3〜4本投稿するうちの1本を魚介動画にしていました。始めた理由は……『やってみたいなあ』っていう好奇心だけですね。最初は全然下手くそでしたよ。本当にグッチャグチャで、とても人に見せられないような状態。でも、意外に反応が良くて。素人っぽさが返って良かったのかもしれません」

好奇心だけでチャレンジするには、少々ハードルの高い領域ではないだろうか。しかし彼は「『やってみたいな』と思ったら本当にやるのが動画クリエイター」と語気を強める。
「動画クリエイターは常識も身につけないと」結婚を経て、今トミックが思うこと

「最初は商店街の魚屋さんとかの魚介を使っていましたが、ある時、築地市場に行ってみたんです。そしたらもう、築地市場がネタの宝庫に見えて。『なんだここは!』って(笑)。これはもう魚介の動画を連続で出していこうと。ちょうど看護師の仕事も辞めた所で、動画にかけられる時間もたくさんあったんです。それで、やっていくうちに気付いたら“魚の人”みたいになっていました」

ただ、“魚の人”と思われることは、彼にとって本意ではないという。

「魚の動画ばかり上げることで、『魚しかできない人』と思われるのが嫌なんです。もともとは『素人の自分が成長する姿を見てほしい』という想いで撮っていましたが、『魚だけの人』と思われて、選択肢が狭まるのは嫌だなと。だから魚介じゃない動画も必ず挟むようにしているんです。
「動画クリエイターは常識も身につけないと」結婚を経て、今トミックが思うこと

それと、魚介は動画作りが本当に大変で……。仕入れや運びはもちろんですけど、最も時間がかかるのは後片付けですね。僕、昨年結婚したので、妻と一緒に住んでいて。魚介をさばいているとどうしても台所を占領してしまうので、なるべく妻が起きてくる前の早い時間に台所を使って撮影してるんです(笑)。鮮度は抜群ですし食べるとおいしいっていう良さはありますけど、体力的にも大変なので、いつかはもうちょっと撮りやすいネタにいきたいなと思っています」

動画クリエイター活動を知らなかった一般女性と結婚 はじめしゃちょー「セカオワのSaoriに似てる」



前項でも少々登場したが、トミックは2018年3月に投稿動画にて結婚を発表。トミック曰く、相手は「穏やかな雰囲気の女性」だという。はじめしゃちょーからは「セカオワのSaoriに似てる」と言われたそうだ。

気になるのが、妻のご両親の反応。今では随分一般に浸透した動画クリエイターといえど、彼らの親世代からすれば、まだまだ見慣れない職業のはず。

「向こうのご両親には、僕の動画を見せて説明しました。でも、そんなに悪い反応ではなかったんですよ。というのも、僕は看護師の資格を持ってるので、『もし何かあっても大丈夫だよ』という話ができたのが大きかったんです」
「動画クリエイターは常識も身につけないと」結婚を経て、今トミックが思うこと

意外だったのが、妻の方だ。トミックが動画クリエイターであることを知らなかったという。

「いやー、苦労しましたね。動画クリエイターに対して変なことやってるイメージしかなかったらしくて、『そりゃそうだろうな』と思いますけど。いろんな過程を経て、なんとか結婚できた感じです。逆に動画クリエイターであるおかげで休みは合わせられるので、一緒に出かけたり、旅行に行ったりはしやすいですね」

大学を卒業し、就職し、仕事を辞め、そして結婚。ライフステージが変わっても、トミックは変わらず動画を撮り、YouTubeに投稿し続ける。

「続けてこられた理由は、特にないんです。なんかここまでやってると、もう動画を作るのが生活の一部になってるんですよ。だから、辞めようと思ったこともない。そもそも辞めようという発想がない。動画の中身について方向性を変えようかと思ったことはありますが、YouTube自体を辞めようと思ったことはありません」

ここで、事前の想定にはなかったが、取材中に思いついた質問をぶつけてみた。「トミックにとって、YouTubeとは何か」。思いのほか、悩まずに答えてくれた。

「『時代』ですね。例えば大成することのなかった昔の人の中には、YouTubeがあるときを生きていたら有名になった人もいたかもしれない。もちろん今の人でも、YouTubeがあったおかげで何かを成し遂げた人もいる。そういう意味で、時代そのものを作るような存在だと思います」
「動画クリエイターは常識も身につけないと」結婚を経て、今トミックが思うこと

時代。その言葉には、一方で動画クリエイターが避けて通れないリスクの意味も込められていた。

「YouTubeのおかげで大きくなれた人もいれば、YouTubeがあるから炎上した人もいる。そして、一部の動画クリエイターが何か騒ぎを起こすと、『やっぱり動画クリエイターは』みたいな感じで取り上げられる。動画クリエイターという言葉が引きになるから、実際にはわずかしか活動していなくても、『動画クリエイターの誰々』と書かれてしまう」

そういった動画クリエイターの光と闇の両面を踏まえた上で、トミックは、「動画クリエイターになりたいなら、高校まではちゃんと出た方が良い」と強調する。

「高校を卒業して、進学なり就職なりして、社会経験を積みながら、常識を身につけた動画クリエイターになってやっていくなら全然いいと思うんですよ。でも、常識を身につける前に動画クリエイターに打ち込んで、悪気なく非常識なことをしてしまって、それで炎上したら、やっぱり自分が傷つくことになる。

それに、青春時代がもったいなくないですか? 学校じゃないと得られないネタもあるし、学校を辞めてひとりになって、動画クリエイター1本に絞ってしまうのはもったいないです。在学中から始めてもいいと思うけど、少なくとも高校卒業までは趣味の一環に留めておくのをオススメします」
「動画クリエイターは常識も身につけないと」結婚を経て、今トミックが思うこと


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(エキサイトニュース編集部)


Profile

トミック

キング・オブ・キッチンとして包丁1本で魚介をさばき、料理を作ったり。キング・オブ・ビューティとしてネタ動画、美容、商品紹介をしたり、バラエティに富んだ内容で活躍している。セカンドチャンネルでは小ネタや撮影シーン、ゲーム実況などを投稿している。



関連サイト
@tomikku
YouTube公式チャンネル