スカイピース、初ホールツアーを完遂 セミファイナル公演の模様をレポート
※写真は8月24日公演のもの

幅広い層が揃って来やすく楽しめる会場。身長や観る位置関係なく全体を把握でき、メンバーの動きもしっかりと目視できるシチュエーション。
立ってもOK、座って聴いても良しな着席化なスタイル。どの席からでも眼前でくり広げられているような臨場感。広いステージや高い天井を活かした舞台演出や装飾。場内も含めメンバーが縦横無尽に動けるアクティヴィティさ……。観る前は、日頃“リスナーにとって身近な存在”となっているスカイピースと、ホールでのライブとの相性にやや不安があった。しかしあの日あの場所で、私も周りのお客さんと一緒に観覧し、逆に彼らにとってホールでのライブは、より彼ららしさが発揮できる場所なのかもしれない、と何度も実感した。
スカイピース、初ホールツアーを完遂 セミファイナル公演の模様をレポート
※写真は8月24日公演のもの

現在自身のYouTubeチャンネル登録者数250万人を誇る“YouTuber”ユニット・スカイピースが、今夏発売した2ndアルバム『BE BOY』とともに全国ツアー『スカイピース2019夏ツアー Enjoy Summer Fest Buddy~まつり~』を開催。全国7都市9会場を完遂した。いくつもの新しい試みが楽しめた今回のツアー。満場の各箇所にて、この上ない多幸感を与えてくれたのも印象深い。

以下は同ツアーのセミファイナル、8月23日に神奈川県民ホールで行われた1日目の模様をお届けする。

今回のツアータイトルは「まつり」。
スタッフ揃いの半被、祭りの際の出店や屋台のような物販類や各アトラクション等々、エントランスからその祭の雰囲気が我々を出迎えてくれた。そして場内入って正面のステージ上では清涼感と和な感じがいい具合に折衷したセットが我々を歓迎してくれた。
スカイピース、初ホールツアーを完遂 セミファイナル公演の模様をレポート
※写真は8月24日公演のもの

デパーチャーと言えば映像ものが通例。そんななか、さすがはスカイピース。ステージ上の提灯に灯りがともり、ステージ2階では日本舞踊のダンサーがその雅やかな音楽に乗って現れる。和装で優雅に踊るダンサー。サウンドの激しさが増すにつれ、その踊りもアグレッシブになっていく。それらがピークになった際、障子に2人らしきシルエットが。そこから登場……と思いきや、なんと1階の左右の扉から、テオくんと☆イニ☆が半被姿で現れた。会場全体から喜びの表情とともに嬌声があがる。嬉しいサプライズでライブの幕を開けた2人は、1曲目の「Ride or Die」を歌いながら客席を通りステージへ向かう。ステージ上には既にドラム、DJ、ギター、ベースが同曲をプレイ。
土着的でラテンポップなサウンドとともに会場も跳ねる。「神奈川~! 今日は一緒に馬鹿になろう!!」とテオくん。次曲「青春スプラッシュ」では、ステージ、会場合わせてタオルが大旋回。2人のダンサーも登場し、テオくん、☆イ二☆のラップも冴える。会場も大合唱。楽曲が伝える「これから一緒に楽しもう!」を実感する。また、「僕の夏の恋の話」に入るとバンドサウンドがより映え出す。疾走感と爽快感溢れるサウンドに乗り、ちょっと切ない気持ちが会場を走り出させていく。
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※写真は8月24日公演のもの
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広い会場に向け、まずはノンマイクにて挨拶。ゆっくりと場内を見回し、「結成当初はこんな大きな会場で出来るとは想像もしてなかった」と☆イニ☆。「序盤はすごくいい感じ。このテンションで最後まで一緒に行こう」とテオくん。
続いて4人に増えたダンサーと「無計画の旅」に。マイペース感溢れる……と思いきやテンポアップし軽快さへとシフトするのもこの曲の特徴。その波状攻撃に会場もシッカリとついていく。打って変わり、「おバカだっていいじゃないか!」ではシチュエーションは学園へ。同曲特有のコミカルさが会場をほっこり和ませる。と同時に歌われるメッセージに、そうだ、そうだよなと同感させられた。
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※写真は8月24日公演のもの
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ここで各位にハザードライフルが用意される。場内との「荒野!」「行動!」とのコールレスポンスを経て、「荒野行動あるある」へ。ステージ2階も上手く使いリアルサバゲ―的なダンサーを交えたパフォーマンスの中、アプリゲーム「荒野行動」でのあるあるをお互いがラップし合う。
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※写真は8月24日公演のもの

「神奈川、熱いよ~! ダンスが楽しかった。ついついお馬鹿になっちゃった」とテオくん。「せっかくだから椅子に座ろうよ」と☆イニ☆。
ここからは座って聴くのが似合うミディアムな曲が続いた。

まずは初期曲「これがぼくのきもち」がキュンとした気持ちを会場中に染み渡らせ、ステージ2階で歌った「分かれ道」ではバックのビジョンが綴るリリックに合わせ、感情を込めて歌い、楽曲に込められた切なさが場内の隅々にまで広がっていった。対して疾走感あるサウンドの「世界」が会場をしっかりと引き連れていくように歌われ、会場もそれに並走。同曲では自身の守るべきものを各々が心に思い浮かべた。
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※写真は8月24日公演のもの

ここで映像タイム。テオくんにドッキリを仕掛けた映像結果が流される。楽屋に隠しカメラを仕込みテオくんはその隠しカメラに気づくのか? 的な同動画。結局気づいたのか否か? の発表は無かったので不明だったが、たぶん途中カメラに向けさりげなくポーズを取っていたので気づいたのだろう。
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※写真は8月24日公演のもの
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その間に着替えた彼ら。ここからは後半戦。まずはこの日限定の3曲が立て続けに贈られた。スリリングで高揚感溢れる「証明」が場内を大丈夫の気持ち&大興奮させてくれれば、ライトもめまぐるしく回るなか歌われた「Sky Flight」では、バンドの疾走感のあるサウンドに、「さぁ、行こう!」とグングン引き寄せられた。
ライブはますます加速度を上げ、「シャルル」の際には、ちょっとした絶望感が歌われながらも、どこかそれを振り払い突き進もうとする、その強い意志に会場中も同調。一緒に歌った。

ここでMC。2人のステージドリンクが公表された。☆イニ☆は龍角散を溶かした白湯(さゆ)、対してテオくんは「日本酒。だからこんなに顔が赤い」と言っていたが、本当か? 顔が赤いのは上気しているからでは? と総ツッコミ。
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※写真は8月24日公演のもの
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バックバンドのメンバー紹介を経て、ここからはラストスパート。まずは「雨が降るから虹が出る」がバックに流された同曲のMVととも、<どんな困難も超えていける/君とならその先へ>とその腕をぐいっと引っ張れば、本編ラストは彼らの約束の地であり、一つの目標でもあった昨年末のZepp Tokyoに立った際の気持ちと景色を歌った「リメンバー」が、その際の映像を交えて、また、この日、上書きされたこの会場での想いとともに歌われた。会場も「この景色を一生忘れない」とばかりに各々の想いを込めて力の限り歌った。
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※写真は8月24日公演のもの
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アンコール。まずはダンサーと白いスーツ姿の2人だけがステージへ。
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トラップミュージックの「Sexy Dance FLOOR」をクールにストイックに、そしてセクシーにダンス&ラップ。
続いてバックバンドも再度ステージへ。初心を振り返るかのように「スタートダッシュ」が披露され、会場の大合唱とともに鳴り響いた。実際、当時の歌に込められた光景に辿り着けた思いを、彼ら自身、ここで再度確認&実感できたのではないだろうか。対して「オタパリダンシン」では会場も楽しく。合いの手も交え、ステージ・会場関係なく一緒に歌い踊った。
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※写真は8月24日公演のもの
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そして写真撮影で終わり……と思いきや、締めくくりはやはり血沸き肉踊る祭り的なチューンじゃなきゃ、とばかりに彼らの最新盛り上がりソカチューン「Enjoy Summer」が。既にYouTubeで公開中なこともあり、未発売ながらみんなしっかりと予習してきた模様。タオル大旋回で楽しそうに清々しさたっぷりに一緒に歌った。最後は銀テープも炸裂。しっかりとこの日が締めくくられた。
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※写真は8月24日公演のもの
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実は彼らの2ndアルバム『BE BOY』を取材した際に、「この初ホールツアーにどのような姿勢で臨むのか?」も伺い、その際はホールにて単独で行う際の期待や不安、そして心得的なものを話してくれた。大きなホール会場ながらも終始しっかりと歌も雰囲気も、込めた気持ちも隅々にまで伝え切った二人。密着で一体感があり汗まみれなスタンディング形式もいいけど、上述のように幅広い人が各々楽しめる、このような着席スタイルも今後の彼らには必要だな、と改めて実感した。
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彼らの客層が上にも下にも更に広がったことも確認できたこの日。残念ながら外は曇天&時々雨だったのだが、ライブ中の心には終始鮮やかなスカイブルーの空がしっかりと広がっていた。これぞまさにスカイピース! そんな清々しい気持ちを胸に雨の中、帰路についたのだった。
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※写真は8月24日公演のもの
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取材・文/池田スカオ和宏

<セットリスト>
1.Ride or Die
2.青春スプラッシュ
3.僕の夏の恋の話
4.無計画の旅
5.おバカだっていいじゃないか!
6.荒野行動あるある
7.これがぼくのきもち
8.分かれ道
9.世界
10.証明
11.Sky Flight
12.シャルル
13.雨が降るから虹が出る
14.リメンバー
Encore
En-1.Sexy Dance FLOOR
En-2.スタートダッシュ
En-3.オタパリダンシン
En-4.Enjoy Summer
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