
幅広い層が揃って来やすく楽しめる会場。身長や観る位置関係なく全体を把握でき、メンバーの動きもしっかりと目視できるシチュエーション。

現在自身のYouTubeチャンネル登録者数250万人を誇る“YouTuber”ユニット・スカイピースが、今夏発売した2ndアルバム『BE BOY』とともに全国ツアー『スカイピース2019夏ツアー Enjoy Summer Fest Buddy~まつり~』を開催。全国7都市9会場を完遂した。いくつもの新しい試みが楽しめた今回のツアー。満場の各箇所にて、この上ない多幸感を与えてくれたのも印象深い。
以下は同ツアーのセミファイナル、8月23日に神奈川県民ホールで行われた1日目の模様をお届けする。
今回のツアータイトルは「まつり」。

デパーチャーと言えば映像ものが通例。そんななか、さすがはスカイピース。ステージ上の提灯に灯りがともり、ステージ2階では日本舞踊のダンサーがその雅やかな音楽に乗って現れる。和装で優雅に踊るダンサー。サウンドの激しさが増すにつれ、その踊りもアグレッシブになっていく。それらがピークになった際、障子に2人らしきシルエットが。そこから登場……と思いきや、なんと1階の左右の扉から、テオくんと☆イニ☆が半被姿で現れた。会場全体から喜びの表情とともに嬌声があがる。嬉しいサプライズでライブの幕を開けた2人は、1曲目の「Ride or Die」を歌いながら客席を通りステージへ向かう。ステージ上には既にドラム、DJ、ギター、ベースが同曲をプレイ。


広い会場に向け、まずはノンマイクにて挨拶。ゆっくりと場内を見回し、「結成当初はこんな大きな会場で出来るとは想像もしてなかった」と☆イニ☆。「序盤はすごくいい感じ。このテンションで最後まで一緒に行こう」とテオくん。


ここで各位にハザードライフルが用意される。場内との「荒野!」「行動!」とのコールレスポンスを経て、「荒野行動あるある」へ。ステージ2階も上手く使いリアルサバゲ―的なダンサーを交えたパフォーマンスの中、アプリゲーム「荒野行動」でのあるあるをお互いがラップし合う。

「神奈川、熱いよ~! ダンスが楽しかった。ついついお馬鹿になっちゃった」とテオくん。「せっかくだから椅子に座ろうよ」と☆イニ☆。
まずは初期曲「これがぼくのきもち」がキュンとした気持ちを会場中に染み渡らせ、ステージ2階で歌った「分かれ道」ではバックのビジョンが綴るリリックに合わせ、感情を込めて歌い、楽曲に込められた切なさが場内の隅々にまで広がっていった。対して疾走感あるサウンドの「世界」が会場をしっかりと引き連れていくように歌われ、会場もそれに並走。同曲では自身の守るべきものを各々が心に思い浮かべた。

ここで映像タイム。テオくんにドッキリを仕掛けた映像結果が流される。楽屋に隠しカメラを仕込みテオくんはその隠しカメラに気づくのか? 的な同動画。結局気づいたのか否か? の発表は無かったので不明だったが、たぶん途中カメラに向けさりげなくポーズを取っていたので気づいたのだろう。


その間に着替えた彼ら。ここからは後半戦。まずはこの日限定の3曲が立て続けに贈られた。スリリングで高揚感溢れる「証明」が場内を大丈夫の気持ち&大興奮させてくれれば、ライトもめまぐるしく回るなか歌われた「Sky Flight」では、バンドの疾走感のあるサウンドに、「さぁ、行こう!」とグングン引き寄せられた。
ここでMC。2人のステージドリンクが公表された。☆イニ☆は龍角散を溶かした白湯(さゆ)、対してテオくんは「日本酒。だからこんなに顔が赤い」と言っていたが、本当か? 顔が赤いのは上気しているからでは? と総ツッコミ。


バックバンドのメンバー紹介を経て、ここからはラストスパート。まずは「雨が降るから虹が出る」がバックに流された同曲のMVととも、<どんな困難も超えていける/君とならその先へ>とその腕をぐいっと引っ張れば、本編ラストは彼らの約束の地であり、一つの目標でもあった昨年末のZepp Tokyoに立った際の気持ちと景色を歌った「リメンバー」が、その際の映像を交えて、また、この日、上書きされたこの会場での想いとともに歌われた。会場も「この景色を一生忘れない」とばかりに各々の想いを込めて力の限り歌った。



アンコール。まずはダンサーと白いスーツ姿の2人だけがステージへ。

トラップミュージックの「Sexy Dance FLOOR」をクールにストイックに、そしてセクシーにダンス&ラップ。


そして写真撮影で終わり……と思いきや、締めくくりはやはり血沸き肉踊る祭り的なチューンじゃなきゃ、とばかりに彼らの最新盛り上がりソカチューン「Enjoy Summer」が。既にYouTubeで公開中なこともあり、未発売ながらみんなしっかりと予習してきた模様。タオル大旋回で楽しそうに清々しさたっぷりに一緒に歌った。最後は銀テープも炸裂。しっかりとこの日が締めくくられた。


実は彼らの2ndアルバム『BE BOY』を取材した際に、「この初ホールツアーにどのような姿勢で臨むのか?」も伺い、その際はホールにて単独で行う際の期待や不安、そして心得的なものを話してくれた。大きなホール会場ながらも終始しっかりと歌も雰囲気も、込めた気持ちも隅々にまで伝え切った二人。密着で一体感があり汗まみれなスタンディング形式もいいけど、上述のように幅広い人が各々楽しめる、このような着席スタイルも今後の彼らには必要だな、と改めて実感した。



彼らの客層が上にも下にも更に広がったことも確認できたこの日。残念ながら外は曇天&時々雨だったのだが、ライブ中の心には終始鮮やかなスカイブルーの空がしっかりと広がっていた。これぞまさにスカイピース! そんな清々しい気持ちを胸に雨の中、帰路についたのだった。


取材・文/池田スカオ和宏
<セットリスト>
1.Ride or Die
2.青春スプラッシュ
3.僕の夏の恋の話
4.無計画の旅
5.おバカだっていいじゃないか!
6.荒野行動あるある
7.これがぼくのきもち
8.分かれ道
9.世界
10.証明
11.Sky Flight
12.シャルル
13.雨が降るから虹が出る
14.リメンバー
Encore
En-1.Sexy Dance FLOOR
En-2.スタートダッシュ
En-3.オタパリダンシン
En-4.Enjoy Summer