
シンガーソングライター高橋優が、メジャーデビュー10周年を記念した日本武道館ワンマン公演『高橋優 10th Anniversary Special 2Days 「弾き語り武道館〜黒橋優と白橋優〜」』を2月8日(火)9日(水)に開催した。
10周年の節目にリリースしたアルバム『PERSONALITY』を引っさげて、昨年秋から今年1月にかけて行われたツアーを終えたばかりの高橋優。



高橋優というシンガーソングライターの持つ魅力を存分に味わい尽くせる2日間、まずは“黒橋優”のヒリついた剥き出しのステージから幕を開けた。
ターンテーブルになっている機械仕掛けのセンターステージ、そのど真ん中に立って放つのは「こどものうた」。インディーズ時代の集大成にして、高橋優誕生前夜に響いた祝砲のような曲だ。令和に平成の叫びがこだまする。



「僕がちょっと世の中に対して噛みついたりした曲を作ると、みんなが“黒橋優”とか言ってんの知ってます。だから今回はそれに乗っかってみようかと(笑)。でもね、暗いからこそ光の射すのがよく見えるし、光がよく感じられる。そんなひとときにできたらいいなと思っています」



弾き語りライブではあるが、ループステーションを使用したり、特効や照明、LEDなど、随所にエンターテイメントとしての工夫が凝らされている。しかも、そうした演出がすべて高橋優とファンの親密さに寄り添うようになされているような印象を持った。「太陽と花」でアコギのボディを打楽器のように叩いて作ったリズムやギターのフレーズを幾重にも重ねてひとつの音楽を生み出していく様は、これまでの歩みの一歩一歩が、そしてファンの(ご時世的には出せないがゆえの)心の声援が可視化されていくようだった。
本編最後は「素晴らしき日常」。


黒橋から白橋へ。高橋優の中にある希望や光をダイレクトに感じられる歌たちを集めた2日目は、1日目と被りなしの全20曲(+アンコール2曲)。「ありがとう」「現実という名の怪物と戦う者たち」で幕を開けたライブは、自身の中身を残らずさらけ出すようなパフォーマンスで白も黒も超えて、オーディエンスと一体となっていく。



「何かとムズかしい世の中ですけど、また会えたらいいなと思います」と言って披露したのは「おかえり」。後奏のストロークではまだ曲が終わっていないのにも関わらず自然発生的に起こった拍手の波が武道館を包み込んだ。
「自分にとって何が光で、何が希望かって考えたら、会うっていうこと、会えるっていうことがそれなんだなって昨日今日と武道館でライブをしながら思いました」



最後は、高橋優にとっていろんな人との出会いとなった曲、「福笑い」。10年間の歩みの中で感じた光と希望、そして感謝――ここから始まる新たな旅の予感を胸に、また会える日まで。そんな約束を交わした2日間だった。
そして2月25日(金)に配信リリースとなる新曲「HIGH FIVE」のミュージックビデオが配信開始と合わせた2月25日(金)の0時に高橋優オフィシャルYouTubeチャンネルにてプレミア公開されることも決定。新曲「HIGH FIVE」のリリースもぜひチェックしていただきたい。
(取材・文/谷岡正浩)

