ストライパー、27年ぶりの単独来日公演を熱演、観客もハイヴォルテージで大合唱!

ロサンゼルスのオレンジカウンティ―で83年に結成されたクリスチャン・メタルバンド、ストライパーが4月16、17日の両日、川崎チッタで公演を行った。2011年にLOUD PARKで来日したものの、単独公演は27年ぶりにもかかわらず、場内は満員の観客で開演前から熱気に溢れていた。



メンバーはオリジナル・ランナップのまま、殆どのソングライティングを手掛け、パワフルなハイトーン・ヴォイスを聴かせるヴォーカル&リード兼リズムギターのマイケル・スウィート、彼の実兄で自らドラム版のエディ・ヴァンヘイレンと例えるヴィジュアル・タイムキーパーことドラマーのロバート・スウィート、最近は元エンジェルのヴォーカル、フランク・ディミノのカムバック・アルバムに参加したリードギター&ヴォーカル、オズ・フォックス、時にはフレットレスでスラッピングやタッピングもこなすベース&ヴォーカル、ティム・ゲインズの4人が揃った。



彼らがデビューした80年代はボンジョヴィやモトリークルー、ラットなどと同様に、その華やかなルックスで多くの女性ファンを獲得し、黄色と黒を基調としたトレードマークのストライプの衣装に身を包んだ奇抜さも有名になった。しかし、”YELLOW & BLACK IS BACK” CELEBRATION TOUR IN JAPAN”と題された今回の日本公演では男性ファンの数が半数以上占め、彼らの存在感が男女問わず不動なものだと再認識させられた。



東京公演の初日は、初期のアルバムと最新アルバムから厳選したセットリストを中心に、2日目は最もヒットした『To Hell With The Devil』のリリースから30周年記念として、アルバムの曲順通りの完全再現を本編に、アンコールは新旧のナンバーを交えた特別構成の他、ブラック・サバスの「Heaven And Hell」(東京初日ではキッスの「Shout It Out Loud」も)をカヴァー、会場では始終大合唱大会となった。この日限りはトレードマークであるイエロー&ブラックのストライプ柄の派手な衣装で全身を埋め尽くした。マイケルがMCで「衣装がきついな(笑)昔は僕たちも若くて小さかったが、今は歳を取って大きくなった」と、苦笑していたが、後で聞くところによると多少サイズを手直ししたのだとか。



ステージから聖書を投げ配るというパフォーマンスも彼らの見せ場の一つであるように、彼ら全員がキリスト教の信仰者だ。クリスチャン・メタルの歴史は70年代から浸透していき始め、80年代になってストライパーの出現によって幅広く世に広まったことは確かだ。勿論、日本のファンが必ずしもキリスト教を信仰しているわけではないが、今から32年前のデビュー当時にインタビューした際、ロバート・スウィートはこう語っていた。「聖書を配るのは神の存在が僕らの人生を左右していることを伝えたいだけなんだ。それを信じる、信じないは君たちと神の問題だから。でも実際(ライヴを)見に来てくれた人たちの中には、神を信じ始め、良い方向に変化したというケースもあったんだ」



宗教や国境問わず、彼らの音楽性が全てを諭す。

日本にはストライパーのトリビュートバンドまで存在するほどだ。ヴォーカル・コーラス・演奏、どれも力強く疾走感を保ち、美しい旋律は多くのリスナーの心をとらえて離さない。ジャパンツアーは大成功に終わり、日本での歓迎ぶりに感動した彼らは「是非また日本に戻って来たいね。いや、むしろもっと早く戻ってくるべきだった」と口を揃え、より近い将来に再来日を約束してくれた。



Text by Keiko “Ginger” Suzuki / Photo by Emili Muraki

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