ヨーロッパの市場において大型業務用空調事業を強化すべく、三菱電機<6503>が同社として過去最大規模となる買収を行う。25日、三菱電機は総額約902億円で100%の株式を取得し、イタリアの業務用空調機器メーカー「デルクリマ」を買収するとの発表を行った。

三菱電機はこの買収により、ヨーロッパ市場での事業領域や販路を拡大させたい考えだ。


 三菱電機によれば、イタリアの家電メーカー「デロンギ」グループの持ち株会社から、「デルクリマ」の発行済み株式の74.97%を676億円で取得することで合意。11月30日に株式を取得した後に、残りの25.03%の株式についても株式公開買い付け(TOB)により226億円で取得し、2015年度内の100%子会社化を目指すとしている。


 今回倍買収が発表された「デルクリマ」は09年に設立され、ビルや工場などの大型施設向けの「チラー」と呼ばれる空調システムを手がけている。「デルクリマ」は「チラー」事業においてヨーロッパトップのシェアを持ち、14年12月期の連結売上高は3億4800万ユーロ(約480億円)。従業員は1936人で、三菱電機は買収後も雇用を継続する方針を示している。


 三菱電機の空調冷熱システム事業は現在、国内をはじめ、ヨーロッパ、北アメリカ、中国、東南アジア、インド、オーストラリアなど幅広く展開している。そして同事業のヨーロッパでの規模は約2000億円程度で、市場シェアはダイキン工業<6376>に次いで2~3位につけている。三菱電機はヨーロッパ市場を日本に次ぐ重要市場と位置付けており、今回の買収によりフロンガス排出規制やビル・工場での省エネ製品の需要拡大が見込まれる同市場において、大型業務用機器へ本格参入をはたす。そして三菱電機は20年までに、ヨーロッパ市場においてシェアトップを獲得したいとしている。


 そしてヨーロッパ市場のみならず、中国、インド、中近東などの「デルクリマ」の海外拠点も活用し、三菱電機の製品と相互販売のシナジー効果を生み出したいとしている。(編集担当:滝川幸平)